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すぐ傍にヤンデレがいる  作者: 夢乃間
第一部 一章 食人狂
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扉の向こうにヤンデレがいる

扉の先に人が立ってる。しかも1時間も前からだ。10分毎に覗き穴から様子を伺っているが、扉の前で微動だにしていない。

その人は僕よりも10以上大きくて170・・・いや、もしかしたら180くらい。黒いレインコートを着ている。容姿はレインコートで隠れていてあまり判らないが、深く被ったコートから見える長髪や口元の艶っぽさから察するに、男性には見えない。

男性だろうが女性だろうが、どちらにせよ何の目的で僕の家の前に立っているのかが不可思議だ。何かの勧誘だろうか? 少し怖いが、声を掛けてみよう。


「あ・・・あのぉ・・・」


『っ!? やっぱりいるんだね!!!』


僕が声を掛けた途端に、扉の前に立っていた人物が勢いよく覗き穴を覗いてきた。とても綺麗な眼だ。声から察するに女性だろう。


「いや・・・どうしてずっと、僕の家の前にいるのかな、って・・・」


『もちろん君に会いたいからに決まってるでしょ! さぁさ、理由が分かったなら早く扉を開けて!』


やたらフレンドリーに接してくるが、今の所僕が見たのは彼女の眼だけだ。


「いや・・・あの・・・あなたって、誰・・・なんですか?」


『私? 私は宮代 葉月! 君の先輩だよ!』


「先輩って事は、学校の・・・?」


『そうそう! ほら、分かったなら扉開けて?』


宮代 葉月・・・学校の先輩・・・駄目だ、分からない。というか、何故彼女は僕の家を知っているんだ? それに、僕の事も。


「宮代さんって、その・・・なんで僕を知ってるの・・・?」


『君が好きだからだよ?』


「いや、それ理由になってない・・・のかな?」


『細かい事は気にしない気にしない! ほら、開けて?』


「・・・開けたら、どうするんですか?」


『どうするって、もぉ~! 言わせる気なの~?』


自分の身の為にも出来れば聞いておきたい。まぁ聞いた所で、この扉を開けるかどうかは別だけど。


「知りたいんです」


『っ!? そ、そんなに私の気持ちを知りたいのね!?』


すると、扉のドアノブが激しく上下し、ドアノブのガチャガチャ音と共に、宮代さんの荒れた息が聴こえてくる。まずい、ヤバい人だ!

僕は途端に怖くなってその場から自分の部屋に逃げ、布団にくるまった。布団を僅かにめくって玄関の様子を伺っていると、まだドアノブはガチャガチャと上下している。

困った・・・警察に電話しようにも、玄関先にしか電話がない。恐ろしくって震えている今の僕じゃ、布団から出てあそこまで行く事は不可能だ。頼みの綱は両親のどちらかが帰ってくる事だけど、今日は遅くなるって言ってたし、帰ってくるにはまだ時間が掛かりそうだ。


そんな時だった。


「入るねー!」


「え・・・?」


宮代さんが家の中に入って来た。どうやって鍵を開けたのかは知らない。でもそれよりも、宮代さんが家の中に入って来たとは最悪な状況になってしまった。

僕の家は二階が無く、部屋も少ない為、隠れてもいずれは見つかってしまう。それに今隠れている布団の中なんて真っ先に見つかって・・・。


「ここにいるのかな~!」


僕が隠れている布団の前で、宮代さんが立ち止まった。


「どこかな~! 隠れるのが上手なんだね~!」


 嘘だ。明らかに分かっている、ここに僕がいる事を。


「・・・布団」


「っ!?」


「えいっ!」


「んっ・・・!?」


 宮代さんが布団に飛び込んできた。声が漏れそうになってしまってすぐに口を塞いで我慢したが、それは無駄な抵抗だという事は痛い程分かっている。

 その証拠に、宮代さんは布団の上から僕の体を触ってきた。腕・足・頭の順に撫でていき、布団の上から耳元に近付いて話しかけてくる。


「ねぇ・・・」


「・・・!」


「私ね、ずっっっと待ってたんだよ? 今日のこの日を」


「・・・どうして?」


「あは! やっぱりいた!・・・だって今日は、君の両親の帰りが遅い日でしょ?」


 どうして把握しているんだ?


「駄目だよー? いくら友達にとはいえ、人の多い学校内で自分の情報をさらけ出すのはさ。悪い人に押し入られちゃうよ?」


 確かにそうだ。現に、今この状況がそうなのだから。


「ねぇ・・・どうして隠れるの? 私の事、嫌いなの・・・?」


 さっきまでの明るい声色が、突然悲し気になった。彼女の事は知らないし、勝手に家に入って来た事に対しての恐怖が収まった訳ではない・・・ないんだけど。


「嫌いって訳では・・・僕、宮代さんの事・・・あまり知らないし」


「・・・知らない、か・・・」


「宮代さん?」


 なんだろう・・・もしかして、僕が忘れているだけで、昔何か大事な約束をしてたとか・・・。


「・・・こんなに顔が良いのに知らないなんて、私もまだまだね!」


 違った、ただのナルシストだこの人。さっきまでちょっと歩み寄ろうとしたのが急に馬鹿らしくなってきた。


「まぁ、いいわ。これからたっぷりと、教えてあげればいいんだから。私の顔も、声も、匂いも、趣味も・・・ね」


 まずいまずいまずい!!! このままじゃ命がいくつあっても足りないくらい命の危機だ! 





「・・・ぅ、ぅ~ん・・・」


 眠い・・・というかそれより重い・・・重い?


「・・・うわぁ」


「すぅ・・・」


 そうだ思い出した。あの後僕は殺されずに、あのまま上に乗っかられたまま普通に寝ただけだったんだ。


「はぁ・・・なんなんだ、この人?」


「すぅ・・・えへへ・・・雄介君・・・」

【人物紹介】


北崎雄介 16歳 男 165cm 53kg

・明るく、誰とでも話せる人物・・・を演じている。実際は一人が好きで、自分の本心を他人に知られるのを嫌がっている。

・お化けや殺人鬼に対して恐怖を感じられるが、死ぬ事は何とも思わない。

・白髪交じりの黒髪 男子にしては髪が長いが、長すぎる訳ではない。髪を伸ばす理由が、髪を切られている時が至福の一時だから。

・嫌いな食べ物 味の濃い食べ物

・好きな食べ物 コーヒーとブロック状の栄養食

・好きな場所 一人で静かに過ごせる場所


宮代葉月 17歳 女性 177cm 50kg

・容姿抜群。成績優秀。身体能力最強。

・学校内では男女問わず目を奪われるような存在であり、その事を本人も知っている。その為、並外れた自信を持っている。

・長い黒髪と日本人には珍しい青い瞳。

・好きな食べ物 肉

・嫌いな食べ物 無し

・好きな場所 北崎雄介が幸せそうにしている場所

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