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30分小説

悪夢

作者: 雨月 嶽

桜の桜散るよるでした。

わたしはお豆腐を買いに行った帰りのこと。

少々長話をしてしまい、夜道を急いでいました。

近道をしようと、裏路地に入ったのです。

しかし、夜道だったからなのか、それともなれない道に入ったからなのか、道に今よってしまいました。

人に道を聞こうと辺りを見回しても猫の子一匹いません。

戸をたたいて聞こうにも、誰も出てくれないのです。

わたしは途方に暮れました。

一体どうすれば良いのでしょう。

その間にも時間は刻一刻と過ぎていきます。

家には夫と子供がお腹を空かせて待っていることでしょう。

わたしはひたすら歩きました。

歩いている内に、お腹が空いたので持っているお豆腐を食べました。

しかし、空腹は満たされることなくついに耐えられなくなりました。

いつの間にか辺りに何とも言えない、おいしそうな香りが漂っています。

思わず香りの方へ歩いていくと、一件の家にたどり着きました。

扉をたたくと、中から何か生き物が飛び出してきて、わたしに抱きついてきました。

何とも言えないいい香りはこの2匹の生き物から漂ってきていました。

わたしの空腹はもはや限界です。

無邪気にわたしの周りを飛び回っているそれを捕まえ、足のような部分にかじりつきました。

思わずわたしは歓喜の声を上げました。

それほど、この生き物はおいしかったのです。

その生き物の肉はこれまで食べたどんな食物よりも柔らかく同時に歯ごたえがあっておいしかった。

その生き物からしたたる汁は、これまで飲んだどんな飲み物よりもおいしかった。

わたしが夢中でその生き物をむさぼっていると、何時しかその生き物は動かなくなりました。

その時、わたしは何とも言えない喪失感に駆られました。

何故、おいしいものを食べたのにこんなにも悲しいのか、胸が裂けそうな程苦しいのか。

視界の隅にもう一匹いるのが目に入りました。

わたしはすかさず飛びついて、かじりつきました。

おいしい、もっと食べたい。

モット、モット、モット・・・・・・

不意に、入り口に人が立っているのが目に入りました。

わたしの夫です。

夫は何かにおびえている様にも見えました。

わたしが近づくと、夫はわたしを震える指でさしました。

後ろに何かいるのか。

そう思って振り向くと、

そこには我が子に齧り付くわたしの姿が映っていました・・・・・・

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