第11歯 大切な人との別れは突然やってくる
「あーあ、嫌われちゃったかなあ」
キールは腰を折って深いため息を吐くと、公園のベンチに崩れ落ちるようにして座った。見上げた夜空にきらきらと輝く星々は近いようで遠くて、手が届きそうで届かない。
「そもそも他人に対して嫌いとか、あるのかな…基本的に他人に興味がないよね、あの人は」
維千は誰にでも優しい。それは誰にでも無関心ということでもある。
誰かに認められたいとか、嫌われたくないとか、誰が嫌いとか、独りになりたくないだとか…そういうしがらみが彼にはきっと無いんだろう。来るものは拒まず、去るものは去ればいい。彼なりの苦労はあるようだが、少し羨ましい気がした。
(大切だから、家族だから…か)
嬉しいはずなのに、素直に喜べない。
楽しんでいるふり、気遣っているふり、興味のあるふり…維千はいつも上っ面を何枚も重ねて、見えない壁の向こう側にいるようだった。仕事が絡まない限り、彼の親切には裏がある。
維千が口にした優しい言葉の真偽をキールは判断しかねた。
「悔しいなあ。維千さんはいつも隣にいてくれたのに、私はあの人の隣を歩いていなかったんだもん。わかっているつもりだったのに…維千さんが言った通り、私は全然見えてなかった」
キールは維千の理解者気取りになっていた自分を嘲笑った。白銀の月が雲の向こうに見え隠れして、おちょくられている気になる。
(そういえば、維千さんが言ってたっけ。攻撃してくるのは孤独な奴で、当たり障りがないことばかり言うのは相手のことなんかどーでもいい奴。甘いことしか言わない奴は相手を利用したがっているだけだって…じゃあ、維千さんは?)
キールは眉間を寄せて前傾になると、左膝に右肘を乗せ、頬杖をついて「うーん…」と考え込んだ。
(攻撃はしないけど、時々厳しい…かな。無関心のようで、ここぞの時には誰よりも真摯かも。べたべたに甘ったるいかと思えば、苦々しくもあって。心ないって言われる癖に、巧みに他人の心をかき乱してくる…)
そのうちにほくそ笑む維千がパッと思い出されて、キールは無性に腹が立ってきた。
「あーもう!わけわかんない!」
キールの脳がオーバーヒートして、ついにボンッと爆発する。彼女は今にも壊れそうな頭をガッと抱えると、思いっきり後ろにのけぞった。ゴンッと鈍い音がして、背後に植っていた樹幹にぶつけた脳天が熱を帯びた。
「いったあーい!」
体も心も痛くてたまらない。たんこぶをさすっていたら惨めな気持ちになってきて、キールの目からワッと涙が溢れ出た。
まるで解けない知恵の輪だ。恋愛という迷宮と維千というカオスが強固に絡みあい、キールはアリ地獄に落ちるが如く抜け出せなくなっている。
「あーあ…あんな奇人、なんで好きになっちゃったかなあ」
維千は知っているだろうか、キールのカクテル言葉を。
「キール…最良の巡りあい。そんな出会いだったらよかったのに」
「ひどい顔だねえ」
花の香りのように甘く清楚な声がして、キールはパッと顔をあげた。
「こんばんは」
「こ、こんばん…は…」
誰だろう。ひとりの女性が冬の海を思わせる紺碧の髪をサラサラと風になびかせ、天色の目を微笑ませてこちらを見ている。
(綺麗なひと)
月明かりに照らされる姿はまるで天女だ。この世の者とは思えぬ美しさに、キールはごくりと息を飲んだ。
女性は優雅な動きで歩み寄り、少し前屈みになると、すらりとした指先でキールの涙を優しく拭った。氷のように冷たい指がキールの熱を冷まして、涙といっしょに怒りまで拭ってもらった気になる。
「かわいそうに。あの子に泣かされたね?」
「あの子…?」
「やたら冷たい、青い子だよ」
(この人、維千さんを知ってる…)
キールは目を皿にして女性を凝視した。彼女が形のよい唇をニコッと微笑ませると、心臓を鷲掴みにされたようにドキドキする。
維千の知り合いといえば大抵、仕事がらみか酒がらみだが…彼女の立ち振る舞いは、そんな風には見えない。かと言って維千に恋人はいないし、彼の友達は酒と刀だけだからそういった関係でもないだろう。
(家族…親戚…とか?)
そんな話は聞いたことないが、女性の妖艶な微笑みに維千の面影がなくもない。
キールの中で女性に対する好奇心と警戒心が焼き餅のように膨れ上がりせめぎ合う。
対して女性のほうは話しかけてきたにも関わらず淡々として、巣穴をほじくられた蟻のごとく混迷を極めるキールにはあまり興味がないようだ。
「氷妖には心がないからね。もっともあの子に限っては、まったく心がないわけじゃないよ。半人半妖、厄介な生き物さ。冷たくもなりきれず、温かくもなれない…彼はきっと内から湧き上がる異物を持て余しているだろうね」
「半人半…妖?」
きょとんとするキールに女性は含み笑いを浮かべるだけで、何も答えようとしない。凍りつくような冷たい手にそっと頬を撫でられて、キールの背筋にゾゾッと悪寒が走った。
(この人。維千さんに似てるけど、全然違う。なんか…怖い)
「あの子の心はあの子自身、わかっちゃいないのさ。ふふ、彼の心が知りたいかい?」
「あなたは…誰?」
女性はやはり答えない。同情するような素振りをしていたが、キールの問いかけに答える気はさらさらないらしい。
彼女は蔑むように冷ややかな目をして、キールの手を受け皿の形にするとパチンと指を鳴らした。
「いいものをあげようか。あの子が世話になっている礼だよ」
どこから現れたのか、キールの手にストンと万華鏡が落ちる。
「万華鏡…?」
「心眼の魔道具だよ。触れた相手の心が見えるのさ」
「心が?」
キールがこわごわ万華鏡を覗き込むと、そこに月明かりを受けて色とりどりに輝く世界が広がっていた。
「綺麗…」
夢のような光景に心奪われて、じっと目が離せなくなる。
ふいに木々が不気味にざわめいて、冷たい夜風が頬を撫でる。キールがはっと我に返ると、そこにはもう女性の姿はなかった。
「諦めたら…諦めたら終わっちゃうのよ?」
蛍は日に焼けた文庫本を閉じて、涙がこぼれ落ちぬよう天井を仰いだ。物語は蛍と年を同じくする男女が運命に導かれるように惹かれあい、中盤までキュンにキュンを重ねる流れ…だったのだが、実は男には忘れられないひとがいて、女は勇気を出して告白するも断られてしまうという急展開で1巻は幕をおろすのだった。
異国文化に疎い蛍が同年代で流行っているものを訊ねたところ、姫魅はこの恋愛小説『愛駆ける君に』を薦めた。どうやら実写映画化もされているようで、人気アパレルブランド『Be-lMo』の専属モデルが女優デビューしたことでも話題になったらしい。
「姫魅、やるじゃない。愛君…悪くないわ」
誰もいなくなった寮の談話室で、蛍は満足感に満たされた身体をうんと伸ばした。時計の針はとっくに22:00を過ぎているが、待ち人のサラは一向に現れない。
「サラさん、身体が強くないみたいだし…もう寝てるのかも。渡すのは明日にしようかしら」
蛍は気の抜けたあくびを手にした紙袋で隠して、残念そうに呟いた。
(喜んでもらえるかしら…怒ったりしないわよね?)
紙袋の中身はティースの人気カフェ「Hi!Calorie」で購入したサラへの土産だ。「サラにはそういう繋がりが必要ですから」とイルカに懇願され用意したものである。
蛍はサラのことをこれっぽっちも知らないから、靴下、マスコット、文房具、メンズコスメ…鬼気迫る顔で色々悩んだ。大食いの彼には食べ物がいいだろうとの結論に至り、土産は焼き菓子にした。
苦労して選んだ割に喜んでもらえる自信はない。そもそも彼は他人を避けたがっているのだから、なにを選んだところでとんだ迷惑だろう。
維千にも相談したが、まるで他人事だった。
「あなたはサラくんじゃないでしょう?他人の考えていることなんて、いくら考えてもわかりっこないんですから。蛍ちゃんが好きなものをあげればいいんですよ。そっちのほうが相手の世界も広がるでしょう」
それはそうだが、そうじゃない。
キールに土産を探していた維千はその言葉通り、彼女のことを熟知しているにも関わらず、どこに需要があるのか疑問に思うほどぶさいくなキャラクターグッズを真剣な眼差しで選んでいた。
(維千さんのお土産は、喜んでもらえたかしら?)
膨れあがった不安で心が重苦しい。「維千が選んだ物なら絶対に喜ぶ」だなんて無責任なことを言ってしまい、さらには維千の気が変わらぬよう、厳選されたぶさいくを「かわいい」と褒めてしまったものだから、蛍は自責の念を覚えた。
しかし、だがしかしだ。
否応なしに女性慣れしているであろう見栄えがする容姿で、何でも卒なくこなす維千が、女性への贈り物にまさかあの犬とも馬ともつかぬキャラクターを選ぶだなんて誰が思うだろうか。
「大丈夫。今頃きっと喜んでいるわよ」
寮の受付にチラッと目をやって、蛍は思わずにやけ顔になった。カーテンが閉まった小窓に「所用にて留守にしています」のメッセージが貼られている。
「…所用、つまりデートね」
蛍はギラッと目を光らせて、企んだような笑みを浮かべた。
昼過ぎには買い物をすべて済ませ、ティース中央ターミナルで維千と別れた蛍はその後、寮の自室で片付けをしていた。
陽も傾いてきた頃、そろそろ大食堂で夕食にしようとラウンジに降りると、おめかしをしたキールが鼻歌を口ずさみながら寮を出ていくのに遭遇したのだ。
浮かれた様子の彼女は蛍に気が付かず、度々足を止めては窓ガラスに映りこんだ自分を不安げに、それでいてどこか期待に満ちた嬉しげな表情でまじまじと見つめていた。
(間違いないわ。おしゃれして、あんなに喜んでいたんだから。お相手は維千さんね)
恋とはあんなにも人を輝かせるのかと目を見張る。キールが維千に惚れているのは誰から見ても明白だった。
(維千さんならやっぱり…お酒?かしら。案外、水族館とかレイトショーとか…それこそ、恋愛映画を観たりして!)
愛君から得た知識を余すことなく活用して、蛍は妄想に耽った。現実味のない、理想を寄せ集めたような小説なのだが、デートの経験も一般常識もない蛍はそれがこの国の通例だと思い込んでいる。
(世界の恋はなんてロマンチックで華々しいの!)
灼熱と砂嵐の地ガルディでは皆、生きることに必死である。当然、娯楽施設と呼べるものは殆どない。王宮に呼ばれた曲技団が舞台や歌などを披露することはあったが、市民の娯楽といえば王都でさえ、かろうじて闘技場と小さな酒場がある程度だった。デートなんてせいぜい散歩して飯屋で食事をするくらいだろう。それでも恋人たちが幸せを感じるには充分だったが。
「恋かあ…」
蛍は恋をしたことがない。結婚は小国が生き残るための手札だったから、自由に恋するなんて考えもしなかった。
かと言って、恋する機会がなかったわけではない。ガルディは閉鎖的な小国で資源にも恵まれなかったが、不思議と縁談が絶えることはなかった。だだそれも蛍のじゃじゃ馬っぷりが相手の度肝を抜いて、破局に終わるのが常であった。
「あーあ、恋したい。恋をしたらどんな気持ちになるのかしら」
嬉しい?楽しい?もどかしい?イルカはありきたりの日々が鮮やかに輝くと言っていた。彼は恋をしたことがあるのだろうか。
「まずは明日、キールさんを問い詰めなきゃね!」
無邪気な笑顔を火照らせて、はにかむキールが目に浮かぶ。
こうして擬似体験するだけでも気持ちが高まり、幸福感で心が潤っていく気がした。未知への好奇心や憧れもあるのだろうが、やはり蛍も年頃の少女だということだ。
(恋がしたいだなんて、私も平和ボケしたものね。本当はこんな暢気にしている場合じゃないのに…)
悠々自適な生活に慣れていく自分に罪悪感が生まれて、蛍は曇天のように表情を暗くした。蛍の生活が向上するとまるで彼女が幸せになるのを阻むかのように、ガルディで苦しむ民衆やふたりの兄が頭を過ぎって、心に鉛のような影を落とした。
「前に進まなきゃ。私はどうしたらいいの?お兄様…」
キラキラと眩しい照明に吸い寄せられて、何処からか迷いこんだ白い蛾がパタパタと飛んでいる。その不規則な動きは、もがいているようにも踊っているようにも見える。そのすぐ側に蜘蛛が不気味に巣を張って、舞い踊る蛾を闇に引き摺り込もうと、虎視眈々とその時を待っている。
「夜に考え事をしてはダメね。どんどん気持ちが沈んでいくわ。もう寝ましょう。お土産は明日渡せばいいんだから」
蛍はふうっとため息をついて、本と紙袋を腕に抱えると心ならずも席を立った。お土産を渡すのは口実で、本心はきっとサラと話したかっただけなのだ。
カラ…カラン…カランカラン
玄関のパイプチャイムが歯切れの悪い音を鳴らして、蛍は飛びつくようにパッと顔をあげた。
「サラさん?」
招かれざる訪問者に蛍の思考は急停止し、彼女の喜色満面は一気に凍りついた。
ラウンジで蠢くソレは粘性のある真っ黒な巨体から黒い糸を引いて、ヌチャ、ヌチャっと気味の悪い足音を立てている。
いや、正確には手音と言うべきか。その生き物はちんちくりんの脚を地面から浮かせて、極端に長い4本の腕で歩いているのだ。
腹には開けっぱなしのファスナーがついていて、そのまた奥に開いたファスナーが無限廊下のように幾重にも続いている。
(なに…これ。怪物…)
その怪物はキョロキョロと顔を振って、なにかを探すようにぐるぐると徘徊していた。目らしきものは何処にもなく、蛍の存在にはまだ気付いていないようだが、ロバのように大きな耳は絶えず向きを変えピョコピョコと動き続けている。
(今のうちに逃げなきゃ…逃げなきゃ…動け、動け、動け…!)
駆け出そうとした瞬間、怪物の腹から体の一部がボタボタっと溶けるように落ちて、蛍は愛華に刺された涼風の腹から血が塊のように滴り落ちていたのを思い出した。
(嫌…嫌…嫌…!)
目の奥にこびりついた凄惨な光景が鮮明に甦って、蛍の頭はフラッシュを焚いたようにパッと真っ白になった。
あの日と同じく、蛍は震える足でそこに立っているのがやっとだった。
(何も変わっていないじゃない…私はまた繰り返すの?)
涙はどんどん溢れてくるが、身体はピクリとも動かない。魂を抜かれたように全身が力を失って、抱えていた本と紙袋がドサッと音を立てて床に落ちた。
怪物の耳がパッと蛍のほうを向いて、後を追うように怪物がゆっくりと振り向く。そいつは歯が1本抜け落ちた口をニタァと歪ませて、鋭い爪を振り上げた。
「目を閉じろ!」
堂々とした声がラウンジに轟いて、蛍は言われるがままにギュッと目を閉じた。バチバチッと激しい音がして、瞼の向こうが青白く光る。
『ウオオオ!!』
怪物のおぞましい悲鳴が空気を震わせ、生き物の焼ける臭いが鼻をついた。蛍が恐る恐る目を開けると、怪物の身体から煙があがり、その表皮は溶岩のようにドロドロと溶け出している。
怪物が息を荒げて振り向いた先に燃えるような赤目を見つけて、蛍はパアっと表情を明るくした。
「サラさ…」
サラがシッと口元に人差し指を立てる。蛍は慌てて両手で口を覆うと、壊れたブリキ人形のようにコクコクと何度も頷いた。
サラはどこからか現れた2本のナイフを放り投げてはパシッと両手に握って、繰り返し感覚を確かめている。
『イダイ…イタイヨ…オマエカ?オマエ、ダナ?』
怪物は表皮が粘性を取り戻すとグルルと憎らしげに歯を向いて、サラ目掛けてバッと駆け出した。
「ごめん。俺だ」
ナイフを握ったままの両手をパチンと顔の前にあわせて、サラが本当に申し訳なさそうに頭を下げたので、蛍はずっこけてしまった。
この緊迫した状況で、敵に心から謝る奴があるか。
(サラさんって…もしかして天然?)
サラは涼しげな顔で怪物を見据えるとナイフを握り直して、それの股下にザッと滑り込んだ。彼がくぐり抜ける間際にそれの手首を切り裂いて、バランスを失った怪物はダアアンッと大きな音を立ててその場に崩れ落ちた。
『イタイ…イダアアアイ!!!』
「ごめん」
ビリビリと体が痺れるような叫び声に、サラはまたもや律儀に謝っている。彼はすぐさま蛍に駆け寄り、その小さな顔をずいっと寄せると穴が開くほど彼女を見つめた。
「な、なんですか?」
目鼻の先でサラのかわいらしい猫顔がこちらをまじまじと覗き込んでいる。蛍は動揺を隠せずに頬を赤くしてたじろいだが、彼の返事は至ってシンプルだった。
「…怪我はない?」
(いや!見つめてないで、さっさと訊きなさいよ!)
心の声を押し殺して蛍がコクリと頷くと、サラはホッとした表情で小さく微笑んだ。
(ちょっと笑った…)
裏表のない温かな微笑みに緊張の糸がプチンと切れて、蛍は堰を切ったように泣き出してしまった。
「ごめんなさい。怖くて…死ぬと思ったから」
ぼろぼろと涙をこぼして泣きじゃくる蛍に、サラはどうしていいかわからずオロオロしていたが、ふいに彼女をぎゅっと抱きしめると響きのある声でゆっくりささやいた。
「大丈夫。大丈夫だよ」
「ふあっ?!」
「え?」
サラは蛍を落ちつかせたかったようだが、彼の思いとは裏腹に蛍はカァーッと顔を火照らせてパニックに陥っている。
サラはサラで蛍がなぜ慌てふためいているのか訳がわからず、その無表情の下で静かなるパニックを起こしている。
(この人、天然じゃない…ど天然よ!)
ドォンッ!と大きな音がして、ふたりは同時に振り向いた。そこに這いつくばっていたはずの怪物が4本の腕でしかと立ちあがり、にやにやと気味の悪い笑いを浮かべているではないか。切り裂かれた手首は何事もなかったかのように修復している。
「やっぱり浅いか」
サラが刃の欠けたナイフを放り投げると、それは霧が晴れていくようにスッと何処かに消えてしまった。
『ユルサナイ…オマエ、ユルサナイ!フザケルナ…フザケルナ、ヨ!』
「俺は至って真面目だ」
(いや、そういう意味じゃないのよ。サラさん、真面目にふざけてるでしょ?!)
サラがキリッとした表情で怪物に答えるので、蛍は喉元まで出かかったツッコミを必死に飲み込んだ。
ここまで読んでくださった方がもしいらっしゃれば、本当にありがとうございます。作者が嬉しいのはもちろんのこと、登場人物たちにとって何よりの幸せです。
主人公のひとり、蛍のイメージは優等生を強いられてきたどこにでもいる女の子です。
維千は生まれつき他人と感覚が違います。彼なりに馴染もうと努力しますが、なかなか理解してもらえません。
サラは他人を傷付けるのが怖い子です。相手を大切に想うからこそ、傷つけないように距離を置く…優しすぎるんです。
イルカさんは(作者もさん付けしてしまう)愛されるよりも愛することに幸せを感じる人です。極秘事項歳ですが、もう悟り始めています。
書けているかな?書けるだろうか。
引き続き、のんびり気ままに書いていきます。
拙い文章ですが、おつき合い頂ければ作者、登場人物ともに幸いです。