始時の契り編 その8
8話目です!どうぞ!
金剛さんの部下の人が増援に来てくれた。すごく助かるが、、、少し疑問がある。
「1人だけ?」
「確かに、おい!他のやつはどうした!」
そう、部下の人が1人しか来ていなく俺が疑問に思うと、金剛さんも同じように思ったらしく、その人に疑問をぶつけた。
「他のやつならもうすぐ来ます!それより隊長!少し状況説明お願いします!」
「こんな状況!以上!」
「めちゃくちゃ適当!?」
確かに俺も思った。
「猿飛、隊長が適当じゃない時なんか1度も無かったでしょ、それよりも、隊長が追い込まれてることと、そこの男に注目しろ」
「あ!篠崎先輩!」
少しいざこざしていると、もう1人現れた。猿飛と言われた人が先輩呼びしていると言うことは、年上だろう。
「くそ!何が自衛隊だ!邪魔するなぁ!」
こんなやり取りをしていると、しびれを切らした男が猿飛達に襲いかかった。
「!?危ない!」
俺は咄嗟に槍を出すが、
「大丈夫だ」
金剛さんが止めた。
「何故!」
俺は焦りを込めて、金剛さんに言い返す。
「まぁ見てろ」
金剛はニヤリとにやけた。
「え?」
俺が呆けていると、
バン!バン!
「!?」
「ぬ!?」
「遅いねー、それじゃ俺の弾は避けられねえよ」
いつ抜いたのか、右手には拳銃を持っていた。
「な!いつの間に、、、!」
早すぎだろ、俺が槍を作るより早ぇじゃん。
「く、まだだ」
あいつまだ諦めねぇのか、むしろ凄いな。
「諦めろ」
「な!いつの間に背後に!」
たしかにいつの間に入った!?
「切り刻む!」
「ちくしょう!」
篠崎と呼ばれた男は一瞬で間合に入り、持っていた小刀ニ対で相手の背中を切った。
「かは!ここは引くしかない!」
「!?待て!」
「大したものだ、だが、次はお前ら全員引き裂いてやる、、、!俺を、、、私をこんな目に合わせたことを後悔しろ!」
さすがにに不利とおもったのか、男は逃げたた。
「くそ!追いかけなきゃ!」
「無駄だよ、相手はもう逃げた。逃げ足が早い」
追いかけようとすると、ラトが止めた。
「ち!次はねぇ、、、!朝凪を怖がらせた報いしっかり受けてもらう、、、!」
「まぁまぁ、今度また会える、今は落ち着いて」
「そうだな、とりあえずラト、状態を解除してくれ」
「言われなくても、既に解除してるよ」
そう言われ、体を見てみると、確かに幾何学模様の文字が消えていた。
「お、早いな。ありがとう」
「いやいや、時雨のことはすぐ分かるよ」
「あー、青崎君、ちょっといいか?」
ラトとじゃれてると金剛さんが話してきた。
「青崎で大丈夫ですよ。そっちの方が気楽です」
「そうか、すまない。とりあえず、今からうちの事務所に来てくれないか?部下の紹介もしたいし、あとはこの事の詳細を聞きたい」
「いいですよ、あと朝凪のこともお願い出来ますか?」
「ああ、無論だ。その前に軽く部下を紹介しよう。お前ら」
「はーい、初めまして、俺は猿飛 秋斗、よろしく!」
「篠崎 紫陽花だ。珍しい名前だが、つっこむな」
「あ、はい。俺は青崎 時雨と言います。そしてこっちが」
「ラトだよ、よろしく〜」
俺に続いてラトも挨拶をした。
「よし、一通りの挨拶もしたし、行くぞ。君の身に起こった事も話さなきゃな」
「ですね、早く帰りましょ〜、俺腹減りましたよ」
「お前はそれしか言えないのか」
金剛のあとを猿飛と篠崎がついて行く。
「フゥー、疲れた。ありがとな、ラト」
「いや、いいんだ」
俺がお礼を言うと、ラトは笑顔で返した。
「まぁ、なんだ、お前のおかげで助かった。これからもよろしくな」
「うん、あと最後に、これを言わして?」
「なんだ?」
そう言うと、ラトは月を後ろに俺を見下ろした。その姿はまるで、地上に降りてきたかぐや姫のようだった。
「初めまして、これからよろしく供物人♪」
男は、、、ラトはこの夜に似合わぬ声でそう言った、そして俺は、この夜の出来事を決して忘れないだろう。
「供物人?それはいっ、、、たい、、、」
その時、俺は急に意識が遠のいた。
(あれ?なんで?)
「さすがに僕の力を使いすぎちゃったね。今はゆっくり休んで?」
「ああ、ありがとう」
俺は目をそっと閉じた。
「おーい、青崎!来ないの、、、か、、、」
青崎が倒れた直後、来ない青崎を呼ぼうと金剛は後ろを見たが、、、
「おい!青崎!大丈夫か!」
倒れた青崎を見て、すぐに駆け寄った。
「おいお前ら!青崎が倒れた!至急運ぶぞ!」
「え!マジすか!分かりました!」
「篠崎!お前はそこの女の子を背負え!」
「了解」
金剛の決断は早かった。すぐさま行動に移る。
「さすがに力を使いすぎたか!まだ大丈夫だな。おい!ラトとか言ったな!頼む!力を貸してくれ!」
「いいよー」
ラトは軽い口調で協力を呑んだ。
「よし、猿飛、青崎を運ぶぞ」
「了解です。しかし隊長、この子の力って、、、」
猿飛が口を開く
「ああ、確実に俺たちの使う力より強力だ。しかも、初めて力を使ったのにも関わらず気絶で済んでる。凄い才能だ」
「危険です。処理しましょう」
金剛が言い切ると、篠崎が慈悲のない言葉を口にした。
「ちょ!篠崎先輩!さすがに早いでしょ!まだ危険になるとも限らないのに!」
猿飛が反論を言う
「危険があるとは限らない?逆に1歩間違えれば危険と言う事だ。邪魔なものは排除する。俺はこいつが気に食わん」
篠崎は、青崎の前で被っていた皮を剥がすように本音を言った。
「金剛隊長、処分しましょう。俺がやります」
そう言うと、篠崎は腰にある刀を抜いた。
「待て篠崎、こいつはそんな事しない。しかも仮にそんな事してみろ、そこのやつがどうなるか分かるだろ」
「しかし、、、!」
「お前は冷静じゃない。少し頭を冷やせ」
「電話を受けて装備も持たず行った挙句、こんなことになっている貴方に言われたくないんですが?」
「ぐ、なまじ正論だから反論出来ねえ、、、!」
「まぁ、確かに貴方の言う事は理にかなってる。分かりました、やめましょう」
そう言って、刀をしまった。
「ああ、てかお前らも装備着てねぇじゃん」
「何故俺も巻き込むんですか!しかも!ちゃんと攻撃用の装備は持ってきました!」
猿飛が反論した。
「はっはっは!確かにそうだな!あと篠崎!こいつは危険じゃねえよ!なんたって、近いうちにその力を否応なしに使うからな!」
「使う?は!隊長!貴方まさか!」
「放し飼いが危険なら、家に閉じ込めればいい、そう言う事だ」
「はぁ、何で貴方はこうなんだ、、、!」
「いいじゃねえか。行くぞ!」
「あ!待ってくださいよー!」
「はぁ、胃が痛い、、、」
冗談交じりの話しをしながら、金剛達が帰る中、ラトは
「ここなら、時雨も僕も退屈しないな」
微笑みながら、金剛を後ろから見ていた。
「さて、僕も時雨の夢に行かなきゃ、伝えたい事もあるし」
・・・
深い闇の森を抜け、気付けばあの草原に来ていた。
「また、ここか。居心地はいいから嫌いじゃないが」
「おっ、ようやく来た。少し遅いよ」
軽い愚痴を言っていると、ラトが来た。
「すまんすまん、てかここ俺の世界なら遅いも何も無くね?」
「それでも遅いものは遅いよ」
「そうか、なんか言いくるめられた気分だが、、、」
「それより、大丈夫?だから言ったじゃん、負担が大きいよって」
う、あの事か、、、
「別にいいだろ?危機はとりあえず去ったんだから」
「まぁそうだけど」
「そういえば、現実の俺はどうなった?」
純粋な疑問をラトに聞いた。
「君の近くにいた人達が運んでるよ。今彼らの住んでる場所に向かってる」
なるほど、金剛さんが
「でもよかったよ、君が無事で」
「まぁ、体は昔から丈夫だからな。心配するな」
「うん、分かった」
「あと、ラトさ」
「何?」
「俺と契りを結ぶ前に、願いを聞いてと言っていたけど、その願いって?」
ずっと気になっていたことを聞いてみた。
「ああ、それなんだけど。願いって言うのはね」
ラトは一呼吸したあと
「僕の、、、記憶を探して欲しいんだ」
「記憶?お前、記憶ないのか?」
「うん、生まれた場所もその後どうやって生きてきたのかも分からないんだ」
いわゆる記憶喪失ってやつか
「じゃあどうやって生きてきたんだ?」
「分からない、気づいたら君の心の中にいたから」
「なるほど、そりゃかなり厄介だな」
「お願い、僕の記憶を探してくれないかな?」
俺は考えた、しかし無駄だった。
「いいぜ、探してやる」
俺はとうに決めていたからだ。
「いいの?」
ラトは困惑した表情だった。
「ああ、言ったろ?お前の目的は俺が叶えるし、俺の目的はお前が叶えるってな。俺とお前はとうに繋がっているんだからな」
「ありがと!時雨!」
ラトは俺に抱きついてきた。
「おっと」
男を抱く趣味はないが、、、今は許してやるか
「さて、気は済んだか?」
「うん」
「じゃ、俺は現実に戻ろう」
「分かった、何かあったら言って?僕に出来ることなら、やるよ」
「おう、サンキュー」
そう言って、俺は現実に戻った。
(つってもどうするか)
俺は頭を抱えながら、ゆっくり現実世界に戻って行った。
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