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74、まるで異世界ハーレムの人だね

 温泉の町カホイ、それほど大きな町ではないが観光で成り立つ町。


 先に行かせたレイラに貸切り温泉を予約して貰ったそうだ。


やったーーーーー!

またテンション上がってきました。


 屍兵を森で待機させ、私達だけで町に入る。

町につくと辺りはもう暗かった。


わーいわーい温泉~。


ふと見るとロイドがアレスを馬車から下ろそうとしている。


ーーーーーーー!? なにしてんの


「ロイド! ア、ア、アレスをどうするの!?」


「姫様と同じで濡れた犬臭いので丸洗いします。」


ーーーー!! 丸洗いーーーーーーー!?


丸洗いって、勇者だよ! 犬じゃないんだから!!


「姫様のお手を煩わせないですよ。私が洗っておきます。」


「そうじゃなくて!」


何だかあまり濡らしてはいけない気がする……

防水仕様ではない気がする。

だって濡れて動きがおかしくなったんだよ?


「それから姫様、町の中では、身分を隠す為に"姫様"とお呼びしません。話し方等の無礼もお許しください。私の事は父でも兄でもお好きに呼んでください。」


兄は図々しくないか? 歳が離れすぎ……


あれ? ロイドっていくつ?


マルタとは近いけどロイドとは離れている気がする。


双子だからそれはない。



ペンションのような宿に入る。いらっしゃいませ~と声をかけられた。

店の中にはレイラが待ってた。


「ロイド様、お部屋は3部屋用意してもらいました。お食事も貸切り風呂も手配済みです。」


レイラが鍵を渡す。


部屋に入り荷物を置く。


アレスもベッドに寝かせて食事をする。


早くお風呂に入りたかったがお腹も空いていた。


自分では麻痺してきたが私は"濡れた犬の臭い"なので本当はお風呂が良かった。

でもレイラが先に食事の用意を頼んでいたので犬臭いまま食事。

うう。皆さん、私が犬臭くてすみません。


 そして何と初の皆と食事である!

ちょっといい家の娘設定だから姫様ではないので一緒に食事が出来るのだ。

町に入る前に勿論地味な服に着替えてきました。


「ご家族で旅行ですか? いいですね。うちの宿の自慢の料理ですよ。」

そう言って宿のご主人が料理を運んできた。


私達は家族設定らしい。え? 無理無い?


 テーブルに料理が沢山並べられた。

鶏肉と香草とトマトっぽい物の煮込みに、薄い生地に野菜と肉が巻かれたフルーツベースのソースがけ。あとはパスタにチーズがかかったような料理も出た。温泉のイメージではなかったがどれも美味しかった。

 微妙な家族設定ではあるが、人とご飯を食べるのは久しぶりだから余計美味しいのかもしれない。


「お嬢ちゃん美味しいかい?」

宿の主人が私に聞いてきた。


「はい。とても美味しいです。特にチーズっぽいのが好きかも」

食べながら答えてしまった。行儀作法が悪いと注意されそう。


「ははは……リリアはチーズが好きだからね。」


ーーー!!? 誰だ、お前……


ロイドが別人のように話したから危うくフォークを落とすところでした。

どうやら私は娘設定で固まったようで……?



「そういえば、もう一人お連れ様がいらっしゃいませんでしたか?」

宿の主人が聞いてくる。


「彼はケガをしているので休んでいます。あとで食事するので消化の良いものをお願いします。」


なんとマルタがナイスフォローしてきた。

すごい、マルタの機転にビックリです。


実際アレスは食事なんて出来ないけど、怪しまれないためには良い答えだ。


「ケガですか。だったらうちの温泉は良いですよケガが早くなおると評判です。」


「楽しみですわ。」


マルタがにっこり笑った。スゴくキレイだ。

宿の主人が赤くなる。


ロイドの機嫌があからさまに悪くなった。


「う、美しい奥さまですね。」


宿の主人が身の危険を感じたのか、すかさず言った。


「自慢の妻です。」


何サラリと言ってるんよ! 妻設定かい!? 

ロイドの機嫌が良くなった。


ちょっと無理のある家族設定だが宿の主人は気にしないようだ。


ロイドが怖くてそれどころじゃないのかもしれない。


シーラとレイラは何設定なの? 愛人?

普通にメイドか?


 それにしてもこの光景、女4人に囲まれるロイド、異世界にハーレム作ってる人のようですね。








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