悪役令嬢は救済クエストに全力投球!? 〜転生した瞬間に、ガッツリ詰んでます〜
ハッ!と目が覚めると、見たことがあるのに、見たことがない世界。
――――ここ、どこ?
結論から言えば、乙女ゲームの世界に転生していた。
主人公じゃなく、悪役令嬢として。
「レベッカ! お前と婚約破棄する!」
転生していたと気付いたその瞬間に、断罪シーンだった。
見覚えがある。だって、このあとに出てくる主人公と王子のスチルが美麗で美麗で、悶え苦しんだから。
悪役令嬢レベッカはこのあと、牢屋に入れられて鞭打ちの刑で命を落とす。
――――え? 私、死ぬの!?
こりゃいかん!と、踵を返して大脱走を図ろうとしたけど、すぐさま騎士に捕まってしまった。
「レベッカ嬢、オイタが過ぎましたね」
――――この銀髪碧眼な騎士は。
たしか、主人公とレベッカが親友になるノーマルエンドストーリーでレベッカの横にいた…………。
あっ! レベッカの次の婚約者だ!
たしか主人公が王子との相性上げに失敗すると、レベッカが自ら身を引いて、ぬるっと婚約者にはなるものの、ぬるっとお話も終わるパターン。
「えっと……ローザリオ、さま?」
「牢に連行する」
「ふぉあ!? ちょいまち! まじで、ちょいまち!」
「……あんた、そんなキャラだったか?」
訝しむような目で見られたけど、縋り付かないわけにはいかない。
これ、絶対にレベッカの救済クエストだ!
ローザリオをオトさないと!
「ローザリオさまっ、わたしくし、心を入れ替えましたのですよ!」
ぶっちゃけると、ガチで心が入れ替わってるというか、中身が違う人間になったし!
「……はぁ?」
ローザリオは、騎士団長の息子。
どうにかこうにかやったら、たぶんどうにかこうにかなるはず!
今は頭が真っ白でなんにも考えられないけど。
「ワンチャンください!」
「……犬?」
「いや! なんでこのタイミングで犬ですか! ワンチャンスでしょうが!」
「ブフッ」
ローザリオが碧眼を細めて吹き出した。
これはもしやもしや?
「殿下」
「何だ?」
「牢に連れていきます」
ワンチャンなかった!
「あぁ。鞭打ちの刑でいい」
「承知しました」
救済クエストォと呟きながらしょんぼり項垂れていたら、またローザリオが吹き出した。
「牢でちょっと話を聞かせろ。状況によっては、その救済クエストやらで救済も考えてやる」
あら? ローザリオって美麗な見た目と違って、こんなキャラだったのね?
王子しか攻略してなかったから気づかなかった――って、ちがう!
これ、ワンチャンあるわよね?
救済クエスト、やったるわよぉぉぉ!
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