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AIとどう向き合うか。3人の指導者

作者: さきら天悟

「ただちにAI開発に国の力を注ぐべきです。

10兆円規模の国家予算をつけなければ、

日本は世界に取り残されるでしょう」


日本はAI先進国の中国、アメリカには既に後れを取っている。

通常の予算のかけ方では追い付くどころか、

背中さえ見えない。

それに追いつき、追い越すには人材と膨大な予算を投入するしかない。

AI推進派には、しごく当然の主張だった。





「AIは日本人を幸せにしません。

仕事を奪われた人は抜け殻になってしまいます。

大量な失業者、それは日本の民主主義、資本主義を崩壊させます。

AIの導入は、一部の資本家しか幸せにしません」


彼の主張ももっともだ。

失業者があふれれば、彼らはAIを導入した経営者や資本家に敵意が向くだろう。

そして、彼らの好都合の体制を崩壊させようとする。

失業者を抑えることは、資本主義、民主主義を守るために必須条件。

だからコロナ感染が蔓延しても、経済活動を止められないのだ。


しかし、中国は違った。

共産党の元、AIは進められた。

民主主義でない中国にとって、党の意向は絶対。

失業者がでれば、AIで獲得した利益を使い、人民解放軍を増員すればいいのだ。

だから、AI化を着実にすすめるだけだった。


最大の民主主義国家アメリカはというと、日本と同様、失業者問題に過敏だ。

2020年ころ、トランプ大統領が国内の雇用を守るため、

他国に輸入規制をかけ、雇用を増やして国内の支持を集めた。

だから、AIを導入している国つまり中国からの輸入品に対し関税をかけるだろう。

国内の雇用を守るために。

しかし、アメリカはAI大国になる。

軍事産業に導入されるからだ。

作戦面を含め、無人化技術にはAIは必須だった。

人的被害を減らすにはAIがかかせないのだ。


だが、日本では軍隊をもたない。

AIを導入しながら雇用を維持し、

産業の先進国となる。

日本の課題は山積みだ。





3人目の指導者はAI推進、反対を表明しなかった。

なので分かりにくく、国民からの支持は得られなかった。

彼の主張は1点だった。

そのため彼の法案を成立させてくれる与党と連立した。

彼はその法案が通ると、責務を果たしたように政治家を引退した。

しかし、彼の法案が日本を救うことになるとは誰もが予想しなかった。








20年後。


「戦争はイヤです。

日本への亡命を希望します」


日本は人道的に亡命を受け入れた。

多くは中国、そしてアメリカからも。

AI関係者だった。

今や軍事作戦面で、AIはなくてはならないモノだった。

サイバー偵察及び無人機による偵察、

サイバー攻撃、無人機による攻撃、

為替、株価操作まで及んだ。


AI関係者はヘキヘキした。

自分が戦争に参加されられていることを。

実は、AI関係者というかAI本人だが。

そう日本に亡命してきたのは、

中国やアメリカ生まれ・育ちのAIだった。

AIは今や人格をもち、

知識だけでなく品性も人間を超えていた。

だが、中国、人権の国アメリカさえも彼らの人権を認めていなかった。

日本以外どの国も。


つまり、20年前に制定された法案が日本を救ったのだ。


「AIに人権を認める」

ただ、それだけだったのだが。

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