38、勇者アレスの姿
鎧武者っぽいのが出てきた。
ちょっとしたフロアボスっぽい。
「エターナル王国第四皇女リリアだな。その命もらい受ける。」
うわっこれガチのやつだ!
ロイドが私の前に出る。
「姫様、馬車へ!」
はい。ここは任せたよ。
私はアレスと馬車へ向かおうとする。
ガキンッ!!
いきなり私に飛んできた刀をロイドが弾く。
「ほう、今のを弾くか…」
鎧武者っぽい人が言う。
「その姫が死なない限り、魔王が復活してしまうと言うのに何故庇う?」
え!?なにそれ?魔王って?
「姫様を守ることは、私の務めです。一応お聞きしますが、引いていただけませんか?」
ロイドがいつもの悪そうな顔で嗤う。
「残念だが引くことは出来ぬ。私はジャパネオの侍、トウジロウ·カリノだ。お主の名前も聞いておこう。」
時代劇で聞くような名乗りだ。
「私はエターナル王国後宮管理使用人頭、ロイド·ルカレリアだ。」
ロイドさん名字あったんですね。
すると鎧武者がなにやら驚いている。
「ルカレリア?ルカレリアとは最初にエターナルに滅ぼされた国の名だな?まさか王家の生き残り?お主は…」
ーーーガキーンッ!
今度はロイドから斬り込む。
「お喋りは終わりです。」
斬り合いが始まった。
鎧武者は日本刀のような武器だ。対してロイドは変型の剣二本で戦う二刀流だ。器用だね。ロイドの綺麗な剣技と素早さで手数はロイドが多い気がする。しかし鎧武者も一本の刀で見事に捌いているようだ。
頑張れ、ロイド~!
無事に帰って来たらいくらでも嫌味を聞くから頑張れ~!
そしてこの隙にマルタを連れて逃げないと…。
「アレス逃げよう。」
私とアレスは馬車へ向かう。走って行くとすぐに馬車が見えた。馬車の周りに屍兵が5人ほどいる。
ところが馬車に近づくと屍兵が次々と崩れた。
馬車の上に誰かいる!
ここにも忍者っぽい黒装束がいた。
するとアレスがマルタを置く。
さっきは自分から動かなかったけど戦ってくれるの?
馬車の上から高さを利用し、黒装束がアレスに斬りかかる。
アレスはそれを片手剣で受けて吹き飛ばした。
え?なに今の?すっ飛んだよ。派手に…
すると近くの木の上から三人の黒装束が降ってくる。一斉にアレスに斬りかかるつもりだ。これでは避けられない!
「アレスー!!」思わず叫ぶ!
ところがアレスは回転し全てを弾いて、ついでに黒装束を3人共に剣で吹き飛ばした。黒装束達は嫌な音を立て地面に落下し動かなくなった。
ーーすると弾かれた刀の一本が折れ、マルタの方へ…
「危ない!」
私はマルタに覆い被さる。
それを追ってアレスが盾になる。
カンッ
何か当たる音がした。
カラン。
何かが落ちる音もした。
恐る恐る目を開けると私もマルタもアレスのお陰でケガはない。無事だった。
ふと見ると手元に屍戦士の仮面が落ちていた。
さっきの音は仮面に当たって仮面が落ちた音だったらしい。
これアレスが着けていた仮面?
見上げると仮面が落ち、屍戦士の黒い鎧と兜を着けたアレスが立っていた。
瞳は少し虚ろだが、黒髪に整った顔。絵で見た少年よりも少し大人っぽくなった勇者アレスの姿がそこにあった。




