30、元気なキャロル
「姫様~なんか見つけちゃいました~。」
キャロルが元気に部屋に入ってきた。
あれ?ノックは?
「さっきごみ捨てに行ってきたんですぅ。あの本宮近くの大きい焼却炉ですぅ」
知らないよ。行った事ないから…。
「そ·こ·で、見つけちゃいました~。姫様宛のお手紙。」
手紙?
「未開封っぽいし、ちょっとまわりが焦げてるけど読めそうですよ~。焼却炉の外側にうまく張り付いてて、他にも手紙の束の燃えたのありましたが無事なのそれだけでーす。焼却炉の奥まで行ってたらとても無理だったと思います。姫様、運がいい~」
う、うん。なんだろう。このノリは…
「大丈夫です。誰にも言ってませんよ~うふふっ…で、差出人のバルク様ってどんな殿方ですか~?」
差出人のチェックしてるんだ。秘密にしてくれたのは良かったけど、ラブレターだと思ったんだね。
「私のおじいちゃんだよ」
「えーーーーーーー!」
キャロルがへなへなってなった。
「ううっ残念です。素敵なコイバナを聞けると思ったのに…」
この子はよくしゃべるけど…いいのかな?
「ねえキャロル、前の人達は私とあまり話すの禁じられてたっぽいけど、あなたはいいの?」
するとキャロルは"しまった"と言う顔をして口を押さえた!
「私は田舎者でこれから来る人と違ってちゃんと使用人の教育を受けていないから、姫様に失礼がないようにあまり余計なお喋りするなとロイド様に言われてました~!」
ふっ相変わらずロイド、キツイ事いうね。
「姫様~内緒にしてもらえますか~!?」
「いいよ。その代わり手紙の事も絶対いっちゃダメだよ。」
私もしたたかになったものだ。
「了解でーす。」
嬉しそうにキャロルが笑う。
ふとキャロルの髪留めが目の入る。
「キャロルそんな髪留めつけてたっけ?」
どこかで見た気がする髪留め。
「はい。これはその手紙を見つけた時に一緒に見つけました! 焼却炉の脇に落ちていたんです。シンプルだけどかわいいからもらっちゃいました。誰かの落とし物かもしれませんが、内緒にしてれば分からないです。これも出来たら内緒にしてほしいです!」
キャロルが元気に答えた。
それってパクったってことだよね?
あ、でも捨ててあった可能性もあるか……
「う、うん。いいよ。」
「ありがとうございます。じゃあ姫様また」
嵐のようだった。なんかバタバタした感じの娘だった。よく王宮に採用されたな。よほど募集しても誰も来なかったのかな?
そしてふと思い出した。あの髪留め、サリーがよく似たのを着けていた気がするな…。




