84、マルタは悪い女?
そう、今後の為に少しでもロイドの弱点を知っとかなければ……サナおばさんの扱いも気になるし……
「ロイドが前にマルタの事が1番大事だって言ってたよ。二人はいつからそんな感じなの?(いつから付き合ってるの?)」
「え、そんな感じって……」
真っ赤だったマルタがちょっとしおれた。
ーーー?
どうしたの? てっきり超ノロケられると思っていたのに……
「リリア様、私は……私はすごく悪い女なのです」
「は?」
そんな聖女のような顔をして何を言っている?
「ロイドが私の事を大事にしているのがわかっているんです。私はそれを利用して彼をどこにも行かせないようにしているんです」
「ん?」
何だろう? これもノロケの一種か? 羨ましい。
「これでも小さい時は私、ちゃんと姉だったんです。ロイドはやんちゃで元気な男の子でしたが泣き虫でした。無茶をして泣く彼を慰めるのは私だったのにいつの間にか私が泣いて彼が慰めてくれる役になっていました。」
そうかマルタがお姉ちゃんだったね。
「ロイドは小さいときとても綺麗な王子様でしたから、とてもモテました。エターナルに来てからも三人の姫様達は勿論メイド達からも人気があって、私はいつか誰かに彼が盗られてしまう日が来るのが恐ろしかった。」
「マルタも綺麗だからモテたでしょ?」
「私はロイドと以外あまり喋れなくて……」
ああ、引っ込み思案のお姫様だったのね。
「あの……ルカレリアって……エターナルが滅ぼしたって……」
これが一番聞きづらいけど……
「はい。ルカレリアが滅ぼされたのは私達が五歳の頃です。本来なら私達も殺される筈でしたが、ルカレリアの王族は血統で代々持っている能力があり、その能力を惜しんだヴァリアル陛下が私達を助けてくれました。そして王宮で使用人として使って頂くため五年ほど教育を受けてから王宮入りし、私は王妃さまに仕えていました。」
ヴァリアルってエターナル王の事だっけ、助けてくれたって言うか、そいつがルカレリアの仇だよね? そいつが魔王だよね?
て言うか私って仇の娘ってなっちゃうじゃん。
いや……エターナルの王様を父と思ったことは無いけど立場的に二人の仇の娘? そう思われてたらキツいな。
「ルカレリアの王族の代々持つ能力ってなあに?」
「……私はその力を持っていなかった。ロイドにはあります」
だからその力とは!?
「魔眼……とでも言いますか……ロイドには魔力の流れとか見えるらしいです。ただ最初から使えた訳ではなく、一時はヴァリアル陛下から見放された事もあります。ロイドが大賢者に弟子入りしたのもその為だったと思います。結局魔法は使わなくなり今ではほぼ格闘技のみのようですが……」
ふむふむ
どの辺が悪い女だった?
マルタが悪い女要素、皆無ね。
「ロイドの事が心配です。彼は私の知らないところで、いつも危ない事をしているんです。その殆どが私に内緒ですよ。そして…私が××××××の時も……」
え、何て? 今聞こえなかったよ。
もっと大きな声で言って
ガタン!!
ロイドが窓から入ってきた。
ノックをしたけど私達が気付かなかったらしい。
うわ! 機嫌悪そう!




