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7、お姫様ってあまり自由無いのね

 部屋に戻った私は病み上がりなのにひとりで部屋を脱け出したことをマルタにめっちゃ怒られた。

 マルタって怒ったりもするのか…いつもニコニコだけど、そりゃそうだよね~と思ってふとマルタの後ろにいるロイドを見ると、悪そうな顔でにんまりしていた。

どうやら私がマルタに叱られてるのが嬉しいらしい。

なにこの人?……


 私は子供の特権を使う事にした。

「だって目が覚めたらマルタがいなくて寂しかったんだもん!」

と、顎の前で手をグーにしてちょっと可愛い感じで言ってみた。

「はうっ!」

マルタは叫びよろめいてから、ガバッっと私に抱きついた。


後ろにいたロイドが一瞬にして不機嫌そうな顔になる。

ホント、なにこの人?……


 馬車の時もだったけど私がマルタと仲良くしてると不機嫌になるってこと?

ある意味わかりやすい人だ。


そして…

1,用のある時は必ず部屋にあるベルを鳴らして人を呼ぶこと。

2,ひとりで王宮をうろうろしない。

3,どこかに行くときは必ず誰かに付いてきてもらう。


3つの約束をさせられた。


ああ、お姫様って面倒なのね。


でも私さっきフェルとも約束していたんだ。


「私、フェルさんに会いに行く約束したんだけど…」


「フェル!?」と驚くマルタ。すると後ろからロイドが


「それでしたら私からお断りの連絡をさせていただきます。」


えーーーーーーーーーーーーーーー!!


「姫様、あの男は友人としてお勧め出来ません。」


 眉間に皺を寄せ、怖い顔で言われてしまった。


変わった人だったもんね。ちょっとぼっちっぽいし…

でもそれだけで、反対じゃないよねぇ?


「えっと、あのフェルさんってどんな方なのでしょうか?」


ロイドの眉間の皺がますます深くなる。

「あの男は黒魔法を使います。かつて陛下と共に勇者のパーティでした。」


ゆ、勇者ーーーーーーーーーーーーーーっっ!!


しかもさらっといったけど陛下と共にって?国王のこと?お父さんの事ですよねーーーーー??

これは約束関係なしにフェルに会いに行きたい!勇者の話聞きたいし。憧れの勇者だよ。


「勇者って英雄ですよね?勇者のパーティならフェルさんも英雄なのでは?」


 私の質問に対しロイドは、はーーーーーーーーとため息をつき…

一息おいてから一気に喋り出した。


「姫様の田舎では勇者信仰が残ってますからね。

ですが勇者は国家転覆を企んだ極悪人です。陛下を亡きものにし、国を手に入れようとしたのです。あの男フェルにも疑いがありましたが、魔術を国家の為に使う誓いをたて、国の為に屍術師ネクロマンサーの育成に力を貸したので陛下が赦されたのです。今ではほぼ隠居のような存在で好きな事をしているようですが国家転覆を図った勇者の仲間など、どんな功績を残したところで赦されるものではないでしょう。陛下の寛大さに感謝し大人しくしていればいいものを。あの者は姫様がお声をかける価値など皆無なのです。反逆者です。」




ーーーーその夜、私はなかなか眠れなかった。


 フェルの事を考える。

よほど人が恋しかったのかな?私が帰るだけで泣いてしまったフェル。

また遊びに行くって約束したのに、このまま会わないのは彼に対して失礼だよね。

勇者が国家転覆?って考えられないけど、ダメ勇者だったのかな? フェルが国家転覆ってのはもっと考えられない気がする。


 よしマルタに相談しよう!きちんと言えばマルタならフェルに会いに行くのを許してくれそう。

会って間もないけれど彼女はきっと私の理解者になってくれそうな気がする。


 ベッドの隣のチェストの上に金色のベルがある。

ハンドベルみたい。


マルタとの約束1、用のある時はベルを鳴らす。を実行した。


カランコロン……あーハンドベルの方がキレイな音ですね。


 しばらくするとマルタがきたようで、コンコンとノックされた。

こんな遅い時間に呼んでしまって申し訳ない、時間外労働になってしまう。


「どうぞ。」というと部屋の扉が開く。


ランプを持ったメイドさんが入ってきた。そういえばどこに待機してたんだろう?

メイド服はマルタとほぼ同じ。茶色の髪を後ろに縛りマルタよりかなり地味ではあるが美人で背の高めのキャリアウーマンっぽい人が来た。


てっきりマルタが来ると思っていたので


「マルタは?」

ダイレクトに聞いてしまった。


「この時間は休んでおります。」


そうか、さすがにシフトあるのか。そうだよね。自分ちがブラック企業みたいじゃなくて良かったです。


「私はエリザと申します。なんなりとご用を申し付けください。」


なんなりとって言われてもねぇ…


つい気持ちが盛り上がり呼んでしまったが明日でいいじゃんと思う。

迷惑な私…。


「ありがとうエリザ。マルタに用だったので明日でいいです。下がってください。」


 わがまま姫とか思われそうなので少し丁寧に断ったつもり。夜中にごめんね~

あ、ちなみに使用人は呼び捨てにとロイドに言われているので、エリザも呼び捨てにしてますが私が威張っているわけではないのよ。


 そしてエリザが出ていった後、ふと今朝の探検で階下に沢山の屍兵がいたことを思い出す。

 ホラーハウス。そういえばホラーハウスだった。

そんなホラーなところでエリザを呼び出した鬼のような姫になってしまった。


屍兵の事を考えたら怖くなってきた。もう一度エリザを呼ぶのは無しだよね。

あーーー早く朝になってーーーガクブル























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