51、クスリを飲め!
捕まった!
完全にそう思った!!
しかしロイドの伸ばした手は私の頭の上で空を切る。
ロイドは不思議そうに自分の手を見つめた……
「気のせいだったようだ。」
とマルタの元に戻っていく。
ほーーーーーーーーーー
心臓止まるとこだったーーーーーー!!
やめてーーーーおどろかさないでーーーーー!!!!
危なかった! 危なかった! 危なかったよーーーー
今のは大人だったら捕まっていた!
私がロイドの予想より小さいから助かったんだ。
つまりフェルだったら間違いなく捕まった!
今度フェルに注意しておかないと!!
まだ心臓はバクバクだったが、見つからなくて良かった。
あとは脱出だ!もうハイポーション飲むとか見届けなくてもいい!
無事に脱出したい。
ロイドはまたマルタの元に戻って隣に座り、自然に腰に手を回す。相変わらず距離感近すぎ姉弟
「何か持っているのか?」
マルタが持っているハイポーションに目が行ったようだ。
するとまたマルタが何か考えてる。
どうやって飲まそうか考えているのか…
なんか必死に私との約束を守ろうとしているのかと思うとマルタがかわいい。
「えっと……ロイドに飲んで貰いたいものがあるの……」
お、ストレートに言った! 本当ならコップにあけるとか、お茶に混ぜるとか工夫が欲しかった……でもとにかく飲んでくれればいいや。飲め!
「飲んで欲しいって……何?」
ちょっとロイドに困惑の色が……
いくら好きな娘からとは言え、怪しかったか……? そりゃそうだよね。
頑張れマルタ!怯むな!
「んーーー?」
本当の事を言おうか迷っている風だ。
頑張れマルタ!
「これ……ロイが元気になるように……」
うわ、言っちゃった? どこで手に入れたハイポーションとか聞かれなきゃいいけど!
「元気になるように……?」
ロイドが聞き返す。
「そう、すごく元気になるように! 精力剤!!」
マルタがすごく良いアイデアを思い付いた風に大きな声で言った。
精力剤!?
「…………」
ロイドが困惑したままのようだ。よく見ると耳が赤い。
しばらく黙ったまま……
「……じゃあ、スノウハイランドから戻ったら飲むよ。」
と照れながら言った。
いったい何の薬だと思われたんだよ!!
結局、ハイポーションは飲まれる事はなかった……
フェルごめん……せっかく作ってくれたけど失敗だよ。




