4話
「.......マジか」
20分くらい小狐が示した方向に歩いていたら、森を抜け、丘の上に立っていた
そして、丘からは街がすぐそこまで見えていた。いや、街と言うには規模が大きすぎ、都市のようだ
都市の真ん中には城があり、周りにはたくさんの建物や人がいる。そして、都市の外側は壁で守られており、モンスターの襲撃等にとても有効そうだ
「お前のお陰で着いたようだな」
「きゅうぅ」
頭を撫でてやると、気持ちよさそうに鳴いた。そして、小狐を胸から出し地面に優しく降ろす
「きゅう?」
「まあ....なんだ、その.......ありがとう」
久々に本心から礼を言うとなると、結構恥ずかしく、顔を赤くする凪月
照れから逃げるために、早々に歩き去ろうとすると
「..........なぜ着いてくる」
「き、きゅう!」
凪月の声にびくっと反応した小狐だったが、何故か逃げ出さずてくてくと付いて来た。怯えながらもついてくる姿は、かなり保護欲をくすぐられる
「....もしかして、この都市に行きたいのか?」
「(こくこく)」
再び小狐を抱き抱え聞いてみると、どうやら肯定らしい。人が住む街に一体なんの用があるか知れないが、ついでに連れていこう
「それにしても、相変わらずお前は知能が高いな。まるで小狐に化けた人間のようだな」
そんなたわいのない冗談を口にしてみると....
「きゅ、きゅう?」
おい、何故今目を逸らした?
そして、なぜに「聞こえてません!」っと言うくらいに、前足で耳をぺたんと塞ぐ
じっっっっと見つめてみたら、だんだん体がふるふると震えて、仕舞いには目が潤んできていた
「.............まあ、今はいいか。それに早く都市に行きたいからな!」
何だか虐待しているみたいになってきたから、追求するのはここまでにした凪月
存外、性格は優しいみたいだ
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「次、身分証明書と通行税を出せ」
「ほい、どーぞ」
門の前にいる衛兵さんに、お金と身分証明書(名前と年齢が書いてある、最低限の情報カード)を提示する
「ふん、見慣れない格好だと思ったら、辺境の田舎者か」
「ははは、仕事を探しにこの都市に来ました」
「まあいい、さっさと行け!仕事の邪魔だ!!」
明らかにこちらを馬鹿にしている言葉に少しむっとしたが、下手に騒ぎを起こすよりは無視の方向で行こう
「チッ!」
後ろから盛大な舌打ちが聞こえたが、無視無視
「(次会う時、でっかい虫を顔に投げてやろう)」
実際、心の中では黒い事を考えている凪月。ちなみに小狐は俺の服の中から顔を出している状態だ
どうやらペット認識されたらしく、普通にこの都市に入れてよかった
「さて、まずは食事だな!美味しいご飯を腹いっぱい食べるぞぉぉ!!」
幸い、ある経緯でお金は山ほどある。存分に食を謳歌するとしよう!!!
「よし、まずはあの屋台の串焼きだ!」
心をウキウキさせたがら、涎が出そうなほど香ばしい匂いを漂わせている屋台に向かう
「おっちゃん、串焼き5本!」
「おうよ!焼きたてだから暑さに注意しな兄さん」
お金を渡し、焼きたての串焼きを貰う凪月。行儀が悪いが、歩きながらさっそく一本目を口にすると.....
「うっっっっっめえぇぇぇぇ!!!」
空腹のせいか、発狂するぐらい美味しかった。肉は程よく柔らく、噛む度に肉汁がぶわぁっと迸る。まるでセ〇ンに売っているつくね棒みたいだ
「しあわせぇぇぇぇぇぇ」
「きゅるるるるぅぅぅぅぅぅ」
はふはふしながら食べていると、子狐が可愛らしくお腹を鳴らした。どうやらこの子もお腹ペコペコらしい
肉だし、食べさしても大丈夫か
「ほれ、リンゴのお返しだ。味わって食えよ」
「きゅうぅ!」
胸元に串焼きをかざすと、パクっと肉を食べる子狐。どうやらお気に召したらしく、耳をフサフサしながら、すごい勢いで残りを食べている
結局一本じゃ足りなく、仲良く3本ずつ分け合うことにした。そして一人と一匹は、お腹が満たされるまで色々な屋台を巡るのであった
読んでくださった読者の方
遅くなってごめんなさい