表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/295

88、小さい子ってすぐ体調崩しちゃうのよ

 あ~もう身体が弱いな……


 私は王都に着いたとたんに具合が悪くなり寝込んだ。


思えばいろいろあった。


びしょ濡れになったりしたのも良くない原因の一つだろう。


 でも1番の原因はあの夢のせいな気がする。


キツイ夢だった。


アレスの事も

ニーナの事も


 あの後に1人残されたフェルの事を思うと、もうあり得ないくらいツラい。


そしてあのヴァリアルが言っていた


『下賤の女から産まれた卑しい人間が……』


あいつはアレスにそう言った。


つまり私もなのだ。

私もアレスと同じ存在の筈だ。


顔も知らない母だが、ヴァリアル(あいつ)はアレスと私、そして私の母も貶めているんだ。


 あれが魔王? 魔王のせいなのか元々の人間がそうだったのか分からないが、あいつは許さない!

私にもし力があったら…………


 私の熱はぐんぐん上がった。

子供の身体はすぐに体調に現れる。ヒドイ。寝込んでなんかいられない気分なのに


 フェルとも話たかった……

でも何を話せばいいのか……?

あの夢の後のフェルがどうなったか……

きっと考えられないくらい辛いことの連続だっただろう……


 帰って来た日にフェルが来てアレスを連れて行って以来アレスも帰ってこない。と言ってもおとといの事だからアレスのメンテに少しかかっているだけかもしれない。


返して~

返して~私のアレス~。


普通に悪夢を見てうなされまくった。


 ちょこちょこマルタが様子を見に来てくれた。


「ロイドは?」と聞くと本宮に報告に行ったそうで、マルタはソワソワしていた。

 ロイドの心配をしたり、私の看病をしたりで大変だ。

ごめんね。よく熱を出す子で……


 そのうちロイドがニヤニヤしながら部屋に来た。

何か嬉しそうでキモいわ……


 あとでマルタに聞いたら、オルゴン准将を陥れるのに成功したそうだ。


おめでとう。


その夜はだいぶ楽になり、久しぶりにぐっすり眠りについた。


 その日の夢は和くんだった。


和くん……いったいいつまで私を悩ませるんだ。

もう転生してるんだから許してくれ!

転生してまで夢に出るのって、私はこの人の事をよっぽどすきだったんだろうか?


 図書館で一緒に勉強する夢だった。


 進学クラスの和くんが私に無理やり数Ⅲを解かせようとしてくる夢。

ムリ~ムリ~!

私は数Ⅰだってヤバイのに。

教科書を開けても暗号のようだ!

読むことも出来ない~


やめて~やめて~


 どうせ私は転生しちゃうから受験勉強は必要無くなるの~


夢の中で変な言い訳をする私。


 すると和くんが呆れたように席を立つ。


「俺には夢があるから……」


そう言って私の元を去っていく。


キツイ! なんだこの夢!


どうせなら幸せな夢が見たかった。


別に和くんなんていらないよ!


だって今、私が好きなのはアレスだもん!


アレスが好き。


アレスが大好きだーーーーーーーーーーーーーーー!!!!



************


目が覚めた。


朝だった。


あーーーー疲れた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ