34、シーラとレイラ
フェルが旅立って1週間…私のストレスはMAXかもしれない。
毎日、毎日、キャロルがやって来る。
別に興味も無い話を延々とされる。
ロイドがこう言ったとか目があったとか仕事を手伝ってもらえたとか、どこを歩いてたとか、冷たい感じがいいとか、もう、うるせー。こいつ仕事してるのか?と思う。
なーんか苦手だよ、この子。
「キャロル、私、本読みたいから…」
アレスの膝の上で本を読む私。
もうすっかり開き直って、アレスにくっついてる私。だってアレスだし。
「えーーーつまらないですぅーーーー」
キャロルがふくれる。
ああ、何も喋ってくれなかったけど今思えばサリーとカーラの方が良かったな……
突然辞めちゃうなんて残念だよ。一応お世話になったのに、ご挨拶も出来ませんでした。
しばらくすると、エリザがやって来て勉強の時間になった。
前はダルくて嫌だったけど、キャロルの相手しなくて済むから助かる。
早くフェルが帰って来ないかな~。もう私の楽しみはそれだけだった。
フェルのいない日常はとんでもなくつまらない。
授業が終わる頃、ロイドが部屋に入ってきた。
「姫様、お勉強はお済みですか?」
「…はい。」もうぐったりです。
「おや、元気がありませんね。年の頃の近い友達が出来て楽しい毎日でしょうに…」
お、お前、やっぱり私への嫌がらせでキャロルを雇ったのか!?
「もう毎日毎日うんざりするくらい楽しいわよ。もううるさくって図々しくって最低限の礼儀もない、ノックも出来ない!ほーんと、あーたのしー!!」
ちょっとやけ気味に一気に話した。
嫌味に嫌味で返してしまった。ため息をつく。
すると、ロイドが目を一瞬丸くしたが、すぐに元の冷たい表情になる。
そして…
「姫様、まさか嫌がっておられますか?」と聞いてきた。
あったり前じゃん!お前の狙いどおりか!!?
……と思ったら、ロイドの様子が変だ。
「年の近いお友達がいた方がいいと、マルタのアイデアでしたが、間違っていたようですね。キャロルが仕事もせずに姫様の元に足繁く通っていたので仲が良いものかと…」
「え?」と私。
さっきの嫌味じゃなかったの!?
でも私は10歳でキャロルは15歳。この年頃の5歳差は結構デカイですよ。
まあ10歳位離れているマルタの方が気が合うけど…
「そう言うことであれば、次から厳しくします。今までは姫様の仲良しとして大目に見ておりました。それから今日は姫様に2つお話があります。本採用のメイドが予定より早く仕上がりました。」
そう言ってロイドが扉に向かい
「入れ。」
と言うと一子乱れぬ動きで二人のメイドが入ってきた。
「姫様、シーラとレイラです。」
ロイドが二人を紹介する。
「シーラです。よろしくお願いします。」
シーラは青い長い髪を後ろに2つに縛っていた。
「レイラです。よろしくお願いします。」
レイラはオレンジの髪にボブの髪型。
二人とも二十歳くらいだろうか。スタイルもよく美人。メイド服も似合っている。
おおーっこれぞ王宮のメイドって感じ。
良かった~。
「姫様、2つ目のお話ですが来週の姫様の11歳のお誕生日の件です。」
誕生日!すっかり忘れていた!!
私、もうすぐ11歳だ。




