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04

「あの……夜分遅くに済みませんが、お店はまだやってますか?」

 女性はよそよそしながらも扉の隙間から見えるスォッグに閉店してるか否かどうかの確認を取ってくる。

「ん? あぁ、まだやってるよ」

 シキサに対して怒鳴っていたので、粗野な口調になってしまっていたが、スォッグはなるべく意識して怒りを感じさせないようにして告げた。

「おら、シキサは一旦そこ退けろ」

 扉は外側からだと押して開けるタイプであったので、扉の前にシキサがいると店の中へと入ってこれなくなる。シキサは頷く事は無かったが、数歩下がって扉の開閉に支障が出ない程の距離を取った。

「えっ、シキサ!?」

 シキサの名前を聞くや否や、外にいた女性プレイヤーが音を立てながら扉を勢いよく開ける。そして扉を閉めずにつかつかと床を鳴らしながら店内にいるシキサの目の前へと歩いていく。

 背中には煌びやかな白い紋様が描かれた蒼色の大剣を背負っており、蒼と銀を基調とした胸当て、籠手、セミフレアスカートに身を包み、動きやすさを重視した同色のブーツは太腿を三分の一程隠す程の長さを持っている。露出した肩や上腕部等から垣間見える皮膚はきめ細かい白だが、向こう側が僅かだが透けて見える様は彼女が霊人である証だ。腰まである煌めく白銀の髪は結ばずにそのまま流しており、張りのある唇にすっとした鼻筋と細い眉を持つ顔はシキサと同年代か少し上に見える。少し大きめの双眸には青よりも澄んだ露草色の瞳が埋め込まれており、その瞳をシキサへと注いでいる。その瞳と顔には驚きの表情が見られている。

「金の刺繍が入った紅のコートに後ろで結んだ灰褐色の髪。……確かに、『紅閃』シキサと同じ格好。本当に、あのソロプレイヤーのシキサ……っ!?」

 女性プレイヤーはシキサの頭から足先まで万遍無く見て、有り得ないと言わんばかりに目を輝かせ始める。『紅閃』とはシキサに付いた二つ名であり、本人が名乗った訳ではない。シキサに助けられたプレイヤーが、紅のコートをはためかせながらモンスターの攻撃を一度たりとも喰らわない身のこなし、獣人顔負けの眼にも止まらぬ速さで研ぎ澄まされた片手剣専用の初期攻撃スキル『トライエッジ』を使う様を見て、そう呼び始めた。シキサ本人はこの呼び名を今この時まで知らないでいた。

 そして、女性プレイヤーとは対照的に、あからさまに眉根を寄せ、目を細めて怪訝な表情を浮かべているシキサはお前は誰だ? と言った念を飛ばしているが、そのような念は女性プレイヤーには届かず伝わらなかった。

 代わりに、傍らへと寄って来たスォッグはそれを的確にシキサが飛ばしている念を感じ取り、目の前に舞い降りた奇跡を見るかのような視線を向ける女性プレイヤーの代わりに溜息を吐きながらも紹介をする事にした。

「こいつは攻略ギルド『夜明けを目指す星』のギルドリーダー『蒼断』のレイナだよ。有名過ぎるんだが、知らんのか?」

「知るか」

 シキサは有名過ぎるの一言訊いても恥じる事も無く、躊躇いも無く知らないと言ってのける。

「……まぁ、お前はテルやメールでのやり取りはおろか、掲示板も碌に見てねぇから知らなくても当然……なのか?」

 諦め半分ながらもスォッグは腕を組んで首を傾け渋い顔をする。『トライバルミックス』ではプレイヤー間での連絡は直接顔を合わせての会話の他にはすれ違った事のある相手ならばタブレットを介しての音声通信であるテルと、文章によるやり取りであるメールの機能が備わっているが、シキサはそのどれも手を付けていない状態である。

 攻略ギルド『夜明けを目指す星』は現攻略ギルドのうちでも上位に位置するギルドであり、構成メンバーは二十人足らずであるが各メンバーが卓越した戦闘技術を身に着けており、堅実な攻略を行っていき、ボスとの戦闘においては共同で戦っている他ギルドや他パーティーと組んだ即席のパーティーの指揮を執る事が多い。また、個々の能力が高い事からボス戦で時間を稼ぐ役を自ら買って出ていき、その間に消耗したプレイヤーの回復と立て直しを促す。

 ハイレベルなプレイヤーが集まる少数精鋭ギルド『夜明けを目指す星』のギルドリーダーが現在シキサへと希望を見い出したかのような眼差しを向けている女性プレイヤー――レイナである。二つ名である『蒼断』は、背負っている大剣を振るい、モンスターの攻撃が繰り出されても意にも介さずに体を両断していく様から名付けられたものであり、ボス戦においては大剣を薙ぎ払って重い衝撃波を幾つも放つ大剣専用攻撃スキル『グランダルウェーブ』によって先手を取りダメージを与える戦法を取っている。可憐な見た目に寄らず霊人の特徴である物理攻撃軽減を活かしたパワー重視の攻撃を繰り出すプレイヤーである。

 そんなギルドリーダーは自己紹介もせずに目を輝かせたままシキサを見ていた。

「……俺はもう行くぞ」

 シキサは自分に向けられる視線が嫌になり、足早に店内から出て行こうとする。しかし、それは肩を掴んだスォッグと目の前に躍り出たレイナによって阻止され、シキサの苛立ちが少し増してしまう。

「何だよ?」

 自身の歩みを阻止するプレイヤー二人に鋭い眼光を放ちながらねめつける。そしてそこから最初に口を開いたのはレイナであった。

「初めまして。私は『夜明けを目指す星』でギルドリーダーをしているレイナと言います」

 礼儀正しく頭を下げるレイナの所作は流麗さを感じさせるものであったが、シキサは特に感動を覚えず、挨拶を返しもしなかった。レイナはそれを気にする素振りも見せずに本題へと入る。

「唐突ですが、私のギルドに入って下さい! お願いします!」

「嫌だ」

 切羽詰まったような声音で乞うレイナにシキサは即切って捨てる。しかし、即行で断られてもレイナは負けじと食い下がる。

「入って下さい! どうか協力を!」

「知るか」

「お願いです! もし入ってくれれば専属の職人に頼んで今の装備のグレードアップを!」

「興味ない」

「じ、じゃあ、一時的に私とパーティー組んで下さい! それだけでも構いませんので!」

「しつこい。こっちはそもそも誰かと攻略をしていく気が無いんだ」

 心底うんざりした表情を隠さずに淡々と告げるシキサにレイナは少し揺らぎ、これ以上の勧誘は逆効果だと考えを改める。

「な、なら、せめてフレンド登録を」

「断る」

 フレンド登録でさえも頑なに拒否の姿勢を崩さないシキサの態度に、レイナの眼には涙が溜まりそうになる。仮想世界である『トライバルミックス』では汗を掻く事はないが、感情の表現を再現する為に涙を流す事は可能となっている。

「お前なぁ、フレンド登録くらいはしてやれよ。俺とはフレンド登録してんじゃねぇか」

 レイナがあまりにも不憫に見えてしまったので、スォッグは助け舟を出す事にした。

「スォッグは特別だ。お前には色々と世話になってるからな」

 シキサは真っ直ぐと逸らす事も無くスォッグの眼を見て告げる。

「お前…………」

 自分は特別だと堂々と言ってのけたシキサに、スォッグは胸の内が暖かくなるような感覚に包まれ、ない筈の心臓が早鐘を打っているような錯覚に襲われる。シキサのあどけなさの残る顔立ちが魅力的に見え、そして熱い視線をシキサへと向かわせようとした瞬間に、スォッグははっと息を呑み、現実へと立ち戻れた。

「……はっ!? いやいやいや、そっち側に行っちゃ駄目だろ俺! 俺はノーマル! ノーマルだ! つーかシキサよ、その言い分だと俺がお前のドロップアイテムの買い取りとかしてなきゃフレンド登録解除してたって事か!?」

「あぁ」

 シキサは目を逸らさずに胸を張って言ってのけた。因みに、シキサがフレンド登録を行っているプレイヤーはスォッグを含めて二人だけである。

「素直だなおい!」

 扉が開け放たれたままなのだが、近所迷惑になると言うのについ怒鳴り声を上げてしまうスォッグを誰が責めようか? 少なくとも、傍にいるレイナは責めない姿勢を作っており、先程の光景を見て僅かにだが頬を朱に染めていたりもしている。

「いいからフレンド登録しとけって! ……こう言っちゃなんだが、レイナは見た目可愛いじゃねぇか。ここで可愛い子と仲良くなっといて、現実世界に帰った時に会う約束でもこじつけちまえば儲けもんだろ?」

 後半の部分はレイナに聞こえないようにシキサの耳元で囁いた。

 仮想世界である『トライバルミックス』の容姿はアバターのそれであるが、現実の世界と遜色のない外観となっている。それは出生直後に受ける手術によって脳に埋め込まれる個人認証IDフィルムが影響している。

 個人認証IDとは、初めに性別、名前、戸籍、出生時の体重、身長、筋肉量、骨密度、脂肪等のデータを入力し終えた状態で埋め込まれ、脳波の振幅増減や強弱、ホルモン分泌、各細胞の変遷、他様々な要因を受けて肉体の成長、変化、記憶と共に数値化しているデータを増減させる機能を持っており、これにより個人を識別を図っている。仮に他の人物にIDフィルムを奪って成りすまそうとしても、IDフィルムは術後一時間以内で脳と完全に同化してしまうため、成りすましは事実上不可能となっており、犯罪などを起こせば勿論自身の記憶に残り、IDフィルムへと記録されていく。

 アバターの外観は『トライバルミックス』に限り、脳電波パルス振幅変動システムを用いて脳と同化した個人認証IDフィルムから肉体データだけを読み込み、は現実世界の体と寸分の狂いも無いものが用意される。このような仕様となったのには、ゲームをプレイする上で自分と異なる体格を選んでしまい、現実世界と仮想世界での動きの差異をなるべく無くそうと言う意図が込められており、プレイヤーが変更出来るのは髪、肌、瞳の色と形状くらいである。なので、『トライバルミックス』内での姿はほぼ現実の姿と遜色ないものとなっている。

「うるさい。見た目なんてどうでも良い」

 シキサは耳元で囁き掛けてくるスォッグの顔面を左の手の甲で押し返し、吐き捨てるように言う。普通、シキサ程の年頃の男子ならば可愛い女子を少なからず意識するのだが、彼は意識なぞしなかった。

「見た目?」

「いや、何でもねぇって」

 レイナはシキサが吐いた一言に小首を傾げて、スォッグがシキサが何かを言い出す前に手を横に振って誤魔化しに掛かる。

「それよりさぁ、シキサをギルドに勧誘する理由くらいきちんと言っといた方が良いぞ? 流石に唐突って言ってたけど、理由を言わなきゃシキサじゃなくとも疑うくらいはするぜ?」

「あ、済みません……」

 あまりにも自分勝手に話を進めてしまっていた事に気付き、レイナはしゅんとなって謝る。

「シキサもよ、理由くらいは訊いとけや」

「断る」

「今後買い取り拒否するぞ?」

「……早く話せ」

 スォッグのどうしても冗談には聞こえない固い声音をしかと両の耳で捉えたシキサは、渋面を作りながらも訊く事にした。レイナは理由はどうあれ訳を訊いてくれる姿勢を取ったシキサに面と向かい、またそのように仕向けたスォッグに軽く会釈をして語り始める。

「実は……消息不明になった『夜明けを目指す星』のギルドメンバーを一緒に捜して欲しいんです」

 レイナは息を吸い、感情を揺らさないように整える

「昨日午後六時頃、地下二十七層の南西方面にある湖付近で地下二十八層の探索に向けてレベル上げを行っていたギルドメンバー三名が消息を絶ってしまったんです」

 ハイレベルプレイヤーである『夜明けを目指す星』のギルドメンバーの消息不明。ハイレベルとは何もレベルそのものの事だけではなく、戦術、またトラップへの警戒を含めて他プレイヤーよりも上であると言う事だ。そのようなプレイヤーの消息が断ったと言う事はつまり、ただならぬ事態になっている事を意味している。

「消息ってぇと、別にゲームオーバーになった訳じゃねぇのか?」

「はい。タブレットにあの死亡通知が届いていませんので、ゲームオーバーにはなっていないと思います。私も同じく地下二十七層にいたのですが、突如としてマップから反応が消えてしまったんです」

 レイナは顔に陰を作りながら語る。『トライバルミックス』ではフレンドに限らず、パーティー、ギルド、ブラックリストに登録してあるプレイヤーはマップでその位置が確認出来るようになっている。

「何かトラブルがあっていち早く『ディムブリック』に戻ったって可能性は?」

 シキサはただ黙々と訊いているだけで、気になる点はスォッグが質問をしていく。

「私もそう思い、定時と定めた午後七時になって即『ディムブリック』へとポータルを利用し転送を終えてからマップを見たのですが、反応がありませんでした」

「連絡は?」

「テルやメールを何度もしてみたのですが、返事が返って来なくて……。不安になって地下二十七層へと戻って捜索をしましたが、一向に見付からず……。そして、もしかしたら隠しダンジョンに足を踏み入れてしまったのではないかと言う考えに思い至ってしまって」

 隠しダンジョンとは、地下迷宮の一層毎に一つは必ずあるミニダンジョンの事であり、攻略する上では特に突破する必要が無いが、最奥にはシークレットボスが存在し、倒せば攻略が有利になるユニーク装備をドロップする事が出来る。

 隠しダンジョンの特徴としては入るとシークレットボスを倒すまではテルやメールによる外部との通信、そしてプチポータルによる転移が一切出来なくなる事、シークレットボスを倒す際の人数制限が設けられておらず、他のプレイヤーがシークレットボスと戦闘中でもボスエリアへと入室可能である事が挙げられる。地下二十七層において隠しダンジョンはまだ発見されていなかった。

「南西部を先程まで隈なく捜し回ったのですが、隠しダンジョンの入口はおろか、隠しダンジョンの入口へと繋がる解除装置が見当たらず、また、約五時間もの探索でメンバーも疲弊し、今日の午前九時には地下二十八層の探索を行う事もあったので、やむを得なく一時的に探索を打ち切り、街へと帰還してきました。それでも私は消息を絶ったメンバーの安否が気になていてもたってもいられなくなり、休息を取っているメンバーに声を掛けずに一人でと街を歩き、アイテムが心許ない事に気付いてまだ開いているショップを捜して彷徨っていたのです。そしてここに辿り着きました」

「で、偶然にも地下二十七層のボスエリアを発見し、一人でポータル解放まで行ったシキサがここにいたから、手伝って欲しい、と」

 正直、レイナにとってこの場にシキサがいたのは僥倖以外の何物でもなかっただろう。一人で地下二十七層のポータルを解放したシキサは、まさにこの場合において神が遣わした助けに見えたのだ。

「はい。シキサさんは十日も発見出来なかったボスへリアへと続く北西部の洞窟の入口を塞いでいた岩盤を解除する装置を見付けたようでしたし、更に一、三、五、九、十二、十五、十八、十九、二十三と数多くの階層でも隠しダンジョンの入口を見付け出したシキサさんの力があれば地下二十七層の隠しダンジョンへと繋がる装置を見付けられるのではないか、と思いまして……」

 シキサ本人は自分が隠しダンジョンを見付けた事を他プレイヤーに進言していない。レイナが何故知っているかと言えば、シキサが隠しダンジョンを見付けた姿を遠目から見たプレイヤーに訊いたからである。

 レイナは姿勢を正し、とても真剣な眼差しでシキサを見て、それから頭を下げる。

「お願いします。ギルドメンバーの捜索に協力して下さい」

 暫し、沈黙が訪れる。スォッグは傍らにいるシキサへと視線を向け、シキサはレイナを見据える。

「…………はぁ」

 レイナの心からの頼みに、シキサは溜息を深く吐き、レイナの横を素通りして開け放たれた扉を潜り抜けて店を後にする。

「あ……」

 了承の言葉を貰えず、拒否されてしまったレイナの眼には涙が浮かぶ。シキサならきっと隠しダンジョンを見付ける事が出来ると言う希望を持っていたが為に、理由を告げてから断られた事実に対してショックが大きかった。

「ったく」

 事の経緯(いきさつ)を見ていたスォッグは溜息を吐き、カウンターへと戻り、奥の扉を開けてプライベートルームへと姿を消す。

 この場にレイナだけが取り残された。音も無く膝を床につけ、涙を堪える。シキサが断ってしまったのなら、自分一人ででも捜索に行かないといけない。いや、そもそも一人で捜しに行こうとしてたのだ。そんな折に偶然会ったプレイヤーに頼むのも身勝手な事なので、こうなる事は必然だったのだ、と自分に言い掛けながら立ち上がる。

 それに、シキサにはレイナが本心を語っているとは思えていないのかもしれない。初対面のプレイヤーの甘言に唆されてそのまま転移不可能の隠しダンジョンへと誘い込まれてPKされると言う話もある。普通ならば他プレイヤーの言葉は鵜呑みにするべきではない。それが例え攻略に貢献しているトップギルドのリーダーが発した言葉であろうとも、だ。そこまで用心深くなければ、この世界では生き残ってはいけない。それがソロプレイヤーならば尚の事だろう。


 ピロリン


 ふと、胸当ての内に仕舞っていたタブレットから電子音が流れる。レイナはもしかして、死亡通知が着てしまったのだろうか? と不安に駆られながらも、震える手で難とかタブレットを取り出し、顔の前まで持ってくる。


『プレイヤー名:シキサからパーティー申請が届いています。申請を受理しますか?』


 タブレットに表示された文章を見て、レイナは息を呑んだ。

「本当、素直じゃねぇよな。シキサの奴はよ」

 レイナが顔を上げると、そこにはプライベートルームへと去って行った筈のスォッグが呆れた顔を外へと出る扉に向けていた。右手には身の丈程もある棘の生えた大きな金棒を担いでいた。

「安心しなよ。あいつはソロで攻略を進めてるが、だからと言って他のプレイヤーを見捨てるような真似はしねぇ。シキサは今じゃああだが、根は御人好しだからな。だから、シキサは助けてくれって言われれば、助けに行くさ」

 けどな、とスォッグはレイナへと顔を向ける。瞳にはレイナを責めるようなものと、期待するようなものが綯い交ぜになった色が浮かんでいた。

「あいつは、本当は街にずっといなきゃいけねぇのにそれでも攻略をしていってやがる。本来ならシキサの方が助けを求めなきゃなんねぇのによ、あいつはとある事情から人に助けを求めなくなっちまった。だからさぁ、あんたも助けて貰うだけじゃなくて、あいつの事を助けてやりなよ。あと、人手は一人でも多くいた方が良いと思うから俺もついてくが、構わねぇよな? それと、アイテム買いに来たんだよな? 代金は帰って来てから出いいから、一通り預けとくよ」

 スォッグはタブレットを弄り、レイナへとパーティー申請と商品であるアイテムを幾らか送る。レイナは震える手で画面をタップし、シキサとスォッグのパーティー申請を受理した。頬には涙の筋が出来ていた。




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