65、夢の中の男の子
その夜、夢を見た…
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森の中を走る男の子…
スゴく身軽で素早い。
私はゲーム画面でも見ている気分だった。
魔物が現れた。
狼のようなモンスターと大きな蜂だ。
男の子は簡単にそれを倒す。
倒すとまた次の魔物が、その魔物も倒していく。
男の子はある村で暮らしていた。
おばあさんと二人暮らしで貧しかった男の子は小さいながらも魔物を倒すことで家計の助けをしていた。
魔王が復活しあちこちに魔物が現れた、村も襲われる事があった。
男の子は大人に混ざり、その魔物を倒した。毎日毎日それが続く。
たまに領主の子供が遊びに来る。
領主の子供は赤毛の双子の兄妹だった。
双子の兄妹は、男の子が大好きで男の子と一緒に魔物を倒しに行きたがった。
男の子は領主の子供に怪我をさせる訳にはいかず、何度も断ったが、断わっても断っても双子はついてきた。
弱くてよく泣く双子だった。正直足手まといに感じることもあった。
それでも村に同じくらいの子供がいない男の子にとって大事な友達となっていく。
双子を庇いながらの戦いは大変であったものの苦ではなかった。
だが、ある日双子は王都の学校に行ってしまう。
王都、それは男の子には遠い世界だった。
そしてしばらくすると男の子の祖母は亡くなった。
男の子はひとりぼっちになる。
ただ生きる為の魔物を狩る生活になった。
孤独が男の子を包んでいく。
肉親も友人もいない。
そんなとき王都から迎えがきた。
男の子は王様の妾腹で王妃様が亡くなったので王族に迎え入れる事が可能になったと言う。男の子は第二皇子として迎えられた。
王都に行き、兄と言う少年に会った。
兄は王都の事をいろいろ教えてくれた。
孤独だった男の子にとって兄は大事な家族となる。
王都に慣れて来た頃、学校にも行かせてもらえた。
そこで幼いとき一緒に遊び、狩りをした双子に再会した。
男の子に家族と友人が戻り、幸せだった。
だが魔王が魔物をまとめあげ魔王軍の侵攻が始まる。
人々に勇者が求められた。
魔王が現れるとき必ず勇者も現れる。
勇者の像のある広場で勇者の選定が始まる。
腕に覚えのある者は勿論、王族の血を引くものが集められる。
王家から勇者が出ることが多いからだ。
男の子と兄も参加した。
だが兄は勇者の剣を抜くことは出来なかった。
そして男の子が勇者の剣を抜く。
男の子は勇者だった。
その頃から兄の自分に対する態度がおかしくなった気がした。
しかし魔王を倒す旅に出発する事になると、危険な旅に兄は一緒に来てくれると言う。
兄は王位継承者だ。一緒に来るべきではない。しかし兄はどうしても一緒に来ると言う。
優しい兄が自分を気にかけ、ついてきてくれる。こんなに嬉しいことはない。
勇者は兄を必ず守ると密かに誓いを立てた。
兄を守る。友を守る。国を、世界を…ーーーーーーーーーーーー
そこで暗闇に包まれた。
ーーーーどこかを歩いている。
よく知っている道だ。
バス停に着いた。
女の子が立っていた。
ロングの黒髪を二つに結んである。ベージュのベストに赤いチェックのスカートだ。
なんだか彼女を見て懐かしいような切ないような変な感情が込み上げた。
ああ、これうちの高校の制服だね?
女の子が嬉しそうにこっちを見て微笑んだ。
ーーーーーそこで目が覚めた。
なんだ?今の夢…
目が覚めると私はアレスに抱っこされていた。
アレスの夢…? ……だよね? 今の……あの勇者だった男の子はアレス?
途中で私の前世の夢と混ざっちゃったみたいだけど……
あれはアレスの記憶? 本物? アレスにくっついて寝たからあんな夢見たのかな?
ああ、なんかアレスの顔見たくなっちゃった。
仮面外して顔見ちゃおうかな?
いいよね。いいよね? ちょっとだけ……
仮面に手をかける。
「姫様お目覚めですか?」
突然のロイドの声。
後ろから声をかけられ心臓が飛び出るかと思う程ビックリした!
良かった~仮面外さなくて……ドキドキドキドキドキドキ
「姫様が幸せそうにグッスリ眠っていたのでそのままにしてしまいましたが、お体は大丈夫ですか?」
そう言うロイドを見ると髪がボサボサの夜使用のロイドだった。
なんかエロそう……?
はい、今、エロいと思った人がエロですから……




