49、任務!? マルタを追え!
「あら、リリア様、かわいらしいぬいぐるみですね。」
昨日迄無かったウサギのぬいぐるみを私が持っているのに、何の突っ込みもなくマルタが褒める。
「う、うん、かわいらしいでしょ? これも持っていくね。」
マルタが気にしない人で良かったが、良いのか?
「こんなかわいいぬいぐるみがクローゼットにあったなんて気がつきませんでしたわ」
あ、そう思ったのね。助かるわ。
ーーーー出発は今日の夜なので、まだ時間はある。
何としてもロイドにハイポーションを飲ませないと!
あ、私の盾にする為ではなく、普通にケガを治してほしいからだよ。
それにはマルタの協力が必要!!
「マルタ~ロイドのケガ良くなった?」
「ご心配お掛けしてしまって申し訳ありません。顔の傷は大分良くなったのですが、腕の方はまだかかりそうです。」
「そっか……マルタ……ハイポーションって知ってる?」
「もちろんです。最近は作る人と材料が不足していて手に入りづらくなってしまって……」
「そのハイポーション……これロイドに飲ませてあげて」
1本取り出しマルタに渡す。
透明の瓶に入ったちょっとピンクっぽい液体……う、あやしい……?
「まあ、リリア様お優しい、ありがとうございます。」
マルタが嬉しそうににっこり笑う。
怪しまずに受け取ってくれた。でもロイドが飲んでくれるのか……
私から貰ったと聞いたら、どうしてそんなもの持っているのかと不審がられる可能性がある。私とフェルが会っているのは内緒だから出来れば知られたくないし、フェルからだと知ったら余計に飲まない可能性がある。
「私から貰ったって言わないでほしいの、出来れば本人に気が付かれずに飲ませてもらえれば……」
ちょっと無理ありすぎか……? 飲んだ後にすぐにケガが治ればバレバレか?
「わかりました。ロイドに知られるのが恥ずかしいのですね? お任せ下さい。ちゃんとロイドに秘密で飲ませてきますわ」
そう言ってマルタは大事そうに薬を握りしめ、後で結果報告しますね。と言い出ていった。
でも私は心配で……マルタは少しお花畑なところがあるから……
すぐに着ぐるみウサギを着込みスキルを発動させてついていく事にした。ロイドがちゃんと薬を飲むのを確認したかった。
私が部屋を出るのでアレスが少し反応したが、待っているように言い聞かせマルタを追う。
スキルを発動する為の飴を頬張りマルタを追った。
マルタはもう階段を降りていた。
私も音をさせないように降り、マルタに続く。
なんかドキドキしてきた。人を尾行するなんて初めてだ。
ちょっといけない事をしている気もする。
そしてマルタは自分の部屋に着いた。
ドアを開ける。
「ロイ、起きてる?」
声をかけながら部屋に入って行く。
閉まる寸前に私が滑り込む。
やだ私ってば才能ありそう!?




