59、揉め事は困る
仮病を使ったお陰でゆっくり出来た。
ベッドでゴロゴロ、うん幸せ。
やっと、私の妖精さんに私の幸せの栄養が届いただろう。
本当、餓死させるところだ。
まあ、私の幸福感がなくても死にはしないらしいが……やっぱり妖精さんにちゃんと育って欲しい。
だっていつか願いを叶えてもらうんだし。
相変わらず瓶の中は何も入っていないように見える。
フェルが鎖を付けてくれたので基本首から下げているが、空の瓶を首から下げた変な子供だ。
初めてマルタに気がつかれた時、訝しげに見られたのでこれは"恋のおまじない"と言ったら、マルタがキラキラして「リリア様にそんなお相手が!」と嬉しそうにされた。
周りに屍だらけでそれは無いと思ったが、マルタが信じてくれたからそれでいいやと思った。
しばらくしてウトウトしているとドアの外で揉めている声が聞こえた。
どうしたんだろう?
コンコン……ノックだ。
「リリア様……起きていらっしゃいますか?」
マルタが困ったような声で聞いてきた。
その後ろから
「いいから開けなさい!」と女性の声がした。
強引にドアを開けてズカズカ入って来たのはシャーロット様だった。
私はポカンとした。
シャーロット様は入ってくるなり、部屋を見渡す。
「本当にいないの!?」と叫ぶ。
私はここだが?
「「ロイド様は誰も通すな。とおっしゃってました。強制排除します。」」
とシーラとレイラも部屋に入って来た。
「ダメです。シャーロット様にそんな事をしては!」
マルタがあわてて二人を止める。
何か大混乱のようだ。もうマルタが泣きそうだった。
確かにまずいよ。シャーロット様はスノウハイランドの未来の王妃様だよね? 強制排除は不味すぎだよ!
私の言うことを聞いてくれるか心配だったがシーラレイラを止めてみた。
「シーラ!レイラ!強制排除はやめて下がって! 私はシャーロット様にお話があります。」
いや、本当は別に話すことないけどね。
私が叫ぶと、シーラとレイラは動きを止めて、二人で顔を見合せ小さく相談している。二人にとってロイドの命令は絶対なのかもしれない。本来は姫の命令が上の気がするが……
そこで透かさずマルタが、
「シャーロット様に危害を加えてはいけません。シャーロット様はリリア様に面会に来られただけで何も問題ありません。ロイドがいたら通したでしょう。あなた達は何も咎められたりしませんよ。」
そして私も
「その通り! 問題なし!」
と叫ぶ。
ここであんな鉤爪とか出されたら洒落にならん!
シーラとレイラはまた二人でごにょごにょ話して…
「私共は、ここで控えさせて頂きます。」
と二人でドアの前に立つ。
このまま私に危険がないか様子を見るといったところか……。
お仕事に忠実(ロイドに忠実?)で偉いですね。
「別に私は、話す事はないわよ。」
シャーロット様が言った。
さっき私がシャーロット様にお話がある、と言った言葉に反応しての言葉だろう。
私も無いよ! お前何しに来たん!?




