第10話「新たな妖刀師」
長らく放置してすんません、高3になってたから忙しくて小説をやる暇が(涙)
今回の話は変かましれません、急いでやっちゃったので(T_T)
夜中の零時を過ぎた頃、
どがぁぁぁぁーーん!!
帝黒町では何やら格闘シミュレーションゲーム的展開が繰り広がれていた。
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
だが、これはゲームでも夢何かでもない。
「くぅっ・・・・・・」
今現代ではあり得ない現実だった。
「ハァハァ・・・・・・畜生が、死ぬぞ、あんな炎喰らったら・・・・・・ハァハァ、何なんだよアイツは・・・」
暗い町中を一人走っている少年はぼやいていた、後ろから迫ってくる異形に…。
「アッハハハハ!!、待てよテメェ、まだ終わって無いでしょーがメガネくん」
「何が終わってねぇだバカ野郎、己の人生を終わらせれるバカが何処にいやがる!!、化け物!!」
黒ブチ眼鏡を掛けた少年は必死になりながら走っていた、それもそのハズ後ろから迫って来る者は異形の者、普通の人間でさえこんな暗闇の中後ろから追ってくれば怖がる、だが、今追って来ているのは明らかに異形の者。手から炎を出すなんて普通の人間には無理だ。だが黒ブチ眼鏡を掛けた少年も少し普通の人間とはかけ離れた能力持っていた、それは、
「まぁ逃げるこたァ無ぇだろ?、《鉄人》さんよ!!」
腕部分だけオレンジ色のパーカーを着ている少年は手から炎を黒ブチ眼鏡の少年に放つ、だが黒ブチ眼鏡の少年は片手で炎を振り払う。
「ワハハハハハ、俺が普通じゃ無ぇんならテメェも普通じゃ無ぇんだよ、《鉄人》」
《鉄人》と呼ばれた黒ブチ眼鏡の少年は自分で炎を払った手を見ると手が黒い色をした手に変化していた。
「・・・違う・・・・・・俺は鉄人なんかじゃねぇ・・・・・・」
黒ブチ眼鏡の少年は自分の手を見ながら俯く、炎を出した少年は掌に炎を出現させ辺りを明るくした。
すると炎の少年は俯いている少年に語りかける。
「・・・俺の名は炎条騎烈、お前と同じ妖刀育生計画の犠牲者となった異形者だ」
「・・・犠牲者?・・・」
炎条はあぁ、と答え相手の少年と向き合う。炎条の炎で照らされた少年は黒ブチ眼鏡にボサボサとした黒い髪、疲れきった瞳、そして何処かの高校の制服を着ていた。
「犠牲者って何だ?、俺のこの能力もそのブレイドなんやらのせいなのか?」
少年は自分の手を見て炎条に聞く、炎条も炎を照らしながら話す。
「そう妖刀育生計画の為に能力を与えられた実験体さ、俺と同じにな。俺は異形者にされてこの通り《炎人》になっちまった・・・」
「・・・騎烈さんとか言ったなアンタ」
炎条は「あぁ」と答える、眼鏡の少年は炎条に質問した。
「そのブレンドなんやらの実験で俺は変な能力を持ったんだよな?、何で俺なんだ?」
「あぁ〜ん?、そんな事知るかよ、俺はある“命令”でテメェを殺しに来たんだからよぉ」
黒ブチ眼鏡の少年は「えッ・・・」と眼鏡がずれて驚いた、今なんて言ったと?。
「ワッハッハッハ、なぁに驚いてんだテメェ、俺がさっきからテメェを殺そうと何度も炎を放ってたじゃねぇか」
炎条は手から発している炎を莫大に膨れ上がらせる、炎条の炎の熱気が黒ブチ眼鏡の少年の肌を熱く覆う。少年は炎条の炎に危険を感じながらジリジリと後ろに下がる。
「・・・まぁ上手く逃げな、《鉄人》よ」
※
「お〜い、何かさぁ昨日の夜中になんか火事があったみたいだな」
黒須学園に続く坂道に芦田峰春と黒神零が歩いていた。
「あぁ、何かあったみたいだな夜中12時頃に・・・」
零は素っ気なく答え歩みを止める、後ろを振り向くと元気になった南郷雹華と零の義妹の凪瀬姉妹の水波と火波が話していた。
「南郷先輩が元気になって良かったです、お見舞に行きたかったんですが南郷先輩のお家が分からなくて・・・」
「済まなかったな、心配を掛けてしまって、火波は優しいんだな」
「火波は心配性なんですよ、私が風邪引いた日なんて『一緒に休んで看病する』って言って聞かないんですから」
三人は和気藹々(わきあいあい)になって話していた。そんな三人を見ながら歩いていると芦田がニヤニヤしながら喋ってきた。
「良いィよな、こーゆー女の子同士の華やか会話は〜」
「・・・悪い、何か今の芦田見たら警察に通報したい位に変質者に見えた」
「えッ!!、普通に良いなぁと思っただけだぞ、今のは!!」
「そーか?、俺には変質者にしか見えなかった」
零と芦田がいつも通りに話していると後ろの会話に男性の声も聞こえた、零と芦田が振り向くとそこには青い髪が特徴な少年、尾井群が居た。
「えぇ〜!?、尾井群先輩と南郷先輩は幼なじみだったんですか?」
「あぁ、蒼道は私の幼ない頃から友達だ」
「・・・?・・・南郷先輩?、そうどうって誰かの名前ですか?」
「何だお前達、コイツの名を知らなかったのか?」
雹華は尾井群に向かって指差す。そう・・・尾井群の名前は『蒼い道』と書いて『蒼道』と言う。零も久しぶりに聞いたなと顔を頷ける。
「相変わらずカッコイイ名前だな・・・尾井群」
「・・・そうか?」
零が尾井群の名前を褒めるが肝心の尾井群はシラ〜、っとした感じに答える。
「尾井群の名前聞くの久しぶりだよね」
「あぁ、普段は尾井群って言ってるからな」
零と芦田がそう言うと雹華は疑問そうにして二人に聞いた。
「そう言えばそうだな、二人は何で蒼道を名で呼ばないんだ?」
雹華が質問すると零が止めていた足を動き出し歩み進めながら言う。
「何か馴染んじまったんだよ、尾井群って呼ぶのが」
「俺も俺も〜」
雹華は「そうか・・・」と言って区切った、雹華本人は名前で言っている方が『友』としてしっくりくるから名前で呼びあいたいらしい。肝心の尾井群は凪瀬姉妹に何か質問され、それを答えていた。その内容には「零兄に彼女とか居ますか?」、「お兄ちゃんの何か好きな食べ物は知りませんか?」やら零に関わる質問ばかりしていたが尾井群は嫌な顔もせずに答えていた。
「てかそんな事より昨日の火事騒ぎだよ火事騒ぎ、帝黒町の町中であったって話だぜ」
芦田がさっき話題に出していた話を切り出した。
「・・・それってもしかすると異形者の仕業なのか?」
「聞いた話だと何やら炎を出す奴が居て、誰かを襲ってたって話だぜ」
「また、会長のトコに行かないとだな・・・」
零が疲れた感じに言うと尾井群が話に入って来た。
「・・・黒神、校門に芽実が立ってるぞ」
「あぁ・・・本当だ」
校門に立っているのはオレンジ色にウェーブが掛かっているツインテールの女の子。零のクラスメートの芽実が居た。芽実がこっちに気付くと駆け足で寄って来た。
「おっはよー、朝から眠そうな顔しやがってお前らはぁー、ちゃんと起きてますかぁ?」
朝から元気良く挨拶をしてきた芽実、物凄い音量だったので芦田は耳を塞ぎながらも「おはょ」と答え、零も朝の挨拶をする。
「おぉ!!、雹華ちゃんが無事復帰したかー、もう心配してたんだぞコノヤロ!!」
雹華が居る事に気付くと勢い良く雹華に抱き着く、芽実は本当に心配していたらしく零から見ても力強く雹華に抱き着く、そんな芽実を見て微笑む。
「ムフフフ、これでやっとそろったね出雲組の『春華零道』の四人組♪」
芽実は雹華に抱き着きながらそう呟くと横で見ていた水波が口を開く。
「・・・?・・しゅんか・・・れいとう?」
水波は頭にクエスチョンマークを浮かべながら考えていると芽実は赤い髪の女の子と青い髪の女の子が居る事に気づく。
「おやおや〜?、もしやこの可愛い女の子達は黒神くんの妹さんかな〜?」
芽実がそう言うと今度は火波に抱き付いた。火波はもちろんビックリして瞳を見開くがスリスリ〜、として来る芽実に自由を奪われた。
「いぃぃやぁぁ可愛い娘やなぁー♪♪」
芽実はエセ関西弁を使いながら火波を頬擦りする。火波は「はわぁ〜〜」と言ってジタバタするが火波の自由は完全に芽実が掴んでいた、だが、可愛い義妹を助けるべく零は「おい、こら」と言いながら火波から芽実を剥がす。芽実は「あぁーん、柔らかかった黒神くんの妹ちゃんが〜」と言って離される。
「『しゅんかれいとう』って何ですか?」
水波はさっきから疑問に思っていた事を尾井群に聞いた。
「・・・どうやら芽実は俺たち四人をそう呼んでいるんだ」
「う〜ん?、それはどうしてですか?」
水波がそこまで言うと芽実は零達の前に仁王立ちになって説明する。
「説明しよーう、『春華零道』のしゅんは“春”つまり芦田峰春の“春”で、かは“華”で雹華ちゃんの“華”。そして黒神くんの“零”でしょう?、そしてそこに尾井群くんの蒼道、とうの“道”を入れて丁度『春華零道』の四人組を結成したんだよ♪」
「長い説明をありがとう芽実、だがな・・・相変わらず俺だけ仲間外れみたいで嫌なんだよなそれ・・・」
長い説明を終わった芽実に零は自分だけの名前が違うだけにショックを受けていた。芽実はトントン、と零の肩を叩くが笑みを浮かべながら軽く揺すぶりパンパン叩いて終わった。
「もうすぐ朝のホームルームが始まるぜ、急ごう!!」
珍しく芦田がそう言うと零は辺りを良く見渡すと生徒達の姿は無く自分達だけが遅れていることに気付くと急いで教室に向かった。
※
零たちは何とか教室に間に合い自分の席に着く。
「ハァハァ・・・よ・・・良かったぁ〜出雲先生居ねぇよー」
「・・・間に合って良かった」
「うぉ!?、尾井群!?、お前も出雲組だったっけ?」
「・・・失礼な奴だ、俺も2-Bクラス出雲組だ」
尾井群は胸を張りながら言う、芦田は「おぅ、そですか・・・」と自分から聞いといて素っ気なく言い終わると自分の席に着く。尾井群もすぐに席に着く、尾井群の席は左側の一番前だった、通りで気づかない訳だ。
「おはよー、零ちゃんに蒼ちゃん」
学級委員長こと角阪柚葉が二人に挨拶する。零と尾井群も朝の挨拶を返して終わり・・・
「・・・ってアレッ!?、委員長オレには朝の挨拶無しですか?、それなりにキツイよそれ、俺泣くよ?」
芦田に柚葉に聞くが芽実が教室に入って来ると芽実に朝の挨拶をして終わった。芦田が泣きじゃくっているとすぐに担任教師の出雲由が入って来た。
「オース、おはようお前ら」
出雲先生が皆にそう挨拶をすると「「「おはようございまぁぁす」」」と元気良く挨拶が返って来た。
「うんうん、元気があってよろしぃ」
元気良く返ってきたのに喜んでいる出雲先生にクラスの女子生徒一人が挙手する。
「・・・ん?、どうした沙藤、何処か調子が悪いのか?」
「いえ・・・私じゃ無いんですが芦田くんが何か踞っているのですが・・・」
沙藤と呼ばれた女子生徒は踞っている芦田を心配そうに出雲先生に言った、流石は女の子・・・こんな芦田でも心配してくれるなんて。
「あぁ芦田なら大丈夫だろう、腐った饅頭を食っても平気な男だ」
「いやいや、無理ですよ先生それは・・・マジで」
「何だ・・・生きてたのか?」
「オオオォォイ!?、何生徒を死なせてんだアンタ!!」
芦田が生きていた事に驚いた出雲先生だったが、また普通に朝のホームルームに戻り芦田は「シカトュですか・・・」と泣きながら座った。
その後はいつも通りに朝のホームルームが終わり一時限目から授業が流れた。
零は窓を眺めながらも授業に聞き入り、芦田は教科書を立てて爆睡し、尾井群は呆けながらも黒板を見ていた。根本的にこの出雲組の男子は零、芦田、尾井群の三人しか居らず女子生徒の割合で満たされていた。
流石は元女学園だけあって入学してくる女子生徒が年々に増加して行き、今では黒須学園の5分の1は男で残りは女子生徒で埋まっていた。
(・・・腹減った)
零は今の常態を頭の中で呟いた、今の授業は世界歴で担当教師は長い茶髪の女性教師、永倉千香先生が受け持っていた。あの永倉先生はとても心優しく授業も分かりやすく、寝ていても優しく起こしてくれる女神様のような先生だ、永倉先生と出雲先生を比べれば断然に永倉先生の方が人気だろう。
零がそう思っていると永倉先生は零をチラッと見るとにこやかに笑いながら「この問題を答えて下さい」と綺麗な声で言った。
(えぇ〜何々?、次の( )に正しい単語を入れなさい〜?)
┏問題━━━━━━━━┓ロシアの作家ドストエフスキーは『( ① )の兄弟』や『( ② )と』の中で、信仰心を失った近代人の虚無主義的な姿を描いたのはなんでしょうか?
┗━━━━━━━━━━┛
「そんじゃ・・・①の答えですが『(マーゾ)の兄弟』・・・ですか?」
零がそう答えるとクラスの大半は吹き出して居る者やらクスクスと笑っている者、何故笑っているのか知らない者が居た。。永倉先生も微笑みながら答える。
「あらあら、なんてところをピンポイントで覚えているんですか」
永倉先生がそう言うと隣で寝ている芦田に指差した。だが芦田は寝ていた。
「ちょっと起きろよ芦田、待ってろ今優しく起こしてやっから・・・ふんッ!!」
ボグゥッ!!
「ガハァァァッ!?」
気持良く眠っていた芦田は脇腹を押さえて身悶えしていたが永倉先生に指差され問題に答える。
「えぇ〜と、あぁ知ってますよこの問題はぁ、確か②の答えは・・・『(ムチ)と罰』!!」
「あ・・・あらあら、マーゾの兄弟大喜びね」
永倉先生は少し汗を浮かせながら言った。流石に連続にこの答えに驚いていた。こりゃ後で出雲先生に呼ばれるな・・・。零はそう思った。
「ふぅ・・・それじゃ角阪さん、答えてくれますか?」
永倉先生はまたも優しい笑顔で言っていると柚葉もにこやかな顔で答えた。
「はい、①は『(カラマーゾフ)の兄弟』と②は『(罪)と罰』です」
柚葉がそう答えると永倉先生は満面な笑顔で「はい、正解ですよ」と言って黒板チョークをカツカツ、と音を立てながらどんどんと説明していった。零は多少意識を残して授業を聞く。芦田はまだ脇腹を押さえて身悶えしていた。尾井群は完全に爆睡していた。
キーンコーンカーンコーン
午前中の授業は終わり、昼飯時。いつものように屋上に向かおうとしたが、
「うぉ・・・何か雲いき怪しいなぁ」
「・・・これは無理だな」
零と尾井群が窓の外を見ると雲いきが怪しくなってきたので止めることにして黒須学園の学食に向かった。寝ている芦田を叩き起こして。
黒須学園の食堂はハッキリ言ってかなりの豪華な作りになってある、食堂と言っても、和洋中イタリアンあらゆるジャンルを網羅したホテル顔負けの豪華施設、広さも見渡す程広く綺麗であり、クロステーブルも幾つもありきちんとなっている、ガラス張りで外の景色も良く見えて天気が良い日なんて外で食べている気分になるほどの日光を浴びられる。黒須学園に入学する者はこのホテル顔負け豪華施設の食堂の為に頑張った者も沢山居るとのこと。
そして当然ながらも料理は和洋中イタリアン何でもござれの料理人も居る。
零はいつも人混みは嫌い静かな屋上で食べるのが好きなのだが、たまに顔見知りの友達と囲みながら昼飯を食べるのも悪くないと言った感じにトレイを持って陣列棚へと向かおうとすると、何やら一年生達が騒いでいる様子があった。
「ん〜〜?、何かあったのかアレ・・・」
騒いでいる一年生の周りを囲んでいた女子生徒に聞くと女子生徒は零が居るのに驚きながらも答えた。
「何か生徒同士で揉めているんですが内容は分からないんです」
「ふ〜〜ん」
「何々?、一年生同士のケンカぁ♪、うわ何か面白そう!!」
芦田は野次馬魂の火が付いて人混みの中にへと消えて行った。尾井群も青い髪を揺らしながら見に行っている、ちゃっかり者の尾井群だな。零はそう思いながら空腹の腹を摩りながらも見に行く。
「今日という今日は許さんぞ、冲多!!」
「もぅ、うるさいですよぉ〜土方さん、皆が見ているじゃありませんか」
騒いでいたのは黒くて長いポニーテールをしている女の子と黄色い髪で短髪が似合う女の子が言い合っていた。
「うるさいじゃ無い冲多!!、お前は何かと私に突っ掛かりおって・・・」
「僕のせいなんですかぁ?、どー考えても土方さんに言ったじゃないですか」
アレッ?、新撰組に出てきそうな苗字がちらほらと・・・
零はこんな話をあのバカ会長に知られたらまた面倒なことに!!、と焦りながら二人に近付こうとしたら見覚えのある顔が二人を止めに入った。
「ちょっと二人共、こんな所でケンカしてると他の人たちに迷惑だよ〜」
零の義妹である凪瀬火波が止めに入って行った。
「むぅ凪瀬、済まんがそれは出来ん話だ。今日という今日はコイツの根性を叩き切る!!」
零はどうやって叩き切るんだろう、と思っていると土方と呼ばれている黒髪ポニーテールの少女は腰に差してあった刀の柄を掴んだ。
(・・・はぁ〜何で帯刀してんだよ?、やっぱこの学園は何処かおかしい、うん絶対に・・・)
零がそう心の中で呟くと三人の女子に近付いて行く。俺が前に出ると周りに居た生徒が騒ぎ出す、ある男子生徒は、
「おぉぉぉ、我ら数少ない男子生徒の憧れの黒神副会長だ!!」
「うぉぉ!!、本当だ!!」
恐らく一年の男子生徒だろう、同学年の男子生徒には一言もそんな言葉を貰ったことのない零は少し感動していた。そして中には女子生徒の声も聞こえた、
「あの人が例の噂の黒神副会長?、噂に聞いた程怖くないね」
何で噂なんか流れてんだ、と零が思っていると三人は零に注目した。
火波は零を見ると「零お兄ちゃん!?」と驚いていたが今の零のお腹の余裕が無くなってきた事に気付く。
「オイ、お前ら。こんな真っ昼間から何ケンカしてるんですかぁ?、アレですか、最近の若者はキレやすいって言われてるのは君らのせいですかぁ?」
零は腹痛が起きる程の空腹な腹を摩りながら二人に言う。
「あっ・・・貴方は誰ですか!?、どうやら上級生の方みたいですが邪魔をしないでもら・・・・・・」
「あっ・・・無理、本当に無理。こ・・・これひじょう・・・ま・・・待たへられたら死ぅ・・・」
さっきまで余裕だった零は両手をお腹を押さえながら言う、はたから見ればウンコを我慢してるような足取りをしているがさっきから零の腹の虫が騒ぎまくっていた、
ぐぅぅぅぅぅ
ぎゅるるるる
辺りを見ると零だけでは無く他の生徒達も腹を押さえながら腹の虫を鳴かせていた。そんな皆をみた土片は自分達のせいでこうなったことに気付くと、
「も・・・申し訳ない」
「むぅ〜ごめんなさーい」
土方と冲多がそう言うと二人は睨み合いながら場所を移動した、まだ昼飯は食べていないらしく二人は別々になって窓口から料理を頼んでいた。
「お・・・お兄ちゃん?、大丈夫なの、お腹?」
「らめ・・・ひぬ(だめ・・・死ぬ)」
「ワッハッハッハ、見てたぜ黒神副会長さんよォ!!、まったく上手くやるなお前は」
火波が零の空腹過ぎて死にそうになっている所に行くと解散した生徒達の中から出てきた芦田に笑いながら肩を叩いて言った。
───バタン
零はゆっくりと倒れた。芦田は笑いながら零を見下ろしていると尾井群がやってきて芦田にチョップを繰り出して零の腕を肩に回してスッ、と上げながら歩く。尾井群は適当に食堂のおばちゃんに料理を頼んでテーブルに向かった。
「・・・生きてるか、黒神、ホラ、ポテトサラダだ」
「アハハ・・・零お兄ちゃんってポテトサラダ好きだったんですか?」
「・・・知らん、適当に頼んだから」
火波は適当なんですか!?、と驚きながらも尾井群達と一緒のテーブルに座った。零はポテトサラダの匂いでガバッ、と起きてガツッガツッとポテトサラダを喰う。
「くはぁ〜次ィ!!」
ポテトサラダを喰い尽くすとすぐに次の料理に手を出した。
零は料理を次々と食べて行ってると芦田も自分の料理を持ってきて尾井群達と一緒のテーブルに座った。
「尾井群さぁん、何気にさっきのチョップ痛かったんですが・・・」
芦田が尾井群に睨みをきらしていたが尾井群は自分の食べ物に集中していた、因みに尾井群は中華ラーメンを頼んだらしい。ズルズルーと音を立てながら食べている姿は満足そうにしていた。とにかく零と尾井群は昼飯に夢中だ。
「駄目だこりゃ、それにしてもさっきの娘って火波ちゃんの友達かい?」
芦田はカツ丼を食べながら火波に聞く、火波はサンドイッチを食べていた。
「あっハイ、黒髪ポニーテールの綺麗な女の子が土方歳絵ちゃんで、もう一人の女の子は冲多総沙ちゃんです」
「ほほぉ〜何か新撰組の副長さんと一番隊組長さんの名前とか少し混じってるねぇ」
零程のガツガツと食べていないがカツカツと食べている芦田、火波もその話をして少し落ち込んだ様子になった。
「さっきの喧嘩もそうですが二人にはとても大切な人が居まして、その人の事になると二人はいつも喧嘩を始めてしまうんです」
「その二人の大切な人ってもしかして・・・“近藤”さんなんじゃ・・・」
「・・・!?・・・凄いです芦田先輩、いつもバカみたいな顔をしているのに今は冴えてますね」
「うん・・・当たったのは嬉しいけど、何で罵倒浴びちゃってる訳?」
芦田はカツ丼を一気に平らげようとしたが喉を詰まらせて苦しそうになっていた。
「ななな、何やってるんですか芦田先輩!!、ハイ水!」
火波はテーブルの上に置いてあった水を芦田に渡すと勢い良く飲む。
ぷはぁぁ〜、と言いながら生き返る。
「ハァハァ・・・とにかくその理由はなんなのよ?」
芦田はカツ丼を食い上げ、火波の話に真剣に聞いていた、零は食べ終えた食器を返し行った、尾井群も食べ終え火波の話に耳を傾ける。
「芦田先輩の言った通り二人ね大切な人、紺藤勇美ちゃんって言うんですけど・・・」
「もう作者は完全に変える気ねぇな・・・」
「えっ?、何ですか芦田先輩?」
「う〜うん何でも無いよぉ♪」
火波は話を曲げないで下さいと言われてシュンとする芦田。火波は続けて話す。
「その勇美ちゃんが・・・ですね・・・」
「えっ・・・何?、何て言ったの、聞こえなかったんだけど・・・」
芦田は火波の言葉が聞こえなかったのでもう一度聞こうとしたら火波から言ってきた、だが、それは驚きを隠せなかった一言だった。
「・・・紺藤勇美さんは・・・・妖刀師なんです・・・」
黒須学園にもう一人の妖刀師が居る事を確認した。