始時の契り編 その5
ようやく、出せました。
朝凪と別れ歩き、俺は家に帰った。
「ただいま」
「おかえり、どう?買ってきた?アイス」
帰って来て早々妹に確認された。
「ちゃんと買ってきたからそう焦るな。せっかちだな」
「だってお兄ちゃん、忘れっぽいからさ。今日の朝だって変だったし」
「変って言うな変って、別に何もねぇよ。ほれ、頼まれたもの。後でお金渡せよ?分かったな?」
「ありがとう、後で返しとく」
「全く、兄使いが荒いな」
そう言って、俺は部屋に戻った。
戻ると昨日の疲れが抜けてないのか、眠気がきた。
「眠いし寝るか、またあいつに会えるかもしれないしな」
そう言って服をその辺に投げ、ベットに横になった。今は着替える時間も惜しい。
「そういや朝凪の奴。大丈夫だろうな、、、」
朝凪の安否を心配し、俺は目を瞑った。
青崎君と別れて少し時間がたった頃、私はバイトの休憩中、考え事をしていると。
「朝凪さん、朝凪さん?」
「え?なに?」
バイトの同期の人から唐突に声をかけられた。
「いや、なんかぼーっとしてたから、何かあったのかな?って」
「ううん、なんでもない。少し考えてただけ」
「そう?無茶しないでね?」
「うん、ありがとね」
「おい朝凪」
「あ、はい。なんですか?」
会話をしていると先輩から声をかけられた。
「お前、今日はもう上がって良いぞ」
「え?でもまだ私が上がるの早くないですか?」
「いや、人手が足りそうでな、最近物騒だし、帰っていいぞ。あとはこっちでやっとく」
「わかりました。ありがとうございます」
「いや、気にしなくていい。じゃ、着替えたら帰れよ」
「はい、お疲れ様です」
「ああ、お疲れ様」
そう言って私は外に出た。
着替えを済ませて、外に出ると外が暗くなっていた。もう7時を越えていた。
私は歩いている時、青崎君が別れ際に言ったあの言葉が気になった。
(心配してくれたのかな?)
彼がああいう風に心配してくれるのは普段ないので気になった。
(まぁ、嬉しいけどね)
そう心の中で思っていると、
「見つけた」
いきなり男の人の声が聞こえた。
「え?ガ!?」
振り返ると同時に首を締められた。振りほどこうにも相手は凄い力で締めていて振りほどけない。
(たす、、、けて)
そう言って私の意識は闇の中に消えて言った。
「よし、よくやった。これであいつをおびき出せる」
朝凪が気絶した後、闇の中から謎の男が現れた。
「これであいつの事を殺せる。助かったよ龍垣?」
その男はチンピラリーダーに声をかけた。
「いや、いい。それよりもこれで俺もあいつの事を殺せるんだよなぁ、、、?」
「ああ、約束しよう」
「はは、これであいつを、、、!おい、薬をよこせ」
「ああ、分かった。その前にちょっとこっちに来てくれ」
「ああ?なんだよ」
「君に知らせる事があるんだ。君は、用無しだ」
「な!?」
男はチンピラリーダーの腹部を貫いた。
「がは!なぜだ、、、!?」
貫かれ、血が大量に出ている。
「言っただろう?用無しだと。あとは私1人でやる、お前はいらない」
そう言って、男は黒く汚れた触手をだし、チンピラリーダーの体を串刺しにした。
「グガ!うらぎ、、、ったな、、、」
「裏切る?それはなんだ?」
触手を抜きチンピラリーダーはその場で倒れ死んだ。
「やれやれ、人間とは地味にしぶといものだな。だが、奴を殺るための餌は用意出来た。これで、、、!」
男は闇の中で汚く塗れた想いを闇に紛れさせながら、女を掴み、闇に溶けていった。
俺が寝て、少しすると声が聞こえた。
「もうすぐかな?期待してるよ、君の事」
そう言い、声は俺の意識の中に潜って行った。
「は!くそ!また姿を見せなかった!」
だが、もうすぐ?どういう事だ?そう思っていると。
「お兄ちゃーん!!電話だよー!」
「ああ!今行く!」
そう言って、電話のとこに行く
「はい、朝凪さんのお母さんから」
「おばさんから?」
「そう、てか服来て」
「後で着る」
そう言って、電話を変わった。
「もしもし?おばさん?どうしたの?こんなに時間に?」
「ああ、青崎君。いきなりなんだけどうちの子について知らない?」
「朝凪?いえ、知らないけど、どうかしたの?」
「実はあの子まだ帰ってきてないの、青崎君なら知ってると思って」
「!本当ですか!いつから!」
「え?えーと2時間前からいなくて」
2時間?今は9時だから7時からか。とてつもなくやな予感がする、、、!
「すみません!切ります!」
「え!青崎君!?」
俺はすぐに電話を切り、俺は大慌てで着替えた。
「美陽!!すまんが少し出る!飯は残しといてくれ!」
「ちょっとお兄ちゃん!今はもう暗いって!」
「そんなん知るか!!今は緊急事態だ!!」
(頼む!大袈裟と言ってくれ!)
俺はドアを壊す勢いで開け、外に出た。
外に出るとポストに手紙が入っていた。明らかに、郵便局から届いたものではない。確実に自分で入れたやつだった。
「!まさか!」
俺は手紙を開け、内容を見た。
手紙には短くこう書いてあった。
『あの女はこちらにある。早く来なければ殺す』
「!!?最悪だ、、、!最悪の事態が起きた!」
俺はすぐに走り出した。場所が書かれてなく片っ端から探した。あいつのバイト先や通学路など、人の行く道と言う道を探した。
ずっと探し続けたが、それでも全然見つからなかった。
「くそ!まじでどこにいるんだ!?」
1回立ち止まり、息を整えた。しかし、ふと、右を見てみると、そこには路地があった。路地と言っても少し広く、立ち入り禁止のため誰もいず、街頭も無いため暗かった。
「あるとしたらもう、ここしかない」
しかし、このまま突っ込めば死ぬ可能性もある。
(どうすれば!)
頼れる人もいない、頼れる人も、、、
(そうだ!金剛さんなら!)
俺は閃き、渡された名刺に書いてあった番号に電話した。
(頼む!出てくれ!)
ガチャ
『はい、もしもし、こちら自衛隊特別派遣所です』
出た!!
『金剛さん!私です!青崎です!』
『ああ、青崎君か。どうした?そんなに慌てて?』
『結論から言います!朝凪が攫われました!』
『な!?それは本当か!?』
『はい!』
『詳しく聞かせてくれ!』
『分かりました。実は、、、』
俺は今までの事を全て教えた。
『なるほど、分かった!今からそっちに向かう!場所は!』
『陽正高校の通学路の外れです!』
『少し遠いな、いいか!俺が着くまでそこを動くな!』
『しかし!それじゃ朝凪が!』
『それで君も彼女も死んだら意味がない!大丈夫、君は俺の足の速さを知ってるだろ?』
『だけど、、、!』
『大丈夫!俺を信じろ!」
『分かりました、お願いします』
『ああ、任せろ』
そう言って、電話を切った。
「すみません金剛さん、俺は俺の命よりあいつの命を大事です!」
そう言って、俺は暗い闇の世界へ足を入れ、進めた。
あいつを絶望から救う為に、、、
読んでくださり、ありがとうございました。