98、謎は全て解けた! 犯人は……
「リリア様、おやつです。」
マルタがこっそり現れた。
おやつをバスケットに詰めて持ってきてくれた。
おやつ禁止令を破り持ってきてくれたのだ!!(感謝!)
食べ過ぎたのはフェルのところなので、それを知らないマルタがおやつ無しの私を可哀想に思っての事だった。
マルタがこそこそ部屋に入って来るとその後ろにサクラコさんがいた。
あ、侍従に"さん"をつけてはダメでしたね。
「ロイド様の命令でおやつは禁止でしたね」
バスケットが取り上げられた。
えーーーーーーーーーーーーーーーー!?
「ロイドはマルタに甘甘だから、マルタがする事なら大丈夫です!」
思わず抵抗して言ってみる。
「それでも主がダメだと言うことは聞けません。」
サクラコが真面目に答えてきた。
う、ロイドが〖主〗になってるよ。
忍者~義理堅すぎ。
マルタがしょんぼりしてしまった。
ロイドがいたら"君がそう言うのなら良いよ"と軽く言いそうだが……
「マルタ、私お腹すいてないからいいよ。代わりに少しおしゃべりでもしていって」
「はい」
マルタのスカートの裾を引っ張り私の隣に座らせた。
何故かサクラコも隣に座る。
ん? 混ざりたいの?
ちょっと窮屈な座り方になった。
サクラコがいると何となく話づらかった。
「マルタさんについて勉強するように言われておりますので私もご一緒に!」
何となく空気を感じたサクラコが言った。
そうなんだ~。大変だね。じゃあマルタがおやつを用意してる時もずっと見てたのか~。マルタは気がつかなかったんだろうな~(微笑ましいと言うか、かわいらしいマルタですね)
「サクラコはひとりでジャパネオから来たの?」
せっかくだからコミュニケーションを試みる。
「はい。私ひとりです。」
「女の人がひとりで遠くからって、大人とはいえ家の人心配しないの? サクラコは何歳?」
お節介かな?
「はい。私は18になります。許嫁だった義兄が父の言いつけを破り、エターナルの姫様を暗殺する為に出ていきました。私はそれを止めるために参ったのです」
「暗殺ーーーーーー!? また私、命狙われてるのーーーーー?」
ジャパネオ、いい加減にしてくれ!!
そしてサクラコ! ペラペラ喋っていいのか!?
「いえ、私が来たときには、もう計画は実行されて終わった後です。義兄は既に姫様の護衛に殺されていたのです。」
あれ? もう終わったって、それって私の誕生日の時の襲撃では?
最後にお城ドッカーーーンの派手だったやつ……
私は中ボスっぽい鎧武者の事を思い出した。まさか?
……聞かなかったことにしよう。
「まあ、そうだったんですか。お気の毒です。それで義兄さんは、なんと言う方ですか?」
うわっ!それ聞いたらマズイ!
「義兄はトウジロウと言います。何か心当たりはありませんか?」
きた! トウジロウ!! 日本名だから記憶に残っちゃってたよ。
名探偵じゃなくても、もう犯人は分かってしまった! あなたの仇は………言えないけど。
「ごめんなさい。わからないわ。お役に立てなくて……」
マルタが申し訳無さそうに答える。
確かにマルタは寝てたから知らないか……
それにしても、よく堂々とこんな話を……義兄が暗殺しに来たって言う時点で自分も敵認定されて捕らえられるという発想はないのかな?
"心当たり"について、姫様は? と聞かれる前に話題を替える。
「サクラコは18なんだね~大人っぽいね。20歳以上かと思った。並んでいるとマルタの方が年下みたいだよ」
本当にマルタは充分10代で通用する。だってお肌のキメの細かさ、日に当たらないせいか透き通るように美しい。おでこをだして髪をまとめているから大人っぽく見えるが、髪をおろした姿は10代のお姫様だ。
「うふふ……同じ年ですね」
え、誰と?
「マルタさんも18でしたか、一緒ですね。」
「はい」
二人とも両手で握手した。
ん? おかしいって! 何いってるの?
この前ロイドが27だって聞いたばかりだよ。
それを聞く前だったら18か~と信じたけど、違うじゃん!
まさかマルタが年齢を気にしているとは……?
27の何がいけない? 気にすることないのに……
私は前世と合わせたら……11歳になったと言うことは28ですよ。
ロイド越えちゃう!? 別に全然若いし!
人は年齢じゃないしぃ!
そんなにサバ読むとはビックリだが……マルタの名誉の為に黙っていよう。




