292、これからはずっと一緒
新居に戻ると住居の方の部屋はすっかり片付けられていて、一階部分のお店の内装にも取り掛かっているようだ。
チーズケーキ屋さんだとアレスは言っていたがカフェのような感じになるらしく、カウンターや机も用意されていた。
アレスも加わり大工さんと内装の相談をしながら進めているようだ。
ちょっとステキな内装になりそうで感動してしまう。
女の子が喜びそうだ。
この異世界にこんなステキなお店はないかもしれない。
もうカフェだね。
チーズケーキと紅茶のカフェ
ここでアレスと一緒にチーズケーキと紅茶のお店をやっていくのだ。
アレスが思っていたのと違うかもしれないけど、これはこれでOKでしょう。
ステキなお店に開店が楽しみになってきた。
赤字になったとしてもアレスが迷宮に潜ればすぐに補填出来そうだし、自由にやれちゃいそう……
ステキなエプロンと食器もいるなあ……
夢が膨らんでいく。
「リリア、アレスからお店を出したいと言われた時に聞いたんだが、リリアは以前私とマルタにも手伝ってほしいと言ってたそうだね。お父様は時々手伝いに来るよ」
「え!?」
それはやめて欲しい
どこの世界にカフェの手伝いに来る国王がいるのか……
ああ、でも執事姿はやっぱり似合うよね、お父様。
「ついでに迷宮にも入ってみたい……」
それも国王だからやめてください。
「お母様はこの後、暫くは来られなくなると思うからリリアが転移魔方陣を使って会いに来てあげてくれ」
「え? 会いに行くのは勿論だけど……」
「今日はお母様はどうしても来ると言って聞かなかったから多目に見たが帰ったら大人しくして貰う……」
「お母様どうかしたの?」
「赤ちゃんがお腹にいるんだ」
「え!? 四人目!!」
「リリアが結婚して寂しいから女の子が欲しいそうだ」
「オファニエルもまだ小さいのに?」
もしかして私が急いだらお母様の赤ちゃんの同級生が誕生!?
それにしても四人目とは、お母様頑張るなあ……
夜になり忙しかった日が終わった。
ご飯も差し入れて貰って私って何もしてない。
お店の内装をしてくれる人達は明日も引き続き来てくれるそうだ。
こんなに何から何までやって貰って良いのかと思ってしまう。
「今度こそやっと二人きりだね」
アレスが言った。
「賑やかだったね、ごめんね」
「いや、こんなにして貰ってありがたい事だよ。俺も焦りすぎててごめん」
「私、一度目の世界でアレスと結婚したけど何もお嫁さんらしいこと出来なくて……今回は頑張ってアレスお嫁さんになるからね」
「別に頑張らなくても良いよ。出来ることから少しずつだね。俺だって一度目の世界で夫らしい事してないし……二人でゆっくり始めて行こう。これからはずっと一緒だから焦らなくて良いんだ」
アレスの優しい言葉に胸が熱くなる。
そうだね、アレス。
私達はお互いを確認するように抱き合った。
これからはずっと一緒。
次回最終話予定となります。




