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駅の中で、かくれんぼ 4


「 『 亡くなった御先祖様は、神様,佛様,佛様の弟子になりますよ 』って言われていて、それを素直に信じて熱心に菩提寺の教えに一心なのよ。

  『 神様,佛様,佛様の弟子にはなりません。生まれ変わるんですよ 』なんて、夢もロマンもないじゃない 」

「 ………………そう言われてみると……そんな気がしてますけど…… 」

「 まぁ…兎に角、諸悪の根源は安倍晴明の子孫って事を悪用して、だい(だい)的に悪事を働いてる安倍あべのまりやすって事かしらね。

  安倍あべのの御先祖様達は一族総出で草葉の陰から、安倍あべのまりやすの悪行を見て、泣いてるでしょうねぇ… 」

「 …………泣いてますかね… 」

「 絶っ対に泣いてるわぁ〜〜。

  安倍あべのまりやすのお祖父様もお父様も立派な陰陽師だったのよ。

  アンジューだって尊敬していたし、敬愛してたぐらいなんだから。

  アタシだってなんか御世話になってたの。

  アタシがアンジューと出会う切っ掛けを作ったのも、お祖父様とお父様だったんだから 」

「 そうなんですか…。

  …………そんな立派な陰陽師だった人達の孫が悪い事をしていたら……確かに悲しみますよね… 」

「 お祖父様やお父様には御世話になったけど、彼奴とは絶っ対に関わりたくないのよねぇ 」

安倍あべのまりやすさんは、お姉さんの苦手な人なんですね… 」

「 苦手って言うか…… 」

「 ──そんなに気に入らないならべさせたらいいじゃないですか 」

「 食べ…?! 」

一寸ちょっと〜〜ソツバ!

  ユタク君の前で物騒な事を言わないでくれるかしらぁ? 」

なにが物騒ですか…。

  に憑かれてる貴女の方がなんじゅうばいも物騒じゃないですか 」

「 言ってくれるわねぇ…… 」

「 ──アリコ〜〜♥

  マたせてしまってゴメンさいで〜〜す! 」

「 えっ…誰ですか?! 」

「 【 喫茶 えみゅ〜る 】のマスターですよ。

  陰陽師のしもむらあんじゅんさまです 」

「 あ…日本人なんですね… 」

「 生粋の日本人ですよ 」

「 アンジュー、相変わらずの西洋被れ振りね…。

  髪の色、金髪から変えたのね 」

「 ブルーにカエました〜〜!

  イメチェン、ニアいますか〜? 」

「 似合ってる似合ってる。

  お願いだから、普通に標準語で話してくれない? 」

「 オォゥ、ソォーリィー。

  ヒゲソりますますかぁ? 」

「 剃らないわよ…。

  依頼人がてたみたいだけど、どんな依頼だったの? 」

「 …………はぁ……。

  駅の中で起こる怪奇をなんとかしてくれってさ 」

「 ふ〜〜ん…。

  それって、どんな内容なの? 」

が小躍りしそうな内容かな 」

「 へぇ〜〜?

  かなりヤバめの怪奇なのかしら? 」

「 ん〜〜、相当ヤバいかもな。

  被害者も出てるし、死活問題になってるらしい 」

くもまぁ、今で放っといたわね… 」

「 いや、色んな所へ梯子して祈祷やらお祓いやら供養やら除霊やらをしてもらったらしい。

  ちっとも改善しなくて困っていた矢先に、の事を知ったんだとさ 」

「 あらあら、お気の毒さまだわねぇ…。

  依頼人は相当、鴨られちゃったんじゃないの? 」

「 まぁ、そう言う事になるよな 」

「 ──でぇ?

  駅の中でなにが起きてるの? 」

「 神隠し── 」

「 神隠しぃ?

  駅の中で? 」

「 あぁ…。

  依頼人はそう思ってるみたいだな 」

「 ふぅん──。

  神隠しねぇ… 」

「 被害者は、ざっと50名じゃくって所かな。

  なんでも1週間に1人は確実に神隠しに遭ってるらしい 」

「 1週間に1人? 」

「 多くて3人だと。

  神隠しに遭ってる50名じゃくは、駅の利用者ばかりらしい 」

いくら駅の利用者だからって、駅の中で神隠しに遭ってるとは限らないんじゃないの? 」

「 いや、まぁ…そうなんだけど…。

  そうは言っても一向に引かなくてなぁ 」

「 受けちゃったわけね? 」

「 そゆこと。

  ──で、相談なんだけど、この依頼、受けてくれないかな? 」

「 アンジューが引き受けた依頼なんでしょ?

  どうしてアタシに回すの? 」

「 実はさ…彼女と朝までデートする約束してるんだよな〜〜。

  でぇへへ♥ 」

「 仕事より彼女を選ぶのぉ〜〜?

  へぇ〜〜ふぅ〜〜〜ん 」

「 し…仕方無いだろ!!

  彼女との約束の方が早かったんだから!

  ドタキャンなんてしてみろよ!

  また振られちゃうだろが!!

  頼むよ〜〜、トヨガン〜〜〜 」

「 『 トヨガン言うな 』って言ってるでしょ!

  全く……。

  まぁ、いいけど。

  代わりに依頼を引き受けてあげるわよ 」

「 マジで?!

  サンキュー、トヨガン!

  恩に着るよ! 」

「 はぁ……。

  ──ユタク君、行こっか 」

「 へ?

  あの…行くってへですか? 」

「 勿論、神隠しが起きる駅よ。

  ユタク君はアタシの助手見習いだから、特別に連れて行ってあげる。

  生で怪奇を見られる絶好のチャンスよ〜〜 」

「 …………で、でも…僕は見えない人…なんですよね? 」

「 大丈夫よ、ユタク君。

  るから、ユタク君にも怪奇が見えるわ 」

「 え゛っ……。

  見たくないんですけど…… 」

「 アンジュー、の駅なの? 」

の最寄り駅だな 」

「 あら。

  近くてかったわ。

  ユタク君、駅の中にあるお店にだ入ってないでしょ。

  丁度いから、買い物しに行こ 」

「 神隠しの起きる駅の中で買い物するんですか…。

  いやなんですけど…… 」

「 もぅ〜〜、子供は遠慮しないのよ。

  夕御飯は駅の中にある飲食店で食べましょうね☆

  全部、お姉さんが奢ってあげるから、お金の心配なんてしなくていからね。

  ソツバ、ユタク君もに宿泊するから部屋の用意しといてね 」

かしこまりました 」

「 よっし、ユタク君、出掛けるわよ〜〜 」

「 えぇ〜〜〜…… 」


 お姉さんとデートはしたいけど……、怪奇(神隠し)の起きる駅の中でデートするなんていやだよぉ〜〜〜。


 お姉さんは僕の手を掴むとドアへ向かってカツカツと歩く。


 ドアを開けたお姉さんと一緒に喫茶店を出た僕は、お姉さんに引っ張られる形で僕は再び駅へ向かう事になった。











「 ユタク君、時間が許す限り、楽しんじゃおうね♥ 」

「 ……楽しめる自信がないですよぉ〜〜〜 」


 お姉さんと再会した日に、怪奇(神隠し)が起きるらしい駅の中でデートする羽目になるなんて……ついてないよぅ〜〜〜。


 お姉さんはノリノリで駅の中へ入って行くけど、僕は不安で不安で不安で不安で仕方無かった……。


 どうか、お姉さんとのデート中に怪奇なんて起きませんようにっ!!

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