48、スノウハイランドからの招待
「明日、北の国スノウハイランドへ向かいます。姫様のひとつ上の姉姫様に当たりますシャーロット様の嫁ぎ先でシャーロット様からのご招待でございます。」
夕食の後、本宮から急ぎ戻ったロイドが突然伝えてきた。
はい~?全部初耳なんですけど?
「以前からシャーロット様からのお誘いはありましたがお断りさせていただきました。姫様の安全を考えての配慮でしたが、今回スノウハイランドへの視察団と同行と言う形となりますので姫様の護衛の兵を倍増出来ます。」
シャーロット様知らんし……
「別に行きたくない……また狙われたらロイド大変だもん、まだケガ治ってないでしょ?何かあってロイドが怒られるの嫌だし……」
ちょっと前の私だったら考えられないロイド寄りの発言をしてしまいました。
でもロイドは悪い奴では無いと思う。たぶん
「姫様、私の事は良いのです。今回は視察団と同行ですので兵の数が一個大隊での移動となります。姫様の危険も少ないかと存じますが…」
「いっこだいたい…?それどれくらい?」
「1000人の屍兵と屍戦士で編成されています。」
「え?そんなの行ったら迷惑じゃあ……」どの辺が視察なのよ?
「姫様がお気になさる事ではございません。今回は陛下からのご指示ですので姫様のスノウハイランドへの訪問は決定済みです。ご理解下さい。」
なにそれーーーーー!?
明日出発って早すぎだし…
マルタとエリザが私のクローゼットの方でバタバタ動き出した。
何やら荷物を用意しているらしい。
屍兵と一緒に知らない国に、知らないお姉さん姫に会いに行く?
気が進まないな~
せっかくしばらくはフェルと楽しく過ごせるかと思ったのに…
就寝後、フェルに会いに行く。
「スノウハイランド行き決まったんだってね~」
と、さっそくフェルに言われた。この人はどこで聞いたり見たりしているのか?
まさかあの"着ぐるみ犬"で王宮を見つからないようにウロウロしているの!?
フェルはアレスにスリスリしながらアレスとしばらくの期間離れるのを惜しんでいた。良かった。アレスは連れて行って良いらしい。
その後、たっぷりアレスにくっつき満足したフェルは、ポシェットとピンクのぬいぐるみを出してきた。
ポシェットの中には小瓶3本と大量の飴。
「1本は出来れば早めにロイくんに飲ませてね。あとはいざというときに……」
「ロイドに?飲んでくれるかな?中身はなあに?」
「中身はハイポーションだよ~。今は手に入りづらいからね~ボクの手造り、ロイくんのケガ治した方が良いでしょ?」
ポーションじゃなくて、初めて見るのがいきなりハイポーションとは……そしてそんな物が実在する世界なんだと改めて感心してしまう。
ポーションを手に取り透かして見たが普通の液体に見えた。ただ色がピンクっぽくて怪しい。
「私じゃ飲ませられない気がする」
一服盛る感じになる……。
「まあ今回は戦いにならないと思いたいんだけど、出来たら飲ませて~……あ、マルタちゃんに頼みなよ~うん。それが良い~」
「今回は戦いにならないって……なんか屍兵とか1000人連れてくって……戦争みたいじゃない?」
「戦争だったらもっと連れてくよ~最低でも一万とか……今回はね牽制に行くんだよ。逆らったら許さんぞ~って」
「牽制……? 視察って聞いたよ?」
「そりゃ表向きはね。リリアにシャーロット姫から招待ってのも怪しいよ。書かされた物かも……もちろんエターナル側からだよ。これはボクの深読みかもしれないけど、リリアを餌に抵抗勢力をあぶり出したいのかもしれない。実働部隊が一緒だからリリアに手は出しづらいと思うけど、いざとなったら最初に君の盾になるのはロイくんだからね。万全を期す為にもロイくんはケガしてる場合ではない。」
ロイドが私の盾!?それはひどい
「あとこれ、必ず持ち歩いて」
ピンクのぬいぐるみだ。
「このぬいぐるみ、着ぐるみウサギにそっくりだね…」
「当たり~!あのパペットのウサちゃんです!」
「大きさ全然違うよ…」
「それはね~〖うさちゃん、うさちゃん、大きくなあれ!〗と魔法の言葉を唱えて3回撫でると…」
ボン!!
ウサギが大きくなった!
私が着られる大きさ。私の着ぐるみウサギだ!
「リリアが持っていても不自然じゃないようにしたよ~」
うん不自然じゃないね。
ちょっと魔法の言葉がアレだけど…
本当にそれ言わないとダメ?




