第23話「戦黒夢双―戦う黒鋼と夢の少女―」
久々の更新です!
マジで小説更新するの大変ッス(゜ロ゜)
「カッ、全く、硬ェのは良いがよう、もうちょっと俺と遊んで貰いたかったゼ」
帝黒町の夜明けで町中を照らし始めた頃、黒い翼を生やした青年がある学生を凪ぎ払っていた。
黒い翼を生やした青年はスーツを着崩し、首には銀色の十字架アクセサリーをぶら下げ、整った綺麗な黒髪とイケメンに値する顔。
その青年はまるで『買ったばかりの玩具が思いの他ガラクタだった』ような眼差しで倒れている学生を見ていた。
「がはっ、ハァハァ、な・・・んだよ、いきなり、だな」
ハァハァ、と打ち突かられた胸や腹を摩る東針高校二年生である鉛銅黒護。
妙な痛覚を味わいながら立ち上がると、ガクッ、と足がふらつく。
「ウハッ♪ 足下フラつかせてダイジョーブかよ、コクゴちゃん♪」
ギロッ、と黒護は馴れない睨みを黒い翼を生やした青年に向ける。青年も手をヒラヒラさせて背中から生えた大きな黒翼を羽ばたかす。
そして異形となってからの黒護の体力は人間のレベルを越えて、超人以上の脚力で黒い翼を生やした青年に突っ込む。
(コイツが千が言ってた『斬り裂く白き鎖』の一員か?)
考え込むよりまず行動。
黒護は黒色に染まった鋼の腕を“硬化”し、即座に攻撃してきた青年に殴りつけようとする。
「ヲイヲイ、野蛮過ぎやしねえか」
だが黒い翼を生やした青年は軽い微笑みを浮かばせながら黒護の攻撃を避ける。
だが黒護の攻撃はそれだけでは無く。
すぐに肩まで鋼化してショルダータックルするように体を向ける。異形の力を手に入れるまではそんな思考と反射神経が出来る凄技は前まで出来なかった。異形化した事による身体進化と言うべき成長。
そんな黒護のいきなりの攻撃に青年は微笑みを崩さないで大きな黒翼でショルダータックルをヒュガッ、と受け止める。
「───────────────ッッ!?」
「野蛮極まり過ぎだっツーの」
そのまま追撃出来たろうに、その言葉を吐くだけ吐いて翼で黒護を払う。
払われた黒護は不思議とも言える敵の翼の感覚に内心ビクビクしていた。
(あの翼・・・・・・・・・・・・実体が、ある)
実際に塞がれたし、それなりの力があった相手の黒翼。汚れを落とすようにバサバサ、と翼を羽ばたかせ、チラッと黒護を見る。
「いきなり攻撃は無いだろ?」
「・・・・・アンタが言える立場かよ」
「ウハハハ、まぁ、確かにネー♪」
羽ばたかせた黒翼を綺麗に折りたたみ、背中を覆う。
「俺をあの野蛮な組織と間違えてんじゃネーよ、俺はお前が考えてる組織に属しちゃいネーよ」
そんなの信じる筈が無いだろ! 黒護が鋼化した拳でコンクリートの地面をズシンッ、と殴る。だが敵の青年はまた微笑みながら語る。
「信じるか信じないかはお馴染みの君次第さ、ま、俺的には信じネーけどな、ウハハハ。怪し過ぎんダろ♪」
混乱させているのか、自分で言った言葉をも否定している青年。
「じゃ、じゃあアンタは、何者なんだ。俺と」
そこで小さく、そして疑問を晴らす為に力強く聞く黒護。
「俺と『同類』、なのか?」
そう黒護が言うと黒い翼を生やした青年はニコリと今度は優しそうに微笑む。
「『同類』って、何か人種として扱われて無くネーか? 能力者とかー、超人的進化ぁーとかよ、色々言い方あると思うがネー」
そして黒護は知る、さっきと打って変わって雰囲気がかなり優しくなっている青年の対応に。
黒護は警戒を怠らないように重要な事を聞く。
「アンタの、名前を聞いても良いですか・・・・」
その黒護の質問に、青年はニコリとまた微笑みながら答える。
「名前まだだったネー、俺の名前は空須羽翼、ヨロシクネー」
そしてどんな意味を込めた眼で黒い翼を生やした青年、空須に黒護そんな質問をしたのか。
それを知ったように。
気付いたように空須は黒翼の刃が鋭く黒護の顔面に斬り裂こうとしていた。
※
そして町中でそんな出来事が起きているのを知っていない者たちは、騒がしい朝を迎えていたりする。
「と、取り敢えず・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・起こす、かな・・・・・・・・・・・・うん」
朝第一声に叫んだ芦田峰春はと言うと、芦田の布団に可愛くスースー、と吐息している金色の長い髪をした美少女が眠っている。それを芦田は起こさないように静かに、静かにに忍び寄る。
芦田は散らかって己の部屋を忍び足をしながら寝ている金髪美少女に近寄る。
「スー、スー・・・」
その女の子を見てみると、さっきまで見ていたあの夢の少女だった。
芦田は如何にこのような、どうしてこんな“美少女”が我が部屋で寝ているのか芦田なりに黙索する。
だが分からないものは分からない。
芦田は恐る恐る金髪の美少女を起こそうと手を伸ばした瞬間だった。
ドタドタドタッ!
「うるさいのよ、このバカ兄・・・き・・・・・・・・・・」
バタンッ! と芦田の部屋を問答無用に開けたのは芦田の妹である芦田榎だった。
そして榎は兄が金髪の美少女に「ハァハァ!」と激しい息をしながら手を伸ばしている場面を目撃する。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「待て、待てよそのなんとも言えない沈黙と眼差し! 違う! 違うぞエノキ! 兄は断じて“危険な方向性(あっち系)”に走ってはいない!!」
あっち系とはどっち系なのか分からないが芦田はかなり焦りながら弁解する。だがその慌ただしさが疑いのパラメーターをどんどんと上がっていくばかりであり、榎は静かに、そう静かにゆっくりと兄に対する心と部屋の扉を閉めた。
「っっってウォイイ!! 訳を聞いて訳をッ!」
よっくりと階段に降りていく妹に芦田は必死に呼び止めた。
「・・・・・ごめん、邪魔しちゃったね。通信販売で等身大人形を買って自分のベッドの上に寝かせちゃって興奮している兄を見て別に幻滅とか、もう家族の関係を絶ち切っちゃたりとか、もう一生口聞かないとか、夜中に鉈で殺そうかなとか思ってないから・・・・続きやってて良いよ」
「完全に今お前言った言葉実行しようとしただろ!? てか本当に待って! 家庭崩壊の危機!?」
妹の片手を取りながら引き摺られる兄をかなり残念そうな顔で見た榎は『あ〜はいはい、分かったからこの手離して』と言いながら芦田の言い訳を聞く。
と言っても零の『妖刀』に関する事や『異形者』の事は伏せて夢に見た少女のことだけを話そうとした、が。
『きゃあああああああああああああああああッッ!!』
だがその前に芦田家の厨房に悲鳴が轟いた。
「今の声は・・・・・・嗄!」
「下には楸ちゃんと嗄しか居ないのに!」
榎は階段をジャンプしてすぐに家の厨房にへとダッシュした。
芦田も榎に続くように後を追う。芦田家の厨房は父親が愛用しており器具も色々なものが揃えてある。勿論使い方を間違えれば怪我をする器具もある。だから父親の芦田鍬形は調理をする以外は立ち入りを禁止しているのだ。
そんな場所から悲鳴が聞こえたのだ、芦田と榎はかなり焦りながら厨房にへと向かう。
「嗄ッ!!」
「カレルっ!」
二人が厨房に繋がる扉を開ける、するとそこには酷く蒼白な顔をしている嗄が両手で口を隠して立っていた。
嗄の立っている前には、包丁が足元辺りに落ちており、そして胴体は器具机で隠れて見えなかったが、腕だけが倒れているのが分かった。
「カレル・・・・お前、殺したのか」
芦田がそう言うと、確かめるように榎はゆっくりと双子の妹である嗄の側まで近寄る。そして器具机が隠れて見えなかった胴体を見て榎も顔を蒼白にして嗄を抱くようにして嗄の顔を自分の胸に押し込む。
芦田は尋常じゃない、と感じ取り急いで妹たちの前まで来る、そしてその倒れている人物を見てみると、
「うううう、うえええええええええええええええええええええええええッッ・・・・・ウギッ、ググ、オエ゛ェェェェェェ・・・・・・・・・・き、気持ち悪っ」
「「「・・・・・・・・・・」」」
本当に、遠慮無しにゲ●・・・もとい吐瀉物をぶちまけた芦田家の大黒柱・芦田鍬形が俯せになっていたのだ。
嗄と榎が蒼白になるもの頷けるが、実の父親が吐いているのをあんな素で引いたように顔を青くさせるのも芦田峰春は驚いていた。
「何してんだアンタはっ!?」
「ぐぅ・・・・榎に嗄、そして峰春か。待ってろウブッ、今からウッ! 朝飯を作りぃぃ〜〜っ!!」
「明らかに気持ち悪そうにしながら朝飯を作ろうとするなッ! ほらカレーもエノも父ちゃん運ぶの手伝え」
「カレーじゃない、嗄。一々呼び方変えないで」
「エノって何よ、ほらお父さん、自分でその汚いの綺麗にしてよねぇ」
芦田から言われた呼び名に怪訝そうにする嗄と榎、二人は唸り苦しんでいる父親をズルズルと引き摺りながら厨房から出されて行った。
「・・・・吐瀉物をブチまけたままの厨房は嫌だろ普通は」
そう呟いた芦田は鍬形が吐いた吐瀉物を片付ける。
「チキショー、何が悲しくて父親のゲロを片付けねぇといけねえんだ」
そう愚痴りながらも片付ける芦田。
とそこに。
「春兄・・・・・何しゆる」
厨房の入口に寝起きの四女・芦田楸がまだ眠たそうな目を擦りながら立っていた。
芦田は振り返らずに答える。
「あぁ〜ダメよ、ヒーちゃん。厨房は危ないし、ちょっと子供にわざわざ見せるような物じゃないからー」
「・・・・・・・・・・だって」
「あん? あんだって?」
芦田は吐瀉物を片付け、入口に目を向けるとそこにはパジャマ姿の楸と黒く薄い布地な服を着た金色の長髪の美少女───夢に出て来た少女と手を繋いでいた。
「・・・・・・・・・・あ・・・・・・・・・・ひぇ!?」
そして何とも情けない声を上げた芦田は金色の長髪美少女に驚いていた。
「おはようございます、父親」
ん?
今何を発した?
「違う・・・春兄だ」
そこに楸は見当違いな間違いを指摘する。だがそれは今問題では無く、
「うぉぉぉぉぉぉおおおおいッッ!! 今なんて言ったの君ッ!?」
「・・・・?・・・“父親”と言ったのですが」
ド偉い危険ワードが飛び出してきた。
「??・・・・春兄は春兄・・・・」
楸は金髪の女の子が何を言いたいのか良く分からないといった状態だった。
そして芦田は吐瀉物を急いで片付けて、楸と金髪の女の子の元に戻ると芦田は腰を下ろして楸の頭に手を乗せる。
「ヒーちゃんはまだ眠いだろうからお部屋に行ってな? 朝ご飯は俺とエノキたちと作っから」
「むむ、それなら私も一緒に作りたい」
少しだけ眠気が覚めて来たのか楸は目を頑張って開きながら言う。
「ん〜ヒーちゃんにはまだ早ぇからなぁ〜、・・・・・・・・・・そんならヒーちゃんの好きな朝ご飯作ってあげっから茶の間片付けておいてくれよ? 眠いんだったら寝てても良いし」
芦田は微笑みながら楸の頭を撫でていると楸は素直にコクリッと頷いてビューっと茶の間に走って行った。
その場に残るは地に付いてしまってもおかしくない程長い金髪をした美少女と、平凡な顔に茶髪の少年だけが居た。
「よし、取りあえず・・・・・・・・・・・・」
芦田は頭を掻きながら金髪の美少女と向き合って言う。
朝飯にしよう!
◆◇◆◇◆◇◆◇
帝黒町上空、晴天の空に不釣り合いと言って良い程奇妙な光景が浮かんでいた。
その上空には黒い翼を生やした黒いスーツを着た青年、そしてその青年の片手には『人間の形をした鉄の塊』を掴んで浮かんでいた。鉄の塊を難なく掴み、苦い顔をしないで大きな黒い翼を羽ばたかせる。
「“鉄人”とは言ったもンだな、確かに硬い」
黒い翼を生やした青年、空須羽翼は『鉄人』と呼ぶ人の形をした鉄の塊にそう言うとニヤリと薄い笑みを浮かぶ。
「もっと抵抗とかあるでしょーが? それとも喧嘩馴れしてねェからかい?」
空須は呟くようにそう言うと、鉄の塊のような人の形にある顔から白い眼をギョロつかせながら空須を見る。そしてその鉄の顔には剥き出しの齦が生々しく露になった齦と共に口が開く。
「お、れは鉄人じゃねぇって・・・・言ってるでしょうが、ハァハァ、マジで何言ってんだ・・・」
その声色は隠すこと無く恐怖に染まっていた。相手に伝わった時点で高得点だ、声が震え、口が思うように動かない、舌が回らない、何を言えば良いのか分からない。それが今空須の片手に掴まれている“人の形をした鉄の塊”・鉛銅黒護の心境だった。
まず考えられない、それは彼の症状があるからだった。
その症状と言うと、
「何軽く上空飛んでんだアンタァァァァァァァァッッ!!?」
口では絶叫を放っている黒護だったが身体は微動だに動いていなかった、むしろ空須の片手に両腕で掴んで離さないようにしていた。
簡単に説明すれば黒護と空須は地上での戦闘は派手になる可能性があるので別の場所に行こう、という空須の提案があったのだが喧嘩を余りしたことも無い黒護からすれば絶対に行きたく無い提案だったので自らの異形能力を用いて全力逃避に試みた黒護。
だが相手は大翼を持つ異形者なので逃げること叶わず今に当たる。
「ハハハ何だよ、君って高所恐怖症とか言うヤツ?」
空須はビビりまくりの黒護にそう聞くと、
「いいいいゆぁ、?、別にぅすぉんなじゃねっし~!」
尋常じゃ無い程の丸分かりである反応であった。ニヤリと笑う空須に黒護は悪魔の笑顔にしか見えなかった。
(アレッ? 実際にコイツ悪魔みたいな翼生やしてんな、あれ?・・・・悪魔の羽ってコウモリみたいな皮っぽくなかったけ?)
頑張って現状逃避を試みる黒護であったがその逃げ口も空須は悉く粉砕する。
「それじャ、もっと楽しい事しよッか!」
そう言葉を発した瞬間に黒護は空中で重心が持っていかれる感覚を襲われた。
「う、うわああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!」
空須は黒護を片手で持ち続けたまま上空から真下に真っ逆さまに落下して行った。
ギュゴォォォォォォォと風圧でまともに空気を吸えない黒護を横に空須は涼しい顔のまま落ちていく。
黒護は全身くまなく“硬化”させ、衝撃を備える為に眼を瞑る。
この感覚が堪らなく嫌いな黒護は何時衝撃が来るのかビクビクしている、まだなのか、まだなのか!
どれくらいまで地上に近付いているのか確認の為に瞳を開くことさえ能わない。
それを横目で見ていた空須は直ぐに面白むように黒護の耳に言葉を注ぐ。
「ほぅら、もうすぐだゼ? もうすぐで死ぬぞお前、道路に落とされて死ぬんだゼお前?」
まさに悪魔の囁き、黒護の恐怖心を煽るには十分過ぎた。
「・・・・ぁあ、ハァハァ、く・・・あぁぁ~!! うわぁぁ、うわああ、うわああああああああああああああああああああああッッッ!!?」
黒護の頭の中には『恐怖』しかなかった。
空須は嘲笑うかのように大声で黒護に言う。
「まったく痛快な面白さをありがとう、鉄人♪」
その次の瞬間だった。
ドカアアアアアアアアッッッッン!!
「ッッッ!!?」
頭上から伝わる意識を揺らぐ衝撃。
砲弾の如き轟音が帝黒町を覆わせた。
黒護を落下させた場所を上空から見る空須。
(何処か見たことがあるな、この山)
黒護を落とした場所は山で、山頂付近に落下させたらしい。空須は黒翼を羽ばたかせながら落下地点に舞い降りる。土煙が漂っており黒護の姿を確認出来ない。
嫌嫌そうな顔で黒翼で風を吹き起こし、土煙を払う。どうや自分の翼を土を付かせたくないらしい。
そこには上半身の殆どを土に埋もれてしまっている黒護を確認する。
だがまだ生きているのが分かった。
再度面倒臭そうな表情を浮かばせながら周りを見る。
周りには草木が生い茂り、木々には様々な鈴が吊るされていた。その吊るされている鈴を眺めながら空須はこの山が帝黒町のある山だと思い出す。
「そうか、この山『侍鈴山』か」
空須はそう言って大きな黒翼を羽ばたかせて風を起こす。するとその風に揺られてチリーンと鈴特有の涼しい音が鳴る。
帝黒町の誇る昔から有名と名高い山『侍鈴山』。
江戸時代から侍の修業の地としてあった所で、数多くの侍がこの山に訪れ修業をしていった。
鈴を持ち歩き、決められた場所の近場にある木々に鈴を吊し、その鈴を一切音を鳴らさずに破壊することが出来れば修業は終了と見做れる。
古来から日本の山々は草木が生い茂り、様々な恵みをもたらず場所として、昔の人達は神々が住まう神聖な地域として拝めていた。そして山を信仰の対象や修業の場として使われていたのはこの『侍鈴山』も同じであった。
現在は帝黒町の観光名所として報道され、団体客が登山をしにやって来たり『侍鈴神社』に置かれている鈴を吊しに観光客等が来たりしている。
幸いなことに空須たちが居る周辺には一般人は居ないらしい。
(だが帝黒町の登山隊の連中や、妖刀師共たちがやって来そうだな)
空須はそう思った瞬間に黒護に止めを刺すことを決めた。
(・・・・なら“アレ”で殺すか)
バサッと黒翼を広げた空須は愉快な声で黒護に伝える。
「今ので死んでれば良かったのになぁー、次はもっっとに痛いZE♪」
黒護も何とか身体を動かそうとしているがまともに動く事が出来なかったことが空須にも分かった。どうやら頭を強く打ってまともに立つ事は異形者でもツラいらしい。
空須は大きな黒い翼を羽ばたかせ、宙を浮かぶ。
そして翼を大きく後方に下がらせると、
「・・・・貫翼飛翔」
翼から放たれた黒い羽は弾丸のように黒護を襲った。
バババババッ! と黒護の周囲にも着弾して再び土煙が覆った。
空須は快哉な、満足な表情を浮かばせて空を飛ぶ。
「ウハハハハーッ!! やっぱ強ぇー! 俺は、俺はもうただの“人間”じゃねェ! 俺は『天使』になったンだー!!」
まだ日が登ったばかりの空には、自らを天使と名乗った青年は黒く翼を広げ、帝黒町を飛遊する。
天使は力に酔い、悪魔となっていくのを自覚していなかった。
死神の奇想曲
登場人物紹介!
名前/空須羽翼
読み/からす・うよく
血液型/B型
異形能力/???
性格/物事を深く考えない
異形能力は次回はっきりします
そして芦田の目の前に登場した“夢の少女”も次回に・・・・いや分かんないス
翼をモチーフにしたキャラクターでこれからの展開にご期待を!!