39、お城が爆発!
アレスーーーーーーーーーーーーーー!
干物じゃなかった! 干物じゃなかった! 干物じゃなかった! 干物じゃなかった!
美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい!!
もうカッコいいって言葉やイケメンて言葉だけではすまされない!
何て言うの!? 尊い!? 尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊い尊いーーーーーーー!
もう気絶するかと思うくらい、アレス様のお姿は素敵でした。
私はアレスの素顔をガン見したまましばらく我を忘れた…
なんてキレイな人だろう……
しかしその虚ろな瞳は何も映し出さない。
その瞳を見つめているだけでなんだか胸がいっぱいになり涙が出そうになった。
その後背後に走ってくる音を聞いて我に返った私はロイドに見られると不味いと思い、急いでアレスに仮面をつけた。
ちょうどロイドが来て馬車に合流した、無事で良かったと思ったがよく見ればあちこちに血が滲む。切られた傷があるようだ。浅い傷なのか普通に動いているが大丈夫なのだろうか。
「屍兵があっさり負けたか…ジャパネオの兵は強いな…」
散らばった屍兵の残骸を見てロイドが呟く。
「姫様、ご無事で何よりです。敵の大将は倒したので今日の夜襲はもうないでしょう。しかし城が爆発します。急いで馬車にお乗りください。」
は?爆発?
ロイドはアレスに御者を指示し、マルタを大事そうに抱え急いで馬車に運び入れる。
馬車が急いで出発した。
城を少し離れたところで…
ドオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!
物凄い轟音がした。
そして小さな爆発もいくつも…
なにこれ? もはやファンタジーではない。
私はなんて世界にいるのか……
ちょっと前までRPGゲームでも見てるかのような気分でフロアボスとか思っていたけどこれは違う!!
怖い!小さな破片が爆風で飛んできたのか馬車にカンカン当たる。嫌でもこれは現実だと思い知らされる。
ファンタジーなかわいい馬車だったらつぶれていたかもしれないが、この馬車は重装甲の馬車、かわいくないと思っていたが今はこの馬車で良かったと思う。
外で御者をしてくれているアレスが心配だ。
そして思い出す。シーラとレイラ置いてきてる!
え?こりゃひどい!どうしよう。私を守る為に戦ってくれてたのに…
そう思い馬車の後ろのお城を見る。
お城が燃えていた。なんてことをするんだ。あんなステキなお城を破壊とか…そして、シーラとレイラも…
その時、城が崩れる土煙と共に何か動く物が見えた。
シーラとレイラだった!!
二人は無事だった。
来るときに屍戦士達が乗っていた屍馬?にまたがり颯爽と駆けてくる。
うわ、カッコいい。
「ロイド!シーラとレイラ!無事だった!!」
私が泣きながらロイドに言うと、ロイドは一瞬だけ顔を緩めたがすぐにいつもの冷静な顔になり、
「当たり前です。私が教育したので…」と言った。
私はもう怖さとか助かった安心感とか、とにかくいろんな物が重なったのか号泣した。もう訳がわからない事が多くて混乱もしている。アレスに早く会いたい。いや馬車のすぐそこにいるのはわかっているけど…もう泣くしかなかった。
めちゃくちゃ泣いたせいでそのまま寝ていた。どのくらい寝たのか1~2時間?
気がつくと誰かの膝にくっついて寝ていた。
あれ?
膝はロイドのものだった。右腕にマルタ、左に私、となっている。しかもロイドの左手は私の頭の上を微妙に撫でていた。
なんだこりゃ!? 気持ち悪っ! 恥ずっ!
急いで離れる。
「王都まであと一時間程です。まだお休みになっていても大丈夫ですよ。」
ロイドに声をかけられた。
うわ~恥ずかしい! 大泣きして疲れて寝るって! 子供かっ! 子供だけど…
気まずい気まずい気まずい気まずい気まずい気まずい気まずい気まずい…
空気に耐えられなくなりロイドに質問してみた。
「ど、どうして、お城が爆発するのが分かったの?」
だってあのタイミングで逃げなかったら、爆発にまきこまれたよね。
「……最後に戦ったトウジロウと言う侍が教えてくれたんですよ。」
ああ、時代劇でありそうな冥土の土産とか、最後にひとつだけ…とかそういうので?親切な人で良かったわ。
「自分達が死んだ後で屍兵にされないように……ジャパネオの兵士は亡くなった後、自の身体を処分する仕掛けをしているそうです。今回は私達も巻き込む為に城ごと爆破をしたようです。屍兵にされるより潔い死を……と、トウジロウに人の魂の尊厳を説かれました。」
ロイドが遠くを見る目で話す。
思ったより重い話だった。ロイドも疲れているようだ。ずっと何かを考えるように遠くを見続けていた。




