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ハッピーエンド?

「ご無沙汰あああああ!盛り上がっているみたいだねえ、アタイも混ぜてくれよ!アタイの成仏パーティなんだろう?まあ、成仏なんかしてないけどさあ、あははははは!」

 震える声で川島が江口に言った。

「ほ、本物のサキが…本物のサキがいる!ど、どういうことだ!江口君!」

「た、大変だ…『悪霊化現象』だああああ!」

 江口は未だかつてない程恐怖に怯えていて、顔色が青いというより真っ白になっている。

「江口君!なんとかしてくれ!」

 江口は何も答えず、腰を抜かしたように動けない。

「江口く~ん、アタイ、今のでアンタの弱点みっけたよ!これでしょ?」

 そういうとサキは大きく口を開き、舌を出したかと思うと、そこから大ムカデが出てきて地面へ落ちた。

 そこにいる誰もが悲鳴を上げた。

 そのムカデは「キーキー」と不気味な音を立てながら真っ直ぐに江口に向かっていく。

 歩くたびにそのムカデの体は大きくなり、とうとう抱き枕のような大きさに膨れ上がった。

 江口は今まで聞いたことのないほどの情けない叫び声を上げた。

「た、助けてくれええ!僕、ムカデだけは、ムカデだけはどうしてもダメなんだああ!」

 しかし大ムカデはとうとう江口の胴体に巻き付いた。

 江口は泡を吹いて気絶してしまった。

 そしてそれを見ていた綾瀬ちゃんも泡を吹いて気絶してしまった。

「さあて、川島竜次君、お久しぶりだねえ。やっとアタイの姿を見ることができたね~、アタイどう?ふふふ、あの頃とちっとも変わらず若く見えるでしょう?そりゃそうよねえ、あんたに殺されたおかげで今でも十七歳のピチピチギャルだからねえ」

 川島はそれ以上後ずさりすらできないのにひたすら壁に後ずさりしながら、手をかざして、怯えている。

「ま、待ってくれ!サキ!ほ、本当に悪かった!た、頼む、命だけは…!」

「命い?もちろん奪わないわよ。アタイ優しいからねえ。たっぷりとこれから長い時間をかけて可愛がってやるから楽しみにしてなさい。とりあえずアタイのペットの面倒でも見てもらおうかしら」

 そう言うとサキは両手のセーラー服の袖から次々と蛇を出し始めた。

 おびただしい数の蛇は真っ先に川島に向かい、川島の体中に絡みついた。

「ひいいいいいいいいいい!や、やめてくれええええ!」

 川島はそのまま白目を開けて気絶してしまった。

 江口、綾瀬ちゃん、川島が気絶をすると、ムカデも蛇もあらゆるゲテモノが跡形もなく消えた。

 サキは俺の顔を見るなり、駆け寄ってきた。

 その顔は本当に満ち足りた幸せそうな顔で、先程までのホラー映画顔負けのグロさは一切消え去っていた。

 サキは俺の体に強く抱きついて来た。

「ヤマト!会いたかったよおおおお!」

 俺の首筋にはサキの涙がこぼれ落ちる。

「サキ…」

 失望に満ちていた俺の心の中に再びサキが蘇る。

 俺は初めてサキを強く抱きしめた。

 サキは桃のようなレモンのような香りがして、それだけでも充分に俺の恋心を最高潮に盛り上げた。

「初めてだ…ヤマトの温もり…温もりを自分の体で感じるのって初めて…」

「サキ…もう離さないからな!」

 俺たちはもはや止められなかった。

 それはお互いの目を見つめ合ったとたんに改めて確信した。

 俺たちはお互いに吸い込まれるようにキスをした。

 初めてであり、長い長いキスだった。

「俺は、いつでもサキの世界に行く覚悟が出来ているよ」

 するとサキは眉毛をハの字にしながら微笑んで言った。

「ううん、もうその必要はないの」

「どうして?」

「アタイがこっちの世界にやってきたんだから。アタイはこれから『悪霊』及び『人間』としてこっちの世界でもう一度青春を謳歌するの」

「そんなことできるのか?」

「わからない。でもやってみたい」

「それはいつまで?」

「先のことは聞かないで。今という瞬間を喜びたいの、だってアタイは二十五年ぶりに女子高生としてこれから生きていくんだから。あ、ちなみに」

 サキが人差し指を上にあげる。

「ヤマトの家のリビングの床に今大きな穴が空いているから」

「はああ?」

「とうとう床下から脱出しちゃった!!」

「その遺体は今はどこに?」

「目の前にいるアタイそのものだよ、悪霊化現象で、肉を再生する

のはなかなか大変だったけどね・・・」

「つまり今のサキは以前のように『霊体』ではなく『ゾンビ体』ってことか、まあ、でも俺の床下からようやく解放されたんだな」

「晴れて、地縛霊から悪霊、ゾンビに出世したの~ふひひひ~」

サキは満面の笑みでゾンビとは思えない綺麗な歯を出して笑う。

「ところでそんだけいろいろな現象を起こせるんだから当然、家のリビングの床くらい再生できるんだろう?」

「…アタイ、悪霊化現象は起こせるけど、大工さんじゃないからそういう現実的な作業は無理」

苦笑いしながら頭をかくサキがいた…。


 その後の話をすると、家では両親が大騒ぎして警察を呼んだり、補修費用を計算して頭を抱えたりしていたが、結局川島が大工を派遣して補修費を払うということで、決着がついた。

 もちろん両親は見知らぬ人様に無料で費用を負担してもらうなんてできないと言い、川島の善意を断ったものの、川島は自分の娘と「養女」がヤマト君のお世話になっているからという一点張りで両親からは一切お金を受け取らなかった。

 ちなみに養女とは「サキ」のことである。

 サキは川島家の養女ということで綾瀬ちゃんと同じ高校に通うことになった(俺の高校は男子校なので)。

 川島家の養女と言いつつも、実際には俺の押し入れの中でほとんど過ごしている。

 

 なにはともあれ、サキは天才的才能で『悪霊』として復活した。

 川島は完全にサキの奴隷であり、綾瀬ちゃんは今でも俺の洗脳を解こうとしている。

 サキの父親にはたまに二人で会いにいく。

 サキの父親は毎回のように涙を流す。

 江口は「まだまだ修行が足りないので」と言い残し、テレビ出演をしなくなり、その後の消息はわからない。

 

 今現在、俺はサキと手を繋いで映画館から出てきたところだ。

 デートの最中なのである。

 サキが怯えた様子で俺の腕を掴んでいる。

「なんなのよ~、あの映画、怖すぎて夜眠れないじゃないのよ~…だからホラーはやめようよって言ったのにい…」

「…お化けがホラー映画怖がるってありえなくねえか…?」

「でもさあ、ホラー映画のラストってめでたしめでたしかと思いきや

必ず最後に悪魔が復活してぎゃあああってなって終わるよねえ?」

「お前もな…」


 やれやれ、これからどんな日々が待っているやら…。

 また機会があったらお話することにいたします。

 それではまた。    (終わり)

 


最後まで読んでくださった方には本当に感謝してもしきれません!!

まだまだ下手くそでどうしようもないですが、これからも頑張って変な小説を書きますのでよろしくお願いしますヽ(´▽`)/ありがとうございました!!!

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