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31、おじいちゃんの手紙

 おじいちゃんからの手紙。


届いていたけど処分されていたのだろう。


ロイドの奴ひどいことをする。


【リリアへ

お前が連れていかれ何日たったのか。

この手紙もおそらくお前に届くことは無いのだろうが手紙を出さずにはいられなかった。リリア、こんな事に巻き込まれかわいそうな子だ。

村で暮らすうちに平和に慣れ遅れを取った自分を悔いている。

私があの若造に不覚を取ったためにお前が拐われた。

私も王都に入ったが王宮には侵入できなかった。お前を王宮に残すのは心配だが、まだ時間があるはずだ。私は協力者を求め東へ向かう。

どうか王宮内にいるはずの大賢者フェルがお前を守ってくれるように祈っている…】


…所々焦げているが、何とか読めた。


おじいちゃん…心配してくれてたんだね。私は元気だよ。

大賢者(笑)フェルにも会えたし、勇者アレスだって(死んでるけど)いるんだよ。


おじいちゃん、東に行ったのか。何があるのかな?



 夜になりアレスと共にフェルの所へ行ってみる。


「リリアいらっしゃい~!アレス~」

フェルがアレスに飛び付く。

だんだん私じゃなくてアレスいらっしゃいになりそうね。


 アレスはしがみつかれても無言で佇んでいる。

もしかしたらアレスが生きている頃からこんな感じだったのかもしれない。

ちょっと大変そうだね。アレス。


フェルにキャロルの話をして、おじいちゃんの手紙を見せる。

「………。」

フェルは暫く考えて…

「東の国ジャパネオで侍達が屍兵を退けたと聞いたけど、バルクのおかげかもしれないね。」


「ジャパネオ…?」

何か日本ぽい。侍もいるの?


「屍兵は、エターナルの不死軍団と他国に恐れられているからね。他の国はほぼ我が国の手中なんだよ。抵抗した国は屍兵に滅ぼされ、懐柔された国はリリアの姉姫達の嫁ぎ先になった。海の向こうで進撃を遅らせていたジャパネオはまだ受容も降伏もしていない。勿論、本格的に攻めている訳じゃない。揺さぶっているだけなんだ。でもバルクが海を渡り、おそらく屍兵のコアの破壊の仕方を伝えたんだろう。屍兵が少数であればこれで何とか防げる。だけど屍兵は大量にいる。滅ぼした国の人も材料になってしまうからね。数で圧倒される可能性が高い。」


え…何か深刻そう…。そんなことになってんの?

私の顔を見て、深刻そうだったフェルが表情を変える。

いつもの穏やかな顔に戻った。

「あ、心配しちゃうよね?ごめんね。バルクは強いから大丈夫だよ~。それにまだ何年か余裕があるから、アレスが助けてくれちゃうかも~。」


急に楽観的なことを言う。

私を安心させる為かもしれない。でもちょっと根拠の無さすぎる感じ。死んでしまった勇者が助けてくれるかもとか…何年か余裕があるってのも…

フェルの願望なのかもしれない。


 フェルがアレスにスリスリしはじめた。

「アレス~早く目を覚まして~。君がかえって来るまでボクに出来る事はやるから早く帰って来て~」

スリスリ))))


「フェル…もしかして蘇生って魔法があるの?」

アレス様、生き返っちゃうの?


「え?やだな~そんなの童話の中だけだよ。一度死んだ人は生き返らないよ。当たり前じゃない。」

めちゃ真顔で答えられた。


「それから、ボクちょっと出掛けてくるね。2週間くらい留守にするよ~。」


突然??フェルがいないのは考えられない!

「ど、どこに行くの?私も行きたい。」


「さすがに今回は無理かな~。日数かかるし、居ないのばれたらロイくん困るでしょ。心配しないで~。バルクに会いに行くだけだから…」


「えー!おじいちゃんに会いに行くなら余計に行きたい」

思わず言っているが自分でもわがままだってわかります。


「リリアはアレスとお留守番してて~。それに新しいメイドの子、きっと君のためにロイくん用意したんじゃないかな~」


「は?」


「そうじゃなきゃ、教育されてないメイドを1ヶ月とはいえ王宮に入れないよ~。ロイくん、お礼のつもりかもね。」


「お礼?何の?」


「ま、とにかくお土産買ってくるから、待っててね~」










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