第9話「黒生組」
暇だぁ〜
勉強しろってか?
ヤル気が起きません。
そんな作者で〜す( ̄ω ̄)
雲一つ見当たらない青空を見上げながら零は学園の屋上で大の字で寝ていた。
今の時間はお昼、零達は一年生の頃から立ち入り禁止の屋上を勝手に上がっては昼飯と昼休みを満喫していた。零は屋上で大の字になって昼寝するのが日課らしい。
大の字で寝ている零の横には昼食らしく購買で買ってきた色々なパンを食べている黒須学園生徒会書記の尾井群が胡座をかいて座っていた。
「…静かって…良いよな」
「……そうだな」
尾井群は零がいきなり何故そんな事を言ったのか理解していないが一応答える。そういう男である尾井群はあんパンを袋から開けモグモグと食べる。
「あんパン美味いか?」
「……美味い?」
零は何故に疑問系!?、と思っていると静かだった屋上に騒がしい奴らやって来た。
「芦田先輩はアソコで甘栗パンを買っていれば私の苺メロンパンと交換出来たのに何ですぐに食べちゃうの〜!?、マジあり得ないんですけど〜」
「いやだねぇ〜、俺はそんな苺メロンパンの為に必死こいて奪い買った甘栗パンを水波ちゃんと交換する程堕ちていないのデス!!、そっちの方がマジあり得ないんだけど〜〜」
「芦田先輩は授業もまともに聞いてるとは思えない、だから頭使って無いんだからお腹減ってないでしょ!!」
「ちょ待てやぁぁ、確かに授業では配られたプリントを折り紙みたいにして遊んでたりしてるけど俺だって人間です、腹は減る!!」
などと言い争いながら屋上に繋がる扉から入って来る芦田峰春と凪瀬水波が居た。
「嗚呼…俺の至福の時間を邪魔しに来やがった〜」
零は騒がしい二人の声を聴いた瞬間に俯せになって耳を塞いでいる。
尾井群はあんパンを食べ終わり次にコロッケパンをモグモグと食べている。
「う〜い零、お前のパンも買って来てやったぞ〜」
「零兄は私が買って来たパンを食べるんだもんね〜♪」
芦田は買ってきたパンを零の前に差し出した後に水波も買ってきたパンを零に差し出す。
「う〜〜〜〜ん、水波のその青緑色のパンは何だ?」
「うふっふっふ〜新発売されたこのパンは手に入るのは本当に稀で今日は運良く余ってたコレを買えたんだよ、名付けられた名は…カビパン!!」
「芦田、お前のパン貰うわ」
零は芦田が差し出したパンを貰った、水波はガーン、と何処からか効果音を出しながら落ち込む。
芦田が零に買って来たのはカレーパンで零も辛い食物は好物なのですぐに食いつく。
するとまた屋上の扉から誰かがやって来た。
「あぁここに居たんだね、お兄ちゃん達。捜したんだよ」
凪瀬双子姉妹の凪瀬火波が入ってきた。
「ごめんね、水波ちゃん。委員会の集会があって遅れちゃった」
「大丈夫だよ火波、パンとか少し買って食べてるだけだからさ。早く食べよ、食べよ♪」
火波は遅れたことを水波に謝っていたが水波は気にしておらず火波が持って来た弁当を早く食べようと火波に言う。
零は芦田からカフェオレを勝手奪い取って義妹達のやり取りを見ていた。
そして尾井群はコロッケパンを食べ終わると今度は焼きそばパンを食べ始めている。
「つか、最初は屋上に居たの俺だけだったのにいつの間にかこんなに集まってんな…」
「零さんよぉ〜、集まってるって言ってもたったの5人だぜ?、しかも俺はまだしも生徒会の副会長と書記が此処に居るのはヤバいんじゃないですかな〜」
「……別に大丈夫だと思う、カフェオレくれ」
「ハイよ、尾井群が言ってんだからダイジョブでしょ。なぁ火波、そのタコさんウインナー美味そうだな。頂戴」
「あっ、うん!!、良いよお兄ちゃん」
「ちょっつ零さん、何気に俺のカフェオレを尾井群にやるなよ!」
「零兄、私のタコさんウインナー上げるよ」
零が火波が広げていた弁当箱に入っていたタコさんウインナーをくれ、と火波に聞くと火波は嬉しそうに零にあげた。
水波も弁当箱に入っていたタコさんウインナーを零にあげる。
そして零から貰ったカフェオレを物凄い勢いで飲んでいる尾井群、その尾井群を見た芦田はおいコラァァ!!、と叫んで尾井群からカフェオレを奪い返そうとするが尾井群の腕力に勝てず全部飲み干された芦田が居た。
「二人はこの学園を満喫してるか?」
「零、お前はホントいきなりだな。」
「何だ芦田、俺のかわゆい妹達に聞いてんだ、お前のような塵男に聞いちゃいない」
「何この毒舌!?」
「……大丈夫だ芦田、お前は良い方の塵男だから」
「えっ!?、良い方とか悪い方とかあるの塵男って!?」
零のいきなりの言葉に芦田がツッコミを入れると零と尾井群に塵男と呼ばれショックを受ける芦田。
「で、どうなのよ」
「楽しいよ、やっぱ苦労してこの学園に来ただけあったね♪」
「うん、お兄ちゃんにも逢えたしね」
双子は満面な笑顔で零に答える、零もこの笑顔を見たら少し嬉しくなった。
そんなワイワイと騒いでいると昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
尾井群は食べ終えたパンの袋を一つに纏め最後の焼きそばパンを口に加えながら入口に向う。
水波と火波はもう食べ終え包んだ弁当箱を持って立ち上がる。
「じゃ私たちも行こっか火波、次の授業なんだっけ?」
「美術だよ水波ちゃん、美術室に向かわないと間に合わないよ」
「うぇ〜次は美術かぁ、私美術得意じゃ無いのに」
そんな二人は零にまたね、と言って屋上の入口に向かった。
「ふぁぁぉぁ〜、眠くなってきた時にチャイムとは随分と空気を読まねェ学園だよな、芦田」
「…ぐがぁ〜」
零は入口に出て行った三人を見送った後、すぐに立ち上がり欠伸をしながら学園のチャイムの愚痴を芦田に振るが、芦田は何とも気持良さそうに昼寝をしている。零は足で芦田の頭をゴツくが逆に零の足に絡み付いてきた。
「くっ…ウゼェ」
女の子ならまだしも…って女の子でも問題はあるが男が男の足に絡み付く場面なんて誰が喜ぶだろうか、零は本当に加減無く芦田の手を払い腹溝一直線に蹴る。
「ひぐっ!?」
芦田は奇妙な鳴き声を出すと顔を真っ青になってまた眠る。永眠でないことを祈る。
「これはちとマジィか…でも芦田だから別に良いか…、てか俺も急がねぇと授業に間に合わねーな」
屋上で気絶してる芦田を放って零は自分のクラスに戻っていった。
※
キーンコーンカーンコーン
定番でありお約束であるおなじみのチャイムが鳴り全ての授業は終わった。
結局、芦田はあの後、六時限目の頭頃にやっとクラスに戻って来るなり零に殴り掛かろうとしたがその授業担当教師があろうことか零たちのクラス担任の出雲由先生の授業の時間だった。芦田が零に殴り掛かろうとした“瞬間”の間に何発入ったか分からないくらいの速さのチョークが芦田の身体中に軋込んだ。
そして六時限目が終わった今、五時限目をサボっていた芦田を職員室に連行されて行く所を見送りながら授業で疲れた体を起こし、生徒会室に向かおうとした時、同じクラスのツインテールにウェーブが掛かったオレンジ色の髪をした女の子が零に声を掛けてきた。
「やっほ、黒神くん。これから生徒会の仕事なの?」
「ん…?、芽実か。そうだな〜、何か俺が副会長になっちまったんだ。行くしかないな」
「大変だねぇ黒神くんも、今回のは生徒会の役員多いよね〜」
芽実が零と喋っているいると学級委員長の角阪柚葉が学級日誌を持ちながら零に話し掛けてきた。
「零ちゃんは副会長になっちゃったから大変なのよねぇ〜」
「まぁ…まだ詳しい事は聞いちゃいないけどさ、何か新しい仕事があるらしい…」
「ええぇ!?、大丈夫なのその仕事。雹華ちゃんはまだ学校休んでるって聞いたけど、この前の“爆発事件”と何らかの係わりがあるんじゃないのぅ〜〜」
(うぅ…鋭いな芽実は、てか爆発事件ってレベルじゃないだろあの爆発跡は…ってアレ?、何で爆発事件なんて知ってんだ?、確かにあんな朝早くから生徒が学園に居るなんておかしくないけど…)
零は何故、芽実があの妖刀師同士の戦いを遠回しに聞いてみると、
「えっ?、だって私が部活で朝早く学園に来てたんだけど、グランドに飲酒運転していた車が突っ込んでガソリンが流れ出て爆発したんでしょ?、何でも生徒会に恨みを持つ人が運転した車がって五条先生が言ってたよ?」
見事に真実を偽りに変えていた。だが零はあんなに派手に爆発やらで荒らした芝生やグランドはどうしたのだろうかと思っていると柚葉が話を繋げてきた。
「確かにあの爆発跡は変よね〜、あっちこっちに爆発跡が残ってあったもの」
「あっれはねぇ〜私の推測が正しければきっと彼処では未知な魔物と戦う可憐な魔女っ娘ツンデレ美少女が居たんだよォ♪」
「芽実ちゃんはまたアニメ見てたでしょ〜」
柚葉と芽実は話から逸れ、爆発事件の話はどこかに言ったのを丁度に零は二人にじゃなぁ〜、と挨拶をして生徒会室に向かった。
※
場所は変わり学生寮、一応男子寮と女子寮に別れているが、基本的に元女学園だけあって女子寮の設備と男子寮の設備は天と地だ。そんな設備が余り良くない男子寮のとある一室には山吹色の長髪を後ろにまとめた少年と白髪で立てた髪に愛嬌のある顔に厳しい表情を張り付けた巨漢が何やら話込んでいた。
「…俺は生徒会室に呼ばれているんだがどうしたら良いだろうか」
「はぁ?、何でお前が生徒会室に行くんだ?、何かしたのか白宇」
「俺は何もしていない、だが生徒会には俺の兄が居るんだ」
「はぁ……じゃ行けば良いだろぅが俺は関係無いし」
「お前も呼ばれているんだぞ、銃耶」
「はぁあ!?」
白宇と呼ばれた白髪の巨漢は決して広いとは言えない一室の真ん中にある小さめのコタツに入っている銃耶は横になり掛けた時に白宇が言った言葉で上半身を上げた。
「何で俺が呼ばれねーといけねぇのよ!!」
「……俺に言われても困る、あとは妹と柱木を呼ばなくては…」
「何ッッ!!」
銃耶はコタツから身を出し白宇に飛び掛かる、白宇は少し引き気味で、あ…あぁと返事をする。
(くぁぁぁ、白宇の妹と言えば入園した当時から学園美少女ベスト3に入る白亜ちゃんじゃねぇのか!?、柱木って奴は知らねぇけど……」
銃耶は少し悩むとイッヨォシ行ってやるよ、と銃耶が言うと白宇はそうか、と言って銃耶の襟を掴んでズカズカと足音をたてながら男子寮から出て行った。
※
また場所は変わり生徒会室。そこにはついこの間生徒会室に集まっていた生徒会役員立候補生達が居た。
「やっと私たちも呼ばれるようになったね、火波」
「水波ちゃんは少し嬉しそうだね?」
「だって私たち零兄と一緒に仕事出来るんだよ?、嬉しいじゃん♪」
「あっ…そうか!!、そうだね♪、あっ…でも私は委員会の仕事があるんだった…」
水波が義兄である零と一緒に仕事が出来ると知ると喜んでいた、火波も喜ぼうとしたが自分には委員会の仕事もあった事に気付き落ち込む。そんな二人に興味深そうな顔で話し掛けて来た女子二人が居た。
「ねぇ凪瀬さん、その『零兄』って言う人は誰なの?、今日も昼食は何処かに行ってたみたいだけど…」
「あぁ分かったの、きっと世間的にも社会的にも決して言ってならない関係を持った兄……」
「ちょーっと待った柱木さん、いきなり何でそんな方向に!?」
「水波さん、良いのよ別に、私はそんな特殊な性癖を持った水波さんでも友達だから」
「うぅう…ありがとう、ありがとうね柱木さん……って違うでしょ!!、どうしてそうなっちゃったの!?」
柱木と呼ばれた少女は綺麗な翠色の長髪をポニーテールにまとめており、活発的な性格で水波に誘導尋問を行おうとしたが白髪長髪の少女によって止められた、火波もクスクス、と小さめの笑みをこぼす。
「零兄って言う人は私達の義理のお兄さんでとっっても優しいお兄さんなんだよぉー」
水波はとても嬉しそうに義理の兄の話を二人にしていると生徒会室にある特別大きな執務机の上にグテー、っとなんともだらしなく俯せになっている黒須学園生徒会の会長・斑備が居た。
「…遅いなぁ〜レイく〜ん、レイくん来ないと始まんないよォ」
「しゃんとして下さい会長、貴方はこの学園の代表なんですよ?」
零が早く来ないのをだらしなく愚痴っている生徒会長を鮮明で綺麗な紫色の長髪を下ろしている副生徒会長である大月詠がそのだらしなさを叱る。斑備はえぇ〜だってレイくん来ないとつまんないじゃない、と呟くとさっきまで水波の話を聞いていた白髪の少女が斑備の前まで近付き、バンッ、と凄い音を出して執務机を叩く。
「もうしっかりして下さい『兄さん』!!、まさか何時もこんな感じなんですか!?」
「うわっ、急にどうしたんだい白亜!?」
白亜と呼ばれた白髪の少女は長い髪を揺らしながらだらしない兄に葛を入れる。だが兄である斑備はと言うとをまだ執務机に俯せになる。
「仕方ないだろ白亜、僕は今日凄い事を考えたんだ!!、きっと驚くだろうな〜レイくんは…」
斑備がそう言うとまただらしなく腕を下ろして顔だけ執務机の上に乗っけて3の口になってブーブー言っていた。そんな兄を見た白亜はちゃんとしなさいこのグータラ兄ーー!!、と叫びながら兄・斑備の頭をポカポカと叩いている。端から見れば仲の良い兄妹だった。だがそんな白亜と斑備のやり取りを見て居た四人は口を開けて硬直していた。
と…そこに、
「すんませ〜ん、来る途中に芦田に見つかって追い掛け回れ丁度仕留め終えて、今やっと生徒会室に着いた皆が大好き黒神零くんで〜す」
ガラガラ〜とドアを開けてかなりヤル気が無い感じに入って来た黒髪ツンツン頭の少年、黒神零は硬直している四人を見て驚いていた。
「…どったのこの状態?」
「おぉぉー♪♪、やっと来たねレイくん♪」
零が生徒会室に入った途端に斑備は立ち上がる。零はそんな斑備を見るとかなり嫌そうな顔で挨拶すると斑備の前に居る白髪長髪の可愛いらしい女の子が零の顔を見て礼儀正しく頭を下げて挨拶をしてきた。
「どうも、こんにちは、黒神先輩」
「へっ…あ…はぁ、はい、こんにちはデス」
零はいきなり礼儀正しく挨拶してきた少女に戸惑いながら挨拶を返す、いきなりだったので変な挨拶になってしまっていた。
「あのぅ〜君はどちら様でおられるのでしょうか」
零は頭を掻きながら白髪の少女に尋ね、少女が答えようとした瞬間、零は物凄い勢いで前方にぶっ飛んだ。
「ぶははははは!!、無様よのう黒神れぇ〜いぃ〜いちちちち、痛ぃよ」
零が立っていた場所にはどうやら零に本気のドロップキックをしたらしく、受身を出来ず肘をぶつけて涙目になりながら肘を摩ってゴロゴロと生徒会室を転がっていた。
「相当死にてぇみてぇだなテメェはァァァァァァァァァァァ!!」
零は芦田からドロップキックを受けて派手にぶっ飛び生徒会室に転がったが大したダメージは受けていなかった。
「なななっ…何だと!?、俺の『明日を貫けドロップキックSP』が大して効いてないだとっ!!」
芦田は全然平気そうな零を見るとかなり焦って後退りする。
「あ〜あ、お前のドロップキックヘボなぁ」
すると芦田の後ろからスッ、と姿を表したのは茶色の短髪が似合う少女、灯璃が立っていた。
「灯璃テメェ、『お前が黒神にドロップキックを喰らわせてやればお前が一発KOにされるだろう』って言ったじゃねぇか!!、ってあれ……何か変じゃね」
「テメェが一発KOされてんじゃねぇかァァァァァァァァァァァァ!!」
「あっホントだ…ぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
零は一瞬にして芦田の近くまで来ると顔面に思いっきり、手加減、遠慮、配慮の全てを“無し”にして殴った、思いっきり殴った。
芦田は顔面を両手で覆い、ゴロゴロとまた生徒会室を転がる。最近芦田の顔面を思いっきり殴っても鼻血を出さなくなったのは芦田の進歩だ。
「芦田は相変わらず零の陥れる事になると話も聞かないで協力するから面白いな」
灯璃はゴロゴロと転がっている芦田を楽しそう見ながらそう呟いた。Sだ、この人は絶対にSの人だ、と零は頭の中で思っているとずっと静かに見ていた白髪の少女が零達に語りかけてきた。
「あ…あのぅ、自己紹介をしたいのですが…」
白髪の少女はいきなり乱闘になり、ゴロゴロと顔面を押さえながら転がっている芦田を心配しながら言った。零はあぁ、ごめんごめん、芦田がバカな事してきたから話が中断しちゃったね、と零はゴロゴロと転がっている芦田を一発蹴って腹に足を乗せて、一瞬にして動きを止めた後に言うと硬直し続けている四人を改めて確認して白髪の少女の自己紹介を聞く、灯璃も生徒会室にあるソファーに座りながら白髪の少女の自己紹介を聞く、硬直している四人を見ながら……。
斑備はと言うとなかなか話を切り出せなくいじけて部屋の隅っこでブツブツ何か言っていた。
「あの、今年度から生徒会に立候補した斑備白亜と申します、兄がいつもお世話になっています」
ガシャーーン!!
↑灯璃が飲もうとしていたティーカップが割れた音。
ガラガラー
↑閉まっていたドアを尾井群が開けた音。
グキグキグキグキーーー
↑芦田の骨が軋んでいる音♪
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!」
※
「いやぁ〜まさか斑備会長にこんな可愛い妹さんが居るとは思わなかったよ」
「うんうん、会長はそういう話はしないからなぁ」
零と灯璃は生徒会室に何故か用意してある菓子と紅茶を生徒会立候補生に振る舞う、と言っても四人だけだが。
「あのちょっと、俺に対する謝罪とか無い訳?、てか慰謝料払えやクソ零!!」
芦田は零に罵倒を浴びさせるがあらゆる部分が何故か言う事を聞かないらしく生徒会室に何故か用意してあるベットの上で横になりながらジッとしていた。零も済まない、と素直に謝ったが今はそれどころじゃなかった。
「私達もまさか白亜ちゃんが生徒会長さんの妹なんて知らなかったよ」
水波は零から受け取った紅茶を美味しそう飲みながら言うと零はうん?、と首を傾げながら火波に聞く。
「あれ?、二人は白亜ちゃんと同じクラスじゃ無いのか?」
「残念ながら私達のクラスはAクラスで史原先生が担任なんです」
この黒須学園はクラスの担任の苗字をクラスの名にする決まりがあり、例えば零のクラス担任は出雲なので『出雲組』と呼ばれている。本当は2-Bクラス。
「史原先生か、確か一年生古文担当だよな?、あの爺さん大丈夫かよ?」
「史原先生はとても優しくて良い先生だよお兄ちゃん」
零がいい年になったんだから大丈夫かね〜、と何気なく呟くが火波が注意する。
「まっ、私らの先生は史原先生だからシロッチとは違うんだよ」
(………シロッチ!?)
水波が紅茶と一緒に出されたお菓子のクッキーをパクパクと食べながら聞きなれないあだ名を聞いた零は頭の中で理解する。
「水波ちゃんは私を『シロッチ』って呼ぶんですよ」
零が水波の言ったあだ名の事で考えていると思い白亜は零に満面な笑顔で答えた。
(……その満面な笑顔が何処かの会長に似ているから少し警戒しちまうな)
零はいつも満面な笑顔を作っている生徒会長を笑顔を思い出し、白亜の笑顔と重ねてしまった。
その後少し話をすると白亜と柱木は前々から生徒会に入りたかったらしい。水波や火波は零と一緒居たい理由で生徒会に入りたいらしい。それを聞いた零は溜め息混じりにそんな理由で入るな、とぴしゃりと言うとこの学園の生徒達の代表である生徒会長・斑備は別に良いんじゃないの一言で零は黙ってしまった。
そんな話をしていると生徒会室のドアがまたガラガラ〜、と音を鳴らすと、そこに入ってきたのは男子生徒二人だった。
「失礼します、黒須学園第一学年史原組の斑備白宇です」
「……同じく一学年史原組の〜鋪崎銃耶で〜す」
白髪の巨漢は礼儀正しく挨拶して入って来たが後から入って来た山吹色のポニテ男は随分と、いやかなり嫌そうな感じで挨拶をして入って来た。
「…てかまた会長の兄弟ですか、しかも今度は弟」
灯璃はソファーに腰掛けたまま会長に目をやると何やらやっと話を出せるチャンス到来の如き輝きを放ちながら執務机の前に立ってコホン、と咳払いする。
「やっと集まって貰ったネ〜」
斑備は肩まで伸びている白い髪を払いながら言う。相当言いたかったのか微妙にテンションが上がっている。何か最後辺りの発音と伸ばし方がカチン、とくる。
「ここに来て貰ったのは他でも無い、この学園、黒須学園に新しい組織を建てたいと思う!!」
斑備がそう言うと生徒会をやっていた会員は全員溜め息を吐いた、一学年である男子二人と女子四人は頭に?マークを出している顔をしていた。
「その組織の名は…『黒生組』!!」
斑備は執務机の近くに置いてあったマジックボードにでっかく書きバンバンとマジックボードを叩く。
「…今回はまた大きく出たな斑備会長」
「私も流石に会長の“思いつき”には驚いたわ」
尾井群は零の隣に座って一年生と一緒に菓子を食べてながら呟く、灯璃も同じく頷きながら言った。零も激しく同意した。
「会長の“思いつき”で何度死にかけたか……」
零は拳をブルブルと震わせながら会長に言うが、当の本人はマジックボードに何かサラサラ〜、と書いていた。零はおいコラ糞会長!!、と叫びたかったが妹が居る前では言えるハズがなかった。
「まぁまぁ落ち着きなよ皆、ちゃんと理由があるんだから」
斑備はサラサラ〜、と書いたマジックボードに指差して言う。
「ここ最近になって妖刀育生計画の邪魔をしてくる奴らが出て来てね、後この学園内にも妖刀師や異形者が続々増えてるって情報を貰ってね、これじゃ駄目だと僕の天才的な頭脳が閃いてね…」
「…どうして“黒生組”なんでしょうか?」
「何かヤクザっぽいね、白亜ちゃんもそう思わない」
斑備が説明しているのだがずっと気になっていたのか柱木が零に尋ねた、零も思ってた事を言って斑備の妹である白亜にも意見を聞こうとしたが、白亜は兄が皆に迷惑を掛けて居るんじゃないかと思い兄を止めようとしたがもう一人の兄・斑備白宇に止められていた。そんなやり取りを見ている山吹色のポニーテールの少年は美少女揃いの生徒会室でかなりだらしない顔をしていた。
「……聞いてよ、会長なんだけど僕〜」
「あ〜はいはい聞いてますから早く続き喋って下さ〜い」
斑備が皆真剣に聞いてないのに気付きまた落ち込みモードになりかけるが、クッキーを食べながら灯璃はいかにも聞いてましたから続きを〜的な言い方で会長をまたマジックボードの前に立たせた。
だがさっきまでふざけていた顔がいきなり真剣な顔に変化してしまった。そんな会長の変わりように驚いた一年生、そして以前にもあったのか二年生達も真剣な顔になる。
「…まぁぶっちゃけ、この組織提案はこの学園の理事長が出したものなんだけどね」
「黒須理事長ねぇ〜、妖刀育生計画の提案者だから妖刀がそんなに大事なのかね」
「それもあるかも知れないが、我ら生徒会はこの学園の生徒を守護らなければならない。例え何があっても……」
零は他の菓子を出して食べながら会長の話で理事長の愚痴を言うが会長は学園の妖刀も大切だが、生徒の安全を第一に考え、この組織案に賛成して建てようとしているらしい。
上手く飲み込めないらしい一年生、水波や火波は実際に会長から話を聞いていたのであまり驚きはしていなかったが残りの四人は少し戸惑っていた。それもそのハズ、この学園で起きている計画なんて知るハズも無い。
しかし、さっき会長は言った。学園内にも妖刀師や異形者が増えていると、するとつまり……、
「…ここに居るコイツらはそのどっちかって意味ですか?」
零の言った言葉は事情が知っている者しか知らなかった為に零が何を言っているのか分からなかった者が多かった。
「まぁ追い追い説明してくからダイジョブだって〜」
会長は頼りない声で言うと執務机の椅子に座って詠に僕にもお菓子ちょ〜だい、と言って詠が持って来たマシュマロを食べながらまた呟く。
「まぁ兎に角、学園の守護兼風紀の乱れを取締く組、“黒生組”を今日結っ成しまぁーす」
マシュマロをあ〜ん、と口に運びながら会長が言うと今まで黙っていた白宇と言う斑備会長の弟と山吹色の髪をポニーテールにしている少年、銃耶も会長に意見した。
「白虚兄さん、いきなり呼び出されておいてこんな投げやりは納得出来ない」
「そうだそうだ、第一誰が生徒会に入ると言った!!、そんな面倒くせぇことやんねぇぞ俺は!!」
二人が会長にそう言うと、会長は詠に紅茶もちょ〜だい、と言って会長の答えを待つ。だがそんな事を言ったってこの人はやめるなんてサラサラ無い。
零がそう思いながら会長の名前って白虚って言うのか、とまた別の事を考えているのは零ただ一人。
※
結局あの後は上手く丸困れた二人は渋々黒須学園生徒会に入った。
会長の言葉で二人は一気に反論する意思が無くなった。
『別に嫌なら嫌で構わない、だけど君達が今ここで生徒会もとい黒生組に入らなければ“後悔”するだろう、まっ……何れにせよ君達は“自分の意思”で黒生組に入るしか無くなるからね』
会長は秀麗な顔なのだが、どこか柔和に崩した表情では裏腹に銀色の瞳は冷静に二人を見つめる。
白宇は家族のハズだからこういう場面では慣れているのでは、と零が白宇の顔を見ると白宇はとても直視出来なそうに下を向く、どうやら兄とは上下関係があるらしく哀しそうな顔をして従う。銃耶と言う少年はその会長の眼光に驚き文句を言えなかった。
会長の話では『黒生組』とは黒須学園生徒会を略して言っているらしい、なら普通は黒生“会”なのだが会長曰く《組の方がカッコ良い、新撰組っぽくて良い響きだから》の理由らしい…。
副会長の詠も相変わらずと溜め息を吐き、灯璃はまっ…いつもの事だからと割りきり、尾井群は普通に別に良いんじゃねーのと興味無しに言っていた。芦田は雑務だし芦田なので拒否権無し。雹華にメールしたらすぐに止めさせろとあったが時既に遅し、
会長は完全に『黒生組』という組織を結成させてしまった。
生徒会長兼局長が斑備白虚で生徒会副会長兼副長が零と詠に決定し、そして一から十までの隊を作ったがまだ組長は決まってないと会長は言っていた。
『さぁ、これから忙しくなって行くよ、まずレイくんは“黒生組”に、つまり生徒会に入らせる人員のスカウトを宜しくね〜、勿論能力者限定で〜』
『はぁ?、そしたら生徒会に入りたいって言う生徒はどうすんだよ?』
『レイくんは優しいね、でもどのみちこの学園には妖刀育生計画をおおっぴらに発表するって五条先生から聞かされたから多分、妖刀師や異形者しか入って来ないよ、黒生組には』
零は別に優しさで言った訳では無かった、ただ学園側の都合で楽しい学園生活を邪魔をされては誰だって嫌に決まっている、そして生徒会に入りたい奴らも居る、何せ生徒会にはまるで漫画に必ずと言って良い程出てくる完璧な生徒会長が居るからである、しかも美男子に優しい、零は初めて会長と会った時は女では無いのは知ったが、何処から男からくる感じも受けなかった。
その生徒会長と一緒に仕事をしたい女子生徒はこの黒須学園には沢山居る。
だから零はその女子生徒達の事も考えたのだが後から“妖刀”の事も脳内に浮かんできた。
この前の金野とか言う妖刀師が出て来たら普通の生徒達じゃ太刀打ち出来ない、それも何の力も無い女子生徒たちでは尚更無理だ。
『……発表って妖刀育生計画をッスか?、そんなバカげた計画を生徒に言って大丈夫なんスか?』
零が疑問に思った事を会長に問うとそっけらかんと曖昧な答えが返ってきた。
『発表って言ってもそんな大それた風に言わないさ、名門黒須学園の名を落ちさせられない。結構捏造して貰って発表をね…』
そりゃそうか、と零はそれきり話を終え、黒生組に入ってくれそうな生徒を募集する事にした。
そして現在は黒須学園の校門から出て来た生徒会もとい黒生組メンバー。
先頭をズカズカと、納得いかねぇー、いくハズがねぇー、と叫びながら歩いている銃耶と何やらトラウマのようなもの思い出して身震いをしている白宇。そして震えている白宇を白亜が大丈夫だから、ね?、と背中を摩りながら励ましている。そんな先頭三人の後ろに柱木、水波、火波と三人が何か考えながら歩いている。そしてそんな一年生の後ろには二年生である零たちが歩っていた。芦田は少し回復したが元気が無く何も喋らないで歩いており、尾井群は呆けー、っとして歩いており灯璃はそんな尾井群をちゃんと意識して歩け!!、と注意するが尾井群は頷くだけ。
零は思っている事を頭から離せられなかった、会長は何故いきなり『黒生組』の話を出してきた理由、
妖刀師が黒須学園を潰しに来たからか?
それとも妖刀の集まりが悪いから?
そんな事を零が思っているとずっと考えていた柱木は頭を抱えてながら疑問に思っていた事を言った。
「……能力者限定って、私達も何かしらの能力を持っているってことかな?」
その言葉を発した瞬間に全員がピタッ、と歩みを止めた、おそらく皆もそれを考えていたのかもしれない。
「そしたら、今現在に分かるのは零が妖刀師であること位しか分からないな」
ずっと呆けていた尾井群が空を見上げて言った。
「そしたら俺らにもその、なんて言ったっけな白宇」
「…妖刀師か異形者だろ」
「そっ、それ!!、そのブレイドマスターやらイレギラやらになっちまうのか俺らは!?」
銃耶が頭をガシガシ、と掻きながら白宇に言うが勿論白宇も知った事では無い。むしろ被害者だ。白宇は知らん!!、と言うと銃耶はしゃがみ込む。
「ううぅ……俺はただ女の子沢山居るこの黒須学園でウハウハな学園生活を満喫しようしていた所なのにどうしてこんな目に!?、てか何よブレイドマスターとか!!、何かのバトル漫画か!?」
銃耶はしゃがみ込みながら頭をブルブルと振りまくっている、長いポニーテールが尻尾のように見えた。
「まったく、男がそんなんでどうすんのよ。やっぱ駄目ね男は」
「ちょ……柱木ちゃん!?」
翠色の長いポニーテールを揺らしながら銃耶に言う柱木、白亜はいきなり言った柱木に驚きながら駄目だよそんな事言っちゃ、と言うと銃耶も立ち柱木に近付く。
「あぁん?、何だとお嬢ちゃん、こちとら淡い恋愛シュミレーションゲーム的展開を待っていた結果がこんなバトル漫画みたいになりはじめてショック受けてんだぞこのポニテ女!!」
「アンタもポニーテールだろうがバカっ、男の癖に長い髪して女々しい奴」
「はぁ〜?、今時長髪が似合う男がモテる事を知らんのかこの小娘が」
何故か口論になってしまった銃耶と柱木、白宇と白亜は二人を止めようとして銃耶を抑え込む、巨漢だけあって簡単に銃耶を抑えた。白亜も両手でまぁまぁ、と落ち着かせようとしているが柱木は丁度抑え込まれた銃耶を蹴っていた。
銃耶もアレッ!?、俺だけ!?、俺だけ抑え込まれてんのコレッ!?、と言いながら柱木の蹴りを受けていた。
零もそんな一年生を見ている灯璃が話し掛けてきた。
「なぜ会長はこんな一年生までに生徒会、いや……黒生組に入れたんだろうな、零」
「…知らん、会長の考えている事なんて…分かんねえよ」
零は静かにそう返した。
妖刀育生計画なんて大したものじゃないんだと零は思っていた。
だが、この計画でどれ程の事件が起きていくことなんてまだ、零や他の者も気付いて居なかった。
何か多めにやっちゃいました。
いきなりですみません(汗)
大抵、作者は家でだら〜〜、とパソコンでインターネットでアニメを観ることを生き甲斐にしているのですがウイルス入って来て出来なくなっちゃってます。
かなりバカテス(バカとテストと召喚獣)の続きが気になります。
てか趣味は金が掛かるってぇのは本当ですね、文庫本やら漫画本を買ってたらあっという間に金が無に帰りました。
ひゃ〜〜(>в<)
あといきなりで良ければですが、PVとかってどうやって確認をするんでしょーか?
この作者はあまりサイトとかに詳しくないのでちんぷんかんぷんです。
ユーザートップとかで確認するんでしょーか?
あれっ?
分かんない。
教えてくださぁーい!!