表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/295

93、グズる子供って大変だ

 久しぶりのアレスが私に向かって歩いてきた。


 薄暗い地下室でやっと近くまで来るとランプの灯が当たり顔が確認できた。


 包帯ぐるぐるのアレスだ。

表情は乏しいがイケメン間違いはない。

包帯男なのにイケメンてどうなのよ!

むっちゃカッコいい!

離れていた分、カッコ良さが倍増したかもしれない!!

なんか色気さえ感じてしまう。

もはや神かもしれない。


 アレスは私に手を伸ばした。



私もアレスに手を伸ばし、そのまま抱き抱えられた。


アレスーーーーーーーーーーー!!


ぎゅうっとしてみる。

アレスの匂いだ。いや、包帯の匂いかもしれないが凄く落ち着いた。泣いていたせいで顔が熱くなり頭も痛くなっていたが一気に癒されていく。

あーーー幸せ!! カラカラに渇いた砂に水が染み込むように幸せがいっぱい広がった。


フェルがホッとしていた。


いや~子供のグズりは困りますね~。


 でもお気に入りのモノを与えればあっという間に泣き止みます。的な……

本当、迷惑でごめんなさい。


「良かった~やっと泣き止んでくれた~リリアは本当にアレスが好きだね~。ま、ボクもアレスが好きだけど」


そう言ってフェルもアレスに抱きついた。


「帰ってきてからちゃんと話せてなかったけどリリアが無事で良かった~!お帰りリリア」


フェルが微笑みながら言った。


「ただいまフェル、ごめんね。熱だして来られなくて、さっきもすぐに帰ってごめんね。それからいっぱい泣いちゃったのもゴメン。でも知らない人をむやみにお家に招待するのはどうかと思うよ。あのサクラコさんは一応ロイドが雇ったよ。ちょっと怪しい感じだけどお兄さんの仇を探してるって……」


「あ、やっぱりさっきの事で泣いてたの? わかったよ、もうリリア以外お家に呼ばないよ~だからもう泣かないでね」


う……変な誤解をされた。


フェルにはもっと警戒してほしいと思っただけなんだけど……

ひとり暮らしの老人が悪質訪問販売員に騙される的な心配……

あ、もちろんフェルは老人では無いですよ。年上だけど何かしっかりしてない大人、どちらかと言うと時々幼稚園児?(失礼!!)


 その後、私が落ち着いたのを見て地下室にお茶セットを出してくれ、お菓子のぽぽるが山のように積まれたお皿を出す。

 椅子とテーブルは積んであった木箱を代用した。フェルとのお茶会が再開された。

「明日にはちゃんとテーブルと椅子を用意しておくからね~今日はこれで我慢だよ~」

ぽぽるを頬張りながら言う。

リスみたいになってるよ。


「ところで……ロイくんにバレちゃったんだね~」


怒っていない口調だがちょっと低めの声だ。


「う、そうなんです。抜け道の事もバレてアレスの事も……」


フェルには話さなければならないことがいっぱいあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ