始時の契り編 その4
ちょっと長くなっちゃったかな?
青崎が帰り、金剛がその場に留まっていた夜
もう1人の闇が動いていた。
「ふぅ、最低でも2人は回収したかったが、仕方ないか」
肌の白い謎の男は1人闇夜の中に自分の思いを吐露した。
「にしても、少年のあの力実に興味深い。まるで最初から持っていたみたいだ。正直あの場で殺す方がが良かったのだろうが、、、ふっ、好奇心には勝てないな」
男はそう言いながら小さく笑った。
「まぁ、そんな事してももう1人近くの奴に邪魔された可能性があったから一概に下策と言う訳では無かったな。今度は確実に殺せる時を待とう」
男は想像した、あの少年は一体どう言う悲鳴を上げるのだろう?いつ絶望をするのだろう?誰もが蔑むようなうす汚い妄想を浮かべながら男は興奮していた。
「待て、落ち着け。焦りは禁物だ。確実に殺せる時を狙うんだ。さてどうやっておびき寄せたものか」
男は考え、閃いた。
「そうか、こいつを使えばいいのか」
そう言い、気絶している男を見た。
「正直殺そうと思っていたがまだ使えるとはな、、、待ってろ、確実にお前の腸を食い破ってやる」
男はその顔に似合わぬ下卑た笑みを浮かべた。
「げっへっへっへ」
そして男は闇に消えた。
青崎は今日あった事を思い出している。
(ねぇねぇ、起きてる?)
(誰だ?)
青崎はその声に起きた。そこには不思議な光景が広がっていた。
「どこだここは?」
目を開けるとそこは無だった。感覚がなく、ただ感じるのは浮いてる不思議な感覚だけだった。
「やっと起きた。ここは君さ、君だけの場所」
聞いた事のある声だった。そうチンピラに首を締められた時、頭に聞こえてきた声だった。唯一違うのはその声は頭ではなく耳に響いた事だった。
「誰だ?」
周りを見てみるが姿が見えない。声だけが俺の耳を貫き頭に響いている。
「どうした?姿を見せないのか?」
俺は問いかけた。
「姿を見せないんじゃなくて見せられないんだよ。君は今僕を必要としてないから、でも安心して僕は君を見ている。君が僕に助けを求めるなら、僕は君に力を与えるよ」
「与える?必要としてない?どう言う事だ」
「今わからなくても、近い未来きっと分かる。気を付けて君のそばに居るあの彼女。彼女はきっとひどい目にあってしまう。詳しくは分からないけど彼女から目を、手を離さないで」
「おい一体何を言って、、、」
そう言った時空間が明るくなってきた。
「どうやら現実の君が起きたようだ。今はここでお別れか。じゃあね、僕は楽しみにしてるよ君の選択する道を」
「おい!話はまだ、、、!」
そう言って手を伸ばした俺は明るく眩しい光に消えていった。
「待て!」
そう言って手を伸ばすと、俺は見慣れた部屋の中にいた。
「!夢か、、、」
あの野郎逃げやがった、、、
「お兄ちゃん!もう朝だよ!遅刻だよ!」
起きて早々やかましい声が耳を貫いた。
「朝からうるせぇな、みよ?」
「すぐ起きないお兄ちゃんが悪いんでしょ!あと!みよじゃなくてみよう!何度言ったらわかるの!」
こいつは俺の妹の美陽みんなからよくみよと間違えられる。
「友達はよくみよちゃんって言って大丈夫なのになんで俺が駄目何だか、、、」
「お兄ちゃんだからムカつくの」
俺に人権は無いと申すか、、、
「なんでお母さんはそんな名前にしたんだ、、、」
「それはお母さんに言って」
起きようとした時、美陽が問いかけてきた。
「でもお兄ちゃん、さっきのなに?大分うなされてたけど?」
「なんでもない、悪夢を見ただけだ」
「そう?ならいいけど、、、」
「そう言えば、今何時だ?」
そう言って時計を見ると俺は青ざめた。
「やべぇ!遅刻だ!おいみよ!なんで早く起こさなかったんだ!」
「何度も起こしたよ!起きなかったお兄ちゃんが悪いんじゃん!」
「ちくしょう!また杉山先生にぶっ飛ばされる!」
「ちょっと!朝ごはんは!」
「1日抜いたとこで死なねぇよ!行ってくる!」
そう言って、俺は家に出た。
学校は家からそんなに遠くないため、走ればまだ間に合う。
「くそ!全てはあいつのせいだ!」
夢に出てきたあいつに恨み言を言いながら、電車に乗った。電車の駅の到着予想時間を見る。
(よし、これなら間に合いそうだ)
心の中で安心して、昨夜の夢の出来後を思い出す。
(にしても、あの夢はなんなんだ?確かあいつは朝凪が危ないと言っていたな)
俺の周りにいる女と言えば朝凪しかいない、チンピラ共は俺以外に朝凪も襲おうとしていた。チンピラ共はあの男が雇ったのは間違い無い、でも何故俺達なんだ?あいつの正体も分からない。 正直、分からない事だらけだ。
(そう言えば金剛さん、すっかり忘れていた)
確か財布の中に名刺を入れていたはず、、、
(あった!)
その名刺を見てみると。
自衛隊特別派遣所所長
金剛 正樹
TELL 〇〇―〇〇〇〇―〇〇〇〇
と書いてあった。
(へぇー、あの人所長だったんだ)
それにしても、自衛隊特別派遣所?そんなものあったんだ。調べてみるか
携帯を取り出し、調べてみると自衛隊特別派遣所とは今年から実施された簡単に言うと交番みたいなものらしく警察との協力や災害の時の援助をするために作られたと書いてあった。
(なるほど、出来てまだすぐなのか、、、)
そういえば階級が載ってないな、こういうのは載せるものだと思ってたけど、、、まぁいいや、会ったら聞けばいいし。そうこうしてるうちに、最寄り駅に着いた。
(とりあえず、今は考えても仕方ない学校着いたら朝凪にさりげなく忠告してみるか)
そう決めて俺は学校に向かった。もちろん走ってな。
「遅いぞ青崎!!もう何回やったと思って居る!!」
学校に着くなり、職員室で杉山先生に叱られた。
「はい、すみません。以後気をつけます」
たく、なんで遅刻したら職員室行かなきゃならないんだか。
「全く、次遅刻したら大幅減点だ。分かったな?」
「分かりました」
「それじゃあ、教室行け」
「はい」
俺は職員室を出て、、教室に行った。
「まさかまた遅刻するとはな、朝のHRも杉山先生機嫌悪かったし」
教室に行くと頭に包帯巻いた譲治が話しかけてきた。
「ああほんとだよ、こっちは昨日やばかったのに」
「だな、そう言えばお前怪我はないのか?思い切り蹴られろ」
「そりゃ痛いに決まって、、、」
あれ?そう言えば今まで気にしてなかったけどなんで痛くないんだ?あんだけ吹っ飛ぶ蹴りをモロにくらったのに。骨の1、2本は折れる思うが、、、
「?どうした?やっぱり痛むのか?」
「いや、大丈夫だ。お前の方こそ大丈夫なのか?頭は見ての通りっぽいが?」
「いや、全然大丈夫じゃない。今朝病院に行ったが腕と肋骨やった。腕は壁にぶつかった時の衝撃で肋骨は蹴られた時の衝撃でやったっぽい。不幸中の幸いで肋骨はやったが腕は重度の打撲だ力入れるとめっちゃ痛てぇ」
そう言って、シャツをめくり腕を見せてくる。湿布がすげぇ貼られて。これはえぐいな。譲治はそのまま話しを続ける
「まじでびっくりしたぜ、、、目を覚ましたら家の近くの駐輪場で横たわってたし、肋骨痛てぇは腕は痛てぇはで家帰ったよ。親には階段で転んだってことにしてる、じゃないと頭の出血を誤魔化せない」
「そうか、それは災難だったな」
金剛さん、やっぱり家わからなかったか、、、。
「そう言うお前は大丈夫そうだな?お前も俺と同じくらいやられたろ?」
「まぁ、運良く大丈夫だったよ」
「そうか?ならいいがな」
俺と譲治、2人で話をしていると
「よぉ2人共、元気そうだな?」
「譲治は元気そうじゃないがな」
2人の男子が話かけてきた。
「よぉ、葉山、木野」
2人は葉山 智康、木野 優人、俺の友達でよく遊んでいる。俺と譲治を含め、4人でよくラーメンや飯を食べに行ってる仲だ。
「たく、譲治が階段から転げ落ちたと聞いてビクッたぜ?」
木野が譲治の身を案じた。
「ああ、まじで焦った」
葉山もそれに合わせてきた。どうやら譲治は2人にもその嘘で通しているようだ。まぁ言っても狂ったとしか見られないし、当然か。
「それにしてもよ、また出たらしいぜ?例の事件の被害者」
おもむろに葉山が興味深い話をしてきた。
「?なんだ?それ?」
俺は問いかけてみた。
「知らないのか?ああ、お前遅刻してきたから今朝のニュース見てないのか。文字通りだよ、例の殺人事件また被害者が出たらしい。ほら、これがネットの記事」
「えーと、どれどれー?」
書いてある内容は前の被害者と同じ感じだな。
「連続して起きる殺人に住民は警察に怒りの声か、、、」
おそらく、あの男の仕業だろう。なんでこんな事。
「とりあえず、席に座ろう。休み時間もうすぐだし」
考えていると、木野がそう提案した。
「そうだな、いやー5時間しかないのは気が楽だな。なぁ譲治?」と俺は言った。
「それなんだが、今日は4時間だ。青崎」
「マジか、やったぜ」
「とりあえず席つくぞ、お前ら」
葉山の言葉で俺達は解散した。
(さーて、朝凪に今日の帰り言っとかなきゃな)
そんな事を思ってると、時間はあっという間に過ぎていった。
放課後、HRが終わり各々帰って行き俺も朝凪を誘って帰ろうとした時。俺の携帯からメールがきた。妹からのL〇NEだ。
「美陽からか?えっと」
『お兄ちゃん、帰りお菓子買ってきて』
『嫌だよ、なんで俺がやんなきゃ行けねぇんだ。お前今日学校休みだろ?自分で行け』
『いいじゃん、買ってきてよ。お願い!』
『分かったよ、買ってくればいいんだろ?』
『うん、ありがとう』
やり取りが終わらせ携帯を切った。
「さて、帰るか。その前に朝凪はどこだ?」
そう言って廊下に出ると偶然会った。
「おお朝凪」
「時雨君?どうしたの?」
「ちょうどお前と話したかったんだ。一緒に帰らねぇか?」
「いいよ、一緒に帰ろう」
そう言って俺達は帰り道を歩いた。
「朝凪、ちょっとコンビニ寄っていいか?妹にお菓子頼まれてよ」
「分かった、私も小腹空いたしなんか買おう?」
近くのコンビニに行き、俺達は立ち食いできるものを買った。
「そうだ時雨君、さっき学校で私と話があると言ってたけどなに?」
「別に、昨日の事があったから大丈夫かと思ってさ。大丈夫だったのか?」
「うん、目が覚めたら家にいて。お母さんが男の人が私をここまで連れて来てくれたって」
金剛さん、譲治は外だけど朝凪はちゃんと送ってくれたのか。
「時雨君は大丈夫なの?」
「ああ、見ての通りピンピンしてるよ」
「そう?良かった。ありがとね、私を守ってくれて」
「別に、それが男の義務ってやつだよ」
「ふふ、あっ私もう行かないと」
「どこか行くのか?」
「いや、今日バイトがあって学校4時間しか無かったから早めに入れたの」
「そうか無茶すんなよ」
「大丈夫、無茶はしないよ。じゃあね」
「待て」
俺はそう言って立ち去ろうとする朝凪を止めた。
「どうしたの?」
「いや、最近物騒だ。夜中出歩くのは極力避けろ」
「?分かった?気をつける」
「言いたいのはそれだけだ。じゃあな、バイト頑張れよ」
「うん、じゃあね」
そう言って俺達は別れた。
(ふぅん、君はそっちの道を選ぶのか)
?一瞬声が聞こえた気がするが、空耳か
「さて、俺も帰るか」
そう言って俺は家に帰った。