95、地下室見つかってるじゃん
「ひどいですね、姫様は……あれだけ尽くした私にその情報を教えてくれないなんて……」
そう言いながら私のおでこを人差し指でグリグリしてきた。
ひーーーーーーーーー
虐待~!
「それで犬臭かったんですか~、あの時の姫様は相当犬臭かったですからね」
臭いのを強調しないで……
最後にほっぺをムニっとされた。やり過ぎだよ!
ロイドが来てしまった。地下室バレちゃったじゃん!
出口を地下室にしろって罠じゃん。
あれ? ロイドは元から地下室の事知ってた?
「ロイくーーーん!!」
フェルがロイドに抱きつこうとしたが、ガッと頭を押さえられ抱きつくことが出来なかった。
あれ? それってアレスにだけじゃないんだ。
もしかして……フェルってそっちの人……?
夢の中に出てきた少年フェルは男の子っぽかったけど、今のフェルってちょっとおねえっぽくなってる気がする。
「私にそう言う趣味はありません。今度やったら殺します。」
殺すの? 簡単にそんなこと言っちゃダメだろ!
殺すと死ねとかは人に向けてはいけない言葉ですよ。
小学校で習わなかったか!?
「ロイくんが戻ってきてくれて嬉しいんだよ~! だってロイくんはボクを裏切ったとか言いながらこの地下室の事もアレスの事もヴァリアルに報告しなかったもん!」
「面倒に巻き込まれたくなかっただけです。今も別に戻って来た訳ではありません」
「ロイくんの好きなお菓子もあるよ~! ほら“コルン"だよ~」
フェルがお菓子を出した。相変わらずいっぱい持ってるな~
あ、"コルン"て前に食べたマカロンに似てるお菓子だ。
「いったいいつの話をしてるんですか? 私はもう27ですよ。」
「!!」
ロイドまだ20代でしたか~!!
中間管理職で苦労が多すぎて老けてた?
あ、でも前髪下ろしてる姿は確かに若そうだったな。
髪型のせいか……。
その髪型止めた方がいいよ。
「えーーーーーお菓子食べないの~? じゃあなに食べる~?」
「何も食わねえよ」
ロイドがフェルの頭を押さえていた手に力を込めた。
「きゃーーーーーーーーーーひどい!! ロイくん痛い!」
フェルが暴れた。
なんだこの暴君は!?
ロイド、ルカレリアが滅びなかったら王様になってたんだよね?
とんでもない暴君になってたよ!
しかも一瞬、上品なお顔が外れて本性出てましたよ。……ガクブル。
「師匠ふざけるのはやめて下さい。私あまり長くここにいられないので……」
「グスン……え? じゃあなあに?」
「アレスと戦わせて下さい。」
アレスと戦いたい……? 少年漫画か!!
「は? ダメだよ~メンテ終わったばかりだし、魔包衣破かれたら困るもん」
「別に今でなくて良いですよ。魔包衣のスペアを作って下さい。出来れば多目に……何日あればいいですか?」
「え? そうだね~5日くらい? じゃあボクの頼みも聞いて。アレスと戦ったら、そのあとアレスの魂を見て。ロイくんなら出来るよね? 抜け道を見つけられたならロイくんの眼は以前より格段に上がっているって事だもん。しかもボクの抜け道を通るために自分の情報を上書きさせた? ホントに君はスゴいね。」
「いや、抜け道を見つけられたのは知っていたからです。知っていれば意識して探せますから…師匠があちこちに作った道は把握できてませんよ。一部しか」
そう言ってロイドは私を掴んだ。
「今日はここまでです。戻りますよ」
「えーーーーーーーーまだいいじゃない!!」
ちょっと抵抗。
「もう夕食の時間です。マルタが心配します」
そのまま抱えられた。
うきーーーーーーーーー! 捕まった!!
「お腹すいてないですー!! だからいらない!」
「お菓子の食べ過ぎで食事が出来ないのなら、フェルの家出禁ですよ」
うきーーーーーーーーー! しまった!! 食事出来そうもない。
バタバタしてみる。
「あ、アレス、アレスは? ロイド~アレス連れていくー!!」
「鎧を着てないから後!」
ロイドにバッサリされ、そのまま連れ去られた私。酷いです。




