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Afte:r  作者: こーはい
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始時の契り編 その6

今日はだいぶ長くなりました。

俺は路地裏に入り、暗い道に歩を進める。いつあいつが襲って来てもおかしくない中、自分の神経を研ぎ澄ました。

(朝凪!どこにいるんだ!)

しかし探しても、自分の焦りと不安は増す一方だった。

(どうする?大声を出すと、危険だし)

どこにいるんだ、、、!朝凪!

歩いても歩いても、人は無く、あるのは月明かりだけ、こうしている時もあいつが危ないのに。俺はいる事を信じ、ただ歩いた。

その時

「!!朝凪!!」

しばらく歩くと朝凪がいた。ただ無造作に置かれていてた。

「朝凪!!おい、大丈夫か!」

思わず声を張り上げ、駆け寄る。

(気絶しているが、大丈夫そうだな。良かった)

「やれやれ、もう少し遅ければ殺そうと思っていたが、もう少し早く殺しとけば良かったか」

安心していると、声が聞こえた。

「やはりお前か、何故こんな事を!」

予想出来ていたけど、やはり昨日のあいつだったか。

「何故かって?そりゃ言っただろ?次会ったら殺すと」

そう言って、スーツを男は月明かりの建物の影から現れた。

「相変わらず白いな。死人の方がマシじゃないか?」

「悪いが私は死んでも生きてもいないのでな。むしろスーツが似合うだろ?」

「は、よく言う」

男の冗談をかわし、俺は男に問いかける。

「で?なんでこいつ(朝凪)を襲った。俺が目当てなら俺を直接襲撃すれば良かったじゃねえか」

俺は単純な質問を投げ掛けた。

「第1にちょっとお前を警戒していた。あとはこっちの方が効率がいいと思ったからだ」

「効率?」

「まずお前は勘違いをしている。昨日、お前とそれ以外にあいつらは狙ってただろう?」

「狙ってた?は!」

そういえば、朝凪も狙われてた!

「あとはそういう事だ。確実にお前を殺し、尚且つ今お前のそばにいる女を同時に殺すには、この方法が1番効率が良かった、、、それだけだ」

「なるほど、理にかなってはいるが、屑の考え方だな。どうせあの生かした奴も殺しただろ?」

「ほぅ?凄いなそこまで分かるとは、やはりこの方法を取って正解だった」

「そりゃどうも」

(よし、あいつは俺の狙いに気付いてない!)

俺はただ男と世間話をしている訳ではない。俺には狙いがある。それは

(これで金剛さんが来るまで時間稼ぎができる!)

俺は何も無策できた訳じゃない、ちゃんと考えてきた、、、ほんとだぞ!決して今考えた訳じゃないからな!

「じゃあ、素直に帰してくれるか?俺まだ飯食ってなくてよ」

「そうだな、じゃあ、、、」

(後ろ!気をつけて!!)

突然頭に声が響いた。

ビキ!ヒュ!

「!危な!」

その直後、後ろのアスファルトから触手が出てきた。

「君たちを殺してから、帰すとするよ!あの世にね!」

そう言って、男は背中から生えた触手で攻撃してきた。

ヒュ!

「うぉ!」

俺は朝凪を投げ、そのまま触手を躱した。

「やっぱり、これは()()()()()()なら殺した方がいいようだな!」

そう言いながら、触手を次々と俺に発射してきた。

(!くそ!)

遅いしよく見れば避けられなくはない、これも夢の男のおかげか?しかし

(どうする!今あいつを攻撃出来るものがない)

隙を見て朝凪をあいつから引き離そうと思ったが、それもムリな相談っぽいし!

「くそ!為す術がない!」

「どうした?さっきまでの威勢は!このままじゃ殺しちゃうよ!」

(どうもスカした奴とはおもっていたが化けの皮が剥がれたな)

しかし、ほんとにどうしたものか?そうだ!

俺は男の触手を避けながら、近づいていき、持っていた携帯をぶん投げた。携帯地味に重いし怯むはず!

「くらえ!」

「ぐ!」

予想通り!怯んだ!

「よし!」

「このガキ、、、!」

お、怒ってる怒ってる。

よし、今のうちに!

「なんてな」

男は嘲笑にも似た、笑いを向けた。

そして、男は朝凪に触手を向けた。

「!朝凪!!」

「死ね!」

ヒュ!

グサ!

「ぐは!」

朝凪は無事か、だけど

「人の心配してる場合か?」

そう、俺の体に触手が刺さった。心臓等の重要な所に当たってないが、腹に4本ほど刺さった。

「馬鹿だな、そいつを見捨てれば、今死ぬことはなかったのに」

「ぐ、」

男は触手を抜いた。血が大量に出てきた。痛い、これが刺される感覚か。

「悪いが、俺には見捨てる選択はない」

「そうか、せめて楽には死なせてやろうと思ったが、、、その傷じゃ少しすれば動けなくなる、悪いがそこで大人しく見ていろ」

「待て、、、殺すならおれを殺せ」

「悪いが待てない。今のうちにこの女を殺す」

「やめろ!」

俺は痛みなんかどうでもよくなり、俺はあの男に走った。

「ふん」

ヒュン!

「黙って見てろ」

「ぐは!」

俺は刺されそのまま壁に叩きつけられた。

「ふん、死に損ないが」

「あさ、、、な、、、」

俺は手を伸ばした。届かないと分かっていても。

男は朝凪に近づき、触手を向けた。

「やめろー!」

「ふん」

ヒュ

「オラァ!」

相変わらず、来るのが遅い人だ

「すまん、遅くなった」

謎の男を蹴ったのは、金剛さんだった。

「く!何故お前が!」

「呼ばれてたからな、少し迷ったけど!」

そう言って、金剛は持っていた石をぶん投げた。

「ぐは!」

金剛さんの投げた、石は弾丸のように飛んでいき、男の顔面に当たった。

「金剛さん」

「すまない、遅くなった。大丈夫、、、では無いようだがな」

「ええ、大丈夫です」

「青崎君、なんで俺を待たなかった?」

「すみません、あなたを待っていては朝凪が殺されると思ったんです。そしたら、あなたを待てなくて」

「怖くないのか?」

「怖かったけど、朝凪が死ぬのはもっと怖い、、、!」

俺は確かな意思を口にした。

「そうか、分かった。お前の意思は無駄にしない!」

「金剛さん、、、」

「今俺の部下も向かって来てるから直に着く。お前は休んでろ。応急処置はした」

「金剛さん、、、!」

「大丈夫だ。任せろ」

金剛さんはあの男に向かって行った。

「くそ!ふざけやがって!」

ようやく、体勢を立て直した。男が悪態をついた。

「お前が例の惨殺死体の犯人か」

「ああ、その通りだ」

「なるほど、悪いがお前を倒させて貰う!」

「やってみろ!」

そう言って、男と金剛の戦いが始まった。

「ふ!」

男が触手を出した。

「遅い」

金剛はその触手を容易く避ける。そして、一気に間合いをつめ。

「ふん」

正拳突きを放つ

「はやい!ぐふ!」

「どうだ?効くだろ?」

「ち!はぁ!」

男が触手を続けざま放ち続ける。

「無駄だ」

金剛は放った触手を避け、いなしながら水のように近づき蹴りを放った。

「ガッ!」

金剛の放った蹴りは刀のように伸び、男の腹部を捕らえた。食らった男はそのまま壁に叩きつけられ、壁にクレーターを開けた。

「強え!」

俺はその強さに口が空いた。

「何故だ、、、?」

男は空気を絞り出すように言った。

「鍛え方の違いだ」

金剛ははっきりといった

「くそ、こうなったら、、、!」

「!金剛さん!下!下!」

「!うぉ!」

男は俺にやったように、アスファルトから触手をだし、金剛さんを襲った。金剛さんは間一髪で避けた。

「ちっ、避けたか。だがこれはどうかな!」

「!?消えた!」

「金剛さん!気を付けて」

「分かっている!どこだ!」

「ここだよ」

男は金剛さんの後ろに現れ、蹴りを入れた。

「ぐ!ふ!」

「無駄だよ」

金剛さんの放った拳は当たらなかった。

「くそ!どこだ!」

「ふん」

「ぐは!」

「は、無様だな!ここから追い討ちだ!」

「ぐ!」

「金剛さん!う!」

動こうとしても、痛みで動けない。

(また、助けられるのか?)

俺はまた動けないのか?昨日見たいに?

「ふざけるな、、、!」

(何が助けてだ!俺の為に誰かがやるのも、傷付くのも、もう沢山だ!)

俺は俺の本心を心で叫んだ。

(俺はあの人(金剛さん)を、助けたい!)

ありのままの本心を

(やっと、願いを言ったね)

その時、俺の頭にあの声が響いた。

(お前は、あのとき、、、の、、、)

反応した途端に眠くなり、俺は深い意識のに入って行った。


・・・


「うーん、、、ここは、、、」

目が覚めるとそこは見慣れない景色だった。

しかし前の夢のような無の景色ではなく、そこには草原が広がっていた。風が心地いい。

「前とは違う景色か、ここは?」

「そう、ここは君の場所、君だけの場所」

「誰だ!」

「誰だとは心外だなー、夢の中とはいえ喋った事あるじゃん」

確かに、その声は夢の時のあの声だった。

「なるほど、確かにここは夢みたいだな」

「でしょ?気付いてもらって嬉しいよ」

「ところで、そろそろ姿を見せてくれないか?」

姿見えないと不安だし。

「そうだね、じゃあ後ろを見てよ」

そう言われ、俺は後ろに振り向いた

「へぇ、結構美人じゃん」

そこにいたのは、髪の長い男だった。しかし顔が中性的で、女と見間違える程だった。民族衣装のような、マントと服を着ていた。

「ふふ、ありがとう」

「そうだ、お前に頼みたいことがあったんだ」

「なに?」

「頼む、力を貸してくれ」

俺は躊躇いなく頭を下げた。

「何故?」

そいつが問いかける

「あの人を、、、助けたいんだ。だけど俺は力がない、だから恥も承知で頼む」

「なるほど、それが君の意思か」

「え?」

「分かった、力を貸すよ。その代わりに僕の願いを聞いてくれる?」

「ああ、今は時間が惜しい。後で聞くよ」

「そうか、ようやくこの道まで来たね。随分時間かかったけどね。

「すまない、優柔不断なのは昔からでな」

「ふふ、別にいいよ。それじゃあ儀式をはじめようか?じゃ、手を出して?」

「こうか?」

俺は手を前に出し、そいつは俺の手に重ねてきた。


『貴殿、我と歩み、我の贄になるか?』

これは普通に返答すればいいのかな?

『はい』

『貴殿、我が供物となり、我が目的を共に行くか?』

『ああ、お前の目的は俺が叶えるし、俺の目的もお前が叶える』

『貴殿、その覚悟、我に聞き届けたり。今ここに()()を結ぼう』

そう言って、そいつは俺の頭に頭を合わせた。

「これで大丈夫、今は変化を感じなくても現実に戻れば、君はその力を発揮するよ」

「ああ、ありがとう。この力感じるよ」

自分の体内から来る力を俺はしっかり感じていた。

「そうだ、お前、名前は?」

「名前?ないけど」

「そうだな、じゃあ名前を付けよう」

ここは適当に、、、

()()、、、お前はラトだ」

「うん、いい名前だね。君は?」

「青崎、下の名前は時雨だ」

「なるほど、じゃあ行こうか!時雨!」

「ああ、今度は絶対しくじらねぇ!」

俺はあいつの、、、ラトの手を取り、あの場所へ行くあの人を助ける為に。

読んで頂き誠にありがとうございます。

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