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97、尊い労働

 お昼寝時間になり、フェルの地下室へ


するとフェルは物凄く大きなツボのようなもので何かを煮ていた。


それでも私達に気がつくと


「いらっしゃい~リリア。ごめんね~手が離せなくて~」


と言いながら走ってこっちに来たと思ったらアレスに抱きつき、すぐにツボの前に戻って行った。


うん、忙しそうだ。

フェルがアレスに1ハグしかしないとは……

普通だったら30ハグは軽い。


ツボとフェルの回りには大量の薬草が、仕分けされた状態で置いてある。


大変そうだな。


「何か手伝うことある?」


私が聞くと


「そっちのテーブルにある、赤い実と枝を分けて、分けてあるやつが手に入らなかったから枝ごと買ってきたの」


テーブルにいっぱいの枝がある。

5ミリくらいの大きさの実が5,6粒づつチマチマとランダムについている。


うわ、めんどくさそう……


仕方がない、やろう。


私は椅子に座り覚悟を決め作業に取りかかった。


ちまちまちまちまちまちまチマチマちまちまチマチマちまちまちまちま……


何かのバイトにでも来たみたいだ。


チマチマちまちまチマチマちまちまチマチマちまちまちまちま…


無言でちまちま赤い実を取り、細かい目の籠に入れていく。


フェルも無言だった。


いつも楽しい筈のフェルとの時間がひたすら内職で終わりそうだ。


納期に間に合わせる為に必死な工場の職員。納期に少しでも間に合わなければブラックな納入先(ロイド)に酷い目に合わされるかもしれない。


赤い実を取り続けてどれくらい経ったのか……


私はもう赤い実を取る職人になったようだった。


なんか極めてきたかもしれない。


私が究極の赤い実を取る職人になる日も近い。



「はい、姫様帰りますよ。」


 突然ロイドが来た。


帰れる? 私は解放されるのか……?


思考がおかしくなっていた。



 フェルと話を出来ないまま私は回収され自室へ戻った。


ずっと同じ姿勢でいたせいか身体がバキバキだ。


働くって大変……。


労働の尊さを知ったかもしれない。



 ちなみに次の日の作業は白い綿毛を枝から取った後、綿毛の中心の固い部分と柔らかい綿毛の仕分け作業だった。


フェルとのお茶会はいつ帰って来るのか……。





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