駅の中で、かくれんぼ 3
「 アタシへのサービスはないの? 」
「 はぁ?
あるわけないでしょう 」
「 アタシはこの喫茶店の常連客なんですけど〜〜 」
「 タダ飯ぐらいを常連客とは言いませんよ… 」
「 タダ飯はオーナーの特権でしょう♥ 」
「 何が特権ですか。
職権濫用でしょう。
兎に角、小学生を恐怖がらせるのは止めてくださいよ。
貴女が怒ると鬼狐が不機嫌になるんですから… 」
「 そうだったわね〜〜。
──ユタク君、折角だし、冷めない内に食べちゃいましょう 」
「 は、はい…。
いただきます… 」
僕は胸の前で両手を合わせて合掌した。
「 ──お…美味しいっ(////)
こんなに美味しいナポリタンは初めて食べました!
チーズハンバーグもデミグラスソースも美味しいです♥ 」
「 気に入ってくれたみたいね。
良かったわ 」
「 あの…さっき言ってましたよね? 」
「 何をかしら? 」
「 …………安倍磨易さんは…稲荷さんや狐を侮辱してる──って… 」
「 あぁ…その事?
稲荷様や狐はね、 “ 神様 ” だからね、狐の霊でもないし、神様の使いでもないのよ。
狐の姿は “ 方便身 ” って言われていてね、真実の姿ではないの 」
「 そ…そうなんですか?? 」
「 稲荷様に対して、ぞんざいな言葉で『 ああしろ〜 』だの『 こうしろ〜 』だの命令したり、追い使うような言い方をしたり、憑きもの落としの呪術や祈祷,お祓いをする事は、不敬で不謹慎で僭上で罰当たりな行為だから、本当なら絶っ対にしたらいけない事なの 」
「 あ…それなら、テレビで見た事ありますよ。
あれって、やったら駄目な事だったんですね… 」
「 そうなのよ〜〜。
憑きものだって同じなの。
狗神,生き霊,野狐,狸の霊,死霊,稲荷,悪魔,魔物なんかが憑く──ってのは本来ない事なの。
憑きものは、諸天善神諸菩薩の神芝居だって言われているの。
狗神も野狐なんかも実際には存在してないし、陰陽道,密教の影響を多分に受けた邪説なの。
出雲神道,稲荷信仰,密教信仰の盛んな地方に憑きものの説が多くて、憑きもの落としの祈祷が多いのよ。
安倍磨易はねぇ、邪説や邪教,呪術祈祷信仰を悪用して、私利私欲の為に金儲けの道具にして私腹を肥やしてるのよ〜〜 」
「 ……そんなに悪い人なんですか?? 」
「 そうそう、本当は大悪党の親玉な・の☆
金神様,庚申様,水神様の障りとか祟りだって、本当はないのよ。
障り落としの祈祷をしたり、お祓いしたりするのだって正しくない信仰のあり方だと言われているの。
それを堂々と公共の電波を使って、日本中に見せ付けて実演してるんだから救いようのない奴なのよ… 」
「 …………それをされちゃうと、見えない人も見える人も信じちゃいますよね…。
あはは…… 」
「 安倍晴明の子孫だからね〜〜、皆無条件で信じちゃうのよ。
安倍磨易の前では詐欺師も赤子同然よ。
中でも1番罪深いのは、人格を神格化させて、信仰神にして、信仰対象にしてしまう事ね 」
「 どういう事ですか?? 」
「 本来、亡くなった偉人や貴人,法師や英雄,亡者の霊や魂魄が、神様,佛様になる事はないの。
勿論、佛様の弟子にもならないわよ。
人間はね、神様,佛様になれない変わりに、死んだら生まれ変わるようになっているの。
輪廻転生って聞くでしょ?
生物の魂は消滅しない限り、生まれて,死んで,生まれ変わって──を繰り返すようになっているの。
だから、どんな偉人だろうと貴人だろうと英雄だろうと法師だろうと、亡者は輪廻流転するから神様にも佛様にも佛様の弟子にもなれないのよ。
だけど、安倍磨易は宗教を利用して、人格を神格化させる事を大々的に薦めているの。
『 人の霊を神格化して、神様としてお祭りする事は正しい事で誤りではない 』って公言して弘めているの。
応神天皇も明治天皇も菅原の道真も弘法大師も親鸞上人も日蓮上人も加藤清正も人格の霊だから、守護の力も神力もないのよ。
守護ってくれるのは、産土大神や釈迦牟尼佛,阿弥陀如来,大日如来,観世音菩薩,普賢菩薩,天照大神,八幡菩薩,稲荷神,庚申様の御神霊──御魂が守護ってくれるの。
安倍磨易はねぇ──、誤った信仰を弘めて、信仰心のある人達に諸天善神諸菩薩を冒涜させて、諸天善神諸菩薩を蔑ろにさせて、諸天善神諸菩薩に対して非礼の行いをさせている大悪党な・の★ 」
「 そ…そうなんですね… 」
「 …………でもね…、こんな事を真剣に話したって見えない人は信じちゃくれないのよねぇ… 」
「 ……どうしてですか? 」
「 だって、見えない人は本物と偽物の区別が出来ないもの。
見えてる人に話しても同じよ。
本物だって分かる人は本当に少ないの。
現実は夢もロマンもないものねぇ… 」
「 夢…ロマン…ですか? 」
「 そうよ〜〜。
だってねぇ、先祖代々御世話になっている菩提寺の教えを信じて信仰している人達に対して、真実を教えたりしたらガッカリされたり、怒ったりされるわよ。
間違った教えを疑わずに信じ続けて、何十年も菩提寺へ多額のお布施や寄付をしたり、高額な戒名料を支払ったり、菩提寺に献身的に貢献したりしてる信者にね、『 亡くなった御先祖様は神様,佛様,佛様の弟子にはなりません。来世へ生まれ変わるんですよ 』なんて言ってみなさい。
石を投げられるだけじゃ済まないわ。
袋叩きに遭って、刺し殺されちゃうかも知れないわね。
信仰心が強くて盲目的に菩提寺の教えを信じてる信者には、到底受け入れられる事じゃないのよ。
今まで先祖代々続けて来た多額のお布施も寄付も戒名料も菩提寺への貢献も全否定されるんだもの 」
「 全否定…ですか? 」
「 そうよ 」