3、かわいいプリンセスの私
私ってかわいかったんだ‼
くりっとした大きな瞳、小振りだけど形の良い鼻に愛らしいピンクの口、頬も良い感じのふっくらピンク、肩より少し長い栗毛を二つに分けて毛先は軽く巻いてある。短めのツインテールに大きなリボン。着ているワンピースのフリフリに負けていない、華奢で可愛い手足。
鏡を見てビックリしてしまった。
私かわいくね?
今私は、王宮の中。正確には王宮の奥の後宮ってやつ?
私の自室として案内された部屋の一部にいる。
一部と言うのは、寝る部屋や(もちろん天蓋付のベッド)
勉強の部屋、お茶の部屋、クローゼットの部屋、お化粧や身支度の部屋、そしてお風呂の部屋
各部屋は扉で仕切られているものの、ぐるっと一周出来るように繋がっている。
このフロアだけで充分伸び伸び生きていけそう。
これ全部私の部屋か~
一つ一つの部屋の大きさは多少異なるが、それぞれが学校の教室位の広さ。そんな感じ。
私は子供らしく走り回って部屋を見て回り、その後マルタに捕まりお風呂で磨かれ、フリフリのレースのついたカボチャぱんつをはかされた。
こんなかわいい下着は着たことがない。
これだけで感動モノ!
そしてその上から水色のワンピースを着せられた。
襟と袖口に細かいレース、裾はもっと大きなレースがついている。そしてウエストに大きなリボン。かわいい。
村では誰かのお下がりのヨロヨロのシャツだったり、ブカブカの服を着ていた。おしゃれなんて到底ムリにだったし誰かに可愛く見てもらいたい訳でもないので気にしなかった。
マルタが髪を整え二つに分けてコテのようなもので髪を巻いてくれ毛先にくるっとくせがつく。
もう魔法の様だ!
おお、かわいいぞ~、かわいいぞ自分! 仕上げにワンピースと共布で出来たリボンをつけた。
ーーー完成。
お、お姫様だ。
そこにはお姫様な私がいた。
もう田舎の村娘ではない!!
しばらく(転生後)女子力とかおしゃれと無縁だったせいか、テンション上がる。
嬉しい。嬉しい。誰かに見せたい。
マルタも「かわいい」「お似合いです」と褒め称えてくれた。
ふと、いつの間にか部屋の隅にいるロイドに気がつく。
いつからいたんだ?
私が見ているのに気がつくと、スッと近くに寄り
「姫様、国王様との謁見が許されました。ご案内しますのでお急ぎ下さい」
呼び方が"姫様"になっとる。そして国王様って私のお父さんて事だよね。
謁見許すとかって娘でも簡単に会えるものではないみたいね。
10年も放っておいた娘を今さら引き取るって何かあるのか。
馬車の中でマルタから教えて貰ったのは、私には正妃の産んだ姉が3人いたが3人共、国外にお嫁に行ってしまったそうで、王妃様も亡くなり後宮に住むのは私だけと言うことらしい。
そっかお父様寂しくなっちゃったのかな?
あれ?王子様っていないよね?
後継ぎいないじゃん。
まさか私、後継ぎ?女王様になっちゃう?
……女王になった自分を想像してみる。
う~ん。似合わない。そして無理そう。
私を女王にするくらいならお嫁に行ったお姉さま達で良かったはず…
そうこう考えていると重厚感のある立派な扉の前に到着。
ここにも全身鎧の兵士が両脇に立っていた。
ここの兵士ってみんなこの重たそうな格好?夏大変そうだなと思ってふと顔を見る。
ーーー!!!!!!??????ーーーーーーーーー
声にならない声がでた!
顔がない!!! て言うか肉が!! いや、いろんなものが!!!
兵士の顔は骨……骸骨だった。
つ、作り物だよね? 特殊メイクとか?
「ちっ」
固まる私の頭の上から声がした。
見上げるとロイドが不機嫌そうに
「申し訳ございません。この者達には仮面を徹底させるように指示しておいたのですが」
ん? この人今、舌打ちしたよね?
「姫様を驚かせてしまうと思い、落ち着いてからお話しようと考えておりました。この者達は屍兵といい我が国の兵士でございます。勿論姫様に害になる事はございません」
お父様に会う前にとんでもないことをカミングアウトされた。
屍って死んでるって事だよね?!
「仮面を着けさせなかったこの区画の屍兵の世話人にはキツく仕置きをしておきましょう」
うわっつ!
またなんか凄いコト言った!!!
ロイドさんが怖いです。