37、緊急事態
真夜中に突然現れたロイドに怯む。
「姫様、緊急事態です。」
ロイドは冷静にそう告げる。
よく見ると小脇にぐったりしたマルタを連れていた。
「マルタどうしたの?」
マルタは寝巻きだろうか、胸元にタックの入った白いドレスを着ている。髪をほどいていていて、まるで眠り姫だ。
「彼女は心配ありません。夜中起きると色々面倒なので、起きないようにたっぷり可愛がってから眠らせました。」
涼しい顔でロイドが言う。
「!!」
何だろう…今の…エロ発言だったのかな……え、エロいと思ったひとがエロです。
「それより姫様、お急ぎください。侵入者です」
そう言うとロイドはマルタを離し、私とマルタを背にしたと思ったら、執事服の袖に仕込んであったのか? トンファーを両手に出した。どこから出した? どうやって入ってたん。折り畳み式か!?
それと同時に暗闇の中に誰かいる。しかも複数!?
剣を構えた侵入者がロイドに斬りかかる。ロイドがトンファーの棒部分でそれを受け、相手の顎に柄の部分をのめり込ませた。メキッ!スゴイ音がした。その隙に別の侵入者が斬りかかる、反対の腕のトンファーを刀に沿わせて受け流し、殴り飛ばす。次から次へと侵入者が斬りかかるが見事に倒していく。
つ…強い。ロイドTUEEEEE!!
でも相手が多い。黒い装束の侵入者はまだまだいるようだ。
ん?これって忍者?
「姫様、逃げますよ。」
そう言って、侵入者を投げ飛ばし私とマルタを抱えた。
いやいや二人は無理だよ。
「アレス!」私が叫び、今まで動かなかったアレスが動き出す。
「援護しろ!」ロイドがアレスに指示する。
でもアレスは私のアレスだから、ロイドの指示を聞いてくれるのか?
…がアレスはちゃんと侵入者と戦い始めた。
ロイドは私達を抱えたまま、階段を飛び降りて行き、あり得ないスピードで一階まで降りていく。
人を二人抱えてる人の動きではない。
何この人?執事ってこんなこと出来るもの?
あまりのスピードに目が回る!
ぎゃーーーーーーーーーこえーーーーーー
そのまま一階の廊下を走る。侵入者を倒しながらアレスも続く。
その廊下の先に、シーラとレイラが立っていた。
二人とも無事で良かった。でも逃げないと、何でこんなところに…?
すれ違い際にロイドが
「殺れ!」と一言。
シーラとレイラはスカートをめくりスカートの中から武器を取り出す。
シーラは短剣を、レイラはでかい金属の鈎爪。
そして二人は侵入者と戦い始めた。
なにそれーーーーーー!?
そのまま私達は玄関に向かう。
「大丈夫なの?あの二人!?」
しかも置いてきた。
「心配ありません。サリーやカーラと同じ戦闘メイドです。」とロイドが答える。
もしもし、ロイドさん? 初耳ですよ。
戦闘メイドとな?
玄関を出てしばらくした場所でロイドが私を降ろす。
「姫様、お怪我はないですね?」
私は頷いた。
そして気を失ったままのマルタをアレスに渡す。
渡す前に一度ぎゅっとしてから、おでこにキスをしたのを私は見逃さなかった。
ラブラブや~
アレスはマルタを受け取り素直に抱き抱えた。
それを見てちょっとだけショック。マルタの方がお姫様っぽくて絵になる。
私のアレスなのに~
「姫様、先にお行き下さい。この先に馬車があります。」
「ロイドは?」
「私はまだ殺ることがあります。」
そう言うと、ロイドの両手のトンファーが消え、代わりに弧を描いたような珍しい形の剣が両手に出てきた。
あ、これアイテムボックスってやつか。ロイドも使えるんだ。とか感心してしまう。
「隠れずに出てきて下さい。お相手します。」
とロイドが言うと
前方の暗闇から何か出てきた。
鎧武者みたいのが…
これは、さっきの忍者の親玉?
中ボス登場。




