41、にぎやかなキャロル
「うわーーーーーん!姫様ーーーっ!! 私失恋しちゃいましたーーーー!!」
勢いよくドアが開いたと思ったら、キャロルが入ってきた。
相変わらず元気がいいキャロルだ。エリザに絞られて、最近大人しくしていると思ったのに…
「どうしたの?キャロル。あとまたノック忘れてるよ?」
一応注意する。
「うわーーーーーん!! 昨日もそれで怒られたーーー!」
じゃあ気をつけろよ。
「そんな大きな声だとまたエリザがすぐ来るよ。」
「は!」
キャロルがぎょっとして自分の口を押さえピタッと止まった。
すごいな。エリザパワー。
「……で? どうしたって? 一応聞くよ。」
ちょっと、ため息だけど……
「姫様、優しいですぅ。私、失恋しちゃいました」
だろうね。そしてそれ、さっき聞いたよ。
「ほら私ってば、あと3日の雇用契約でしょう?」
知らんがな、でもあと3日とは、1ヶ月って早いね。
「それで~ロイド様に雇用の延長をお願いしに行ったんです。」
「雇用の延長?それがどうして失恋に?」
するとキャロルがちょっともじもじして…
「どうせなら~ロイド様を誘惑しようと思って~えへへ」
チャレンジャーだな。
「夜中にロイド様の寝室に行きましたぁ!」
チャレンジャー過ぎる!!
「そしたらロイド様のお部屋に髪の長い美女が!」
それマルタだから…
「しかも!二人が抱き合っていたんですぅ!!」
ほう……? それで……? やば、ちょっと興味でちゃったよ。
「それで怒られましたーーー!」
それ、ノックしなかったからだよね? しかも夜中に…
「うわーーーーーん! 雇用の延長もしてないのに二重のショックですぅ」
また大泣きし始めた。
コンコン…
ノックだ。
「はい、どうぞ」
「失礼します。」エリザが入ってきた。
「キャロル、サボってないで行きますよ。」
キャロルがエリザに捕まり、連れて行かれた。
エリザもなんだか疲れているっぽかった。
ーーーーー静かになった。
失恋だったら辛いだろう、でもキャロルのは何か違う気がした。
すると背後がゴソゴソ…!?
「いや~にぎやかな子だったね~」と声がした。
振り替えると着ぐるみ犬のフードを外したフェルがいた。




