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52、准将中身はなんだろう?

 辺りが暗くなった頃、私達は馬車に乗り込む為に本宮前の大広場に向かった。

 そこには屍兵達がうようよいた。

灯りをとるための松明やランタンの光で浮かび上がるその姿は、最近は見慣れた筈の屍兵たちを改めて不気味で怖い存在だと感じさせた。お城にこんなに骸骨がいるのって、もうここはホラーハウスか魔王城みたいだよ。


 こんな中にアレスを混ぜるの嫌だな…まず思ったのはそれだった。


 すると屍兵が二つに別れ道を作る。

本宮の方から白と金の鎧を着けた大男がこちらに向かってくる。

なんだか偉そうな感じだ。


「今回の視察団団長を務めるオリゴン准将です。」

横でロイドが囁いた。


大男は私の前まで来て挨拶をした。


「はじめまして、お姫様。今回の視察団の団長オリゴン·ゴードインです。お見知りおきを…」


屍兵達のような仮面を着けている。王族への挨拶なのだから、はずさないのか? まあ、いいけど……

「よろしくお願いします。」

と私。

もっと何かしゃべった方がいいのか分からない。

何か苦手な匂いのする人だ。


オリゴン准将は挨拶を終えると私の隣のロイドに目が行く。


「なんだロイド、まだそんな怪我が治らんのか。随分手加減してやったのに、人間の身体は不便だな。フハハハッ、あの赤毛の大賢者様に治して貰うといい。まあ何年も前にイカれちまったから無理か。ガハハハハハハ」


ロイドを見て下品に嗤う。


 この人、ロイドに怪我させた人だ! とピンときた。

その上、フェルの事をバカにしている。

人間の身体は不便て、このひと人間じゃないの?


「これは准将殿、私のような者を気に掛けて頂きありがとうございます。この傷は私の失態を償うため陛下に捧げたものです。無抵抗で討たれたのはその為でございますので准将殿のお気を煩わせる必要はございません。」


ロイドが悪そうに嗤いながら言う。


こ、これは!そうか。こう言う奴を日頃から相手にしているから、この不気味で怖い嗤い方になったのか!と納得してしまう。


 それにしても不気味なおっさんだ。

声がおっさんだから准将の中身はおっさんだと思った訳だが、出来れば関わりたくない。

 さっきの言い方だと人間でない可能性もあるので、ますます関わりたくない。

 ん? 人間で無い可能性ってなんだ!? もう王宮はホラーハウスで屍だらけなのに、その上まだ何かいるの? いい加減にして欲しい。


「ロイド、お願い、私の屍戦士を外に置きたくない。一緒に馬車に乗せて。」


私は私のアレスをこの集団の中に絶対に置きたくない。


「屍戦士をですか? 私どもの馬車の周りは、姫様の護衛の兵を配置しますので……」


「お願い!」

ロイドの言葉を遮り強めに言った。ここは譲れない。

アレスがあいつの近くに間違っても配置されないようにしたい。


「仕方ないですね。ではその一体だけ乗せましょう」


「ありがとうロイド!」


 スノウハイランドへの旅が始まった。

まるで戦争に行くような軍隊と一緒で不安だった。

4泊5日の馬車泊の旅。辛そう……。







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