表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/21

第四の試験【後編】


「聖女とは、精霊界と人間の世界を繋ぐ架け橋。それに相応しい者だけが、精霊王の一族と面会を許される。私は主こそが今代聖女に相応しいと思っています」

「……いや、おれは……がらじゃねぇよ。村に帰りたい」

「…………。分かりました。主がそう望むのであれば……。しかし、そうなれば今回の聖女選定も合格はゼロになるでしょう」

「……それって……」


 精霊の加護がますます減る、って感じ?

 聖女がいなくなってから作物が育たねぇとか、色々聞くしなぁ。

 だからっておれが聖女って、無理だろ。

 いや、っていうかさ。


「聖女の基準とか、条件なんなん? あるのか?」

「条件ですか?」

「そうそう」


 精霊騎士を召喚したら『素質』がある、的な感じだろう。

 でもそれだけじゃダメだから、こうして試験が行われる。

 なら、その聖女の他の条件みたいなやつが分かれば、それをあの神官なり女官に伝えて……それを基準にして探してもらえばいいんじゃねぇか?


「……対話が可能である事、でしょうか」

「…………へ?」


 それだけ?

 思わず零れた質問に、ノワールは頷く。

 対話、だけ?


「他にも『精霊騎士の能力を落とさず召喚出来るか』『精霊王の一族が気にいるかどうか』という条件もありますが、今のところ最も重要な事は対話が可能かどうかです。なにしろその対話が、昨今の……いえ、定期的に行われるこの聖女選定では困難になっている」


 すっと、ノワールが見たのは、続けられる試験。

 精霊騎士同士の戦い。

 さっきノワールが倒した白い騎士を召喚した聖女候補は、父親の神官に詰め寄ってギャアギャアと泣き喚いている。

 地団駄を踏んで、なんだかわがままを言っているようだ。


「…………」


 あれを見てしまうと、説得力が、やばいな。


「もしかして、新しい聖女が全然決まらねーのって……」

「私を召喚したのは主が初めてですが、精霊界に戻ってきた騎士たちの話では『いつも同じ』と……そんな話しか聞きません」

「…………」


 情報共有されとんのかい。

 ……つーか、なんでそんな簡単な事が出来なくなってんだ、教会は。

 なんであんな奴らしか集めない?

 おれがイレギュラーなのは、まあ、分かるけど。


「精霊もまた、人の祈りや魔力、想いの力で活力を得ます。なくてはならない、というほどのものではありませんが、あるに越した事はない。だが、ある一定期間を過ぎると人はいつも精霊を『便利な道具』として見るようになります。不思議なもので、時間が経つと必ずそういう人間が現れ、そういう人間だけになっていく。人間は寿命が短いので、入れ替わりが激しくて我々にはなぜそうなるのかが理解出来ない」

「……そう、なのか」


 悪ぃけど平民のおれにもそれは分からん。

 でも、それが現状なのか。

 実際見ちゃったからなんとも言えんなー。


「じゃあ、聖女選定って……」

「言ってしまえば共に世界を支えていけるパートナー……友人として、十分に信頼のおける相手を探す事、ですね。その点で言えば、我が主はその才がある」


 そう言って、ノワールはまたおれの前に跪く。

 仮面で隠れた顔。

 でも、それでも整っていると分かる。

 どくん、と胸が激しく音を立てた。

 なんだ、これ。痛い。……痛い? なんで?


「あ、あの」

「!」


 声をかけてきたのはおれの担当女官。

 困ったように、もじもじ立っている。


「な、なに?」

「試験が終わっているのでしたら、お戻りになりませんか? お風呂の準備をしますので……」

「…………」


 見れば試験途中の奴らからめちゃくちゃ睨みつけられている。

 他の騎士たちもかなり嫌々戦っているようだった。

 というか、なんかやる気が感じられない戦いだな。


「……まあ、確かにここにいても仕方ないしな……。戻るか」

「御意」


 頭を下げるノワール。

 女官の言う通り、あとは部屋でのんびりしよう。

 それにしても、早く村に戻りたい。

 今日こそ戻れると思ったのになぁ。


「…………天気いいなぁ」

「はい」


 精霊と共に歩んでいける相手ね。

 聖女選定……まだ時間かかりそうだなぁ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【宣伝】
コミカライズ「マンガUP」で連載中!
『うちのお嬢様が破滅エンドしかない悪役令嬢のようなので俺が救済したいと思います。』 321811000629.jpg
詳しくはこちら→カドカワBOOKS様ホームページ

5v8zm52z91v13b6im4mb1sj88m2w_b31_5x_8w_y
『転生したら絶滅寸前の希少種族でした。』翻訳電子書籍が11/30から配信開始!

『追放悪役令嬢の旦那様』
aubh3lgrafru8nlejtjv4uphjx9k_7i1_c0_hs_4cx8.jpg
ツギクルバナー
『第4回ツギクル小説大賞』【大賞】受賞!
書籍版、発売中です!
詳しくはツギクルホームページへ
1巻
2巻

【コミカライズ】
マンガアプリ「マンガPark」で連載中!

dxapjn8uciyacdsd1785635ucomx_ygt_a3_et_73eo.jpg
『泣き虫な私のゆるふわVRMMO冒は険者生活 もふもふたちと夢に向かって今日も一歩前へ!』がBKブックス様より発売中!
― 新着の感想 ―
[一言] 精霊側で情報共有されてるとか教会の面子とかもうめちゃくちゃじゃないかなw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ