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40、干物じゃなくて良かった

 私のお誕生日プチ旅行が終わり2日ほど経った。


 ロイドは屍兵20体、屍戦士4体を失った責任を問われたらしく、昨日の朝早くから王宮の本宮へ行き帰って来なかったらしいが夜中にやっと戻って来たそうだ。

 今朝マルタが泣きながら話してくれた。

マルタが泣いているので私も一緒に泣いてしまった。

 何だかんだでロイドは私を守ってくれたのだ。

何を怒られる事があるのか。

屍兵達を失ったとしても、私達全員が助かったのだから…。


 王宮に連れてこられた日に一度だけ会った国王(ちちおや)にとやかく言われる事などひとつもない!いや、会ったというか、あれはチラ見されただけで会った内にも入らない!

 多分あの人は、私の事など何一つ心配していないのだろう。


 その後キャロルがうるさくロイド様がケガをしていた、と騒いでいたがエリザに連れていかれた。


 私はいろいろありすぎて、どうしたものか分からなくなっていた。あの鎧武者は魔王がどうたら言っていたが私には何の事かわからない。

ただ自分の為に誰かが危ない目に合うのは嫌だった。


「そういえば、シーラとレイラはケガはなかったかな?」

あの後二人に会っていない。


「はい。二人とも元気ですよ。今は洗濯をしていると思います。」

マルタが涙を拭きながら答える。


「え?洗濯!? あの二人は戦闘メイドじゃないの?」


「戦闘メイドも普段は普通のお仕事しますよ」


「そうなんだ~。あの二人スゴくかっこ良かったんだよ。二人とも、こうビシッとして…」

武器を構えていた姿を真似してみたが全く似ていなかった。

自分でもわかる不恰好さ……


「すみません。皆さんが大変な時に私だけ寝ていたなんて…」

またマルタがメソメソしてきた。


「え?それは仕方ないよ。」

だってマルタはロイドに"眠らされていた"筈、本人のせいではない。


「そもそも戦闘メイドって何?」

ついでに聞いてみた。


「有事の時に主人を守る事の出来る、訓練を受け戦闘に長けたメイドです。リリア様のお母様、セレシャ様も戦闘メイドであったと聞いておりますが…」


初耳だよ!

おじいちゃんはホントに何一つ教えてくれなかった!!

今までは気にしなかったが、教えてくれなさすぎ!


 おじいちゃんどうしてるかな?

おじいちゃんに会いに行ったフェルはどうしたんだろう?そろそろ帰って来ても良いのに…

フェルとおじいちゃんが行った先はジャパネオって国だよね。

何事もなければ良いけど…


いろいろ心配がありすぎる。


でも…

 アレスを見る。


 アレスの事だけは良かった。

こんな大変な事があったばかりで不謹慎かもしれないけど、アレスの事を考えるといろいろ吹っ飛んでしまう。

「…………。」

 そして私はアレスに抱っこと言えなくなっていた。

今まであんなイケメンに気軽に抱っことか言っていた。スリスリもした、恥ずかしい…

 夜、二人きりになるのもドキドキだ、前とは違う意味でドキドキしそう。

あ~かっこ良かった。また顔見たい。確認したい。

でも勝手に仮面を外すとか、恥ずかしすぎる。


チラッ

アレスを見る。

少し鎧に凹みもある。あの爆発の時のだろうか…


またしばらくして、アレスを見る。………


「リリア様?どうかされました?」

マルタに声をかけられる。


ーーーーーーーはっ!!いつの間にか正気を失っていた!?こんなに見てた自分の行動が恥ずかしい…。怪しすぎる。


「な、何でもないよ…」

そう言いつつ自分でも顔が赤いのが分かる。

泣いたり赤くなったり本当忙しい感じだ。


 私はアレスから顔を背けたが、アレスの仮面が外れた時のことを思い出す。


もう、うっとりだ。

どうしてあんなに綺麗なままなんだろう。あの顔は幻じゃないよね?

本当に干物になってなくて良かった。腐ってなくて良かった。骨でもなくて良かった。

アレスがアレスのままで良かった。



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