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289 その後のエターナル到着

 暫くフェンリルさんが走った後

正気に戻った私はアレスに質問をぶつけた。


「アレス、どこに向かってるの?」


「どこって……エターナルだよ」


エターナル?


 私達って結婚式前に話し合いが全く出来てない! 私達ってこれからエターナルに住むの?


「私、手ぶらで着替えもないよ!」


「大丈夫。用意してもらったのを持ってきた」


「用意? 持ってきたってどこに?」


「結婚式終了と共に連れ去るつもりだったからエリザに頼んで用意しておいて貰った。俺のアイテムボックスに入ってる。足りない物があったら後で揃えよう……」


「結婚式終了と共に連れ去るつもりだった!?

何で? 結婚式さえ終われば自由に会えるでしょ?

あとアイテムボックスにそんなに荷物って入る物なの?」


私のアイテムボックスひとつしか入らないけど、アレスの大容量?


 するとアレスは少し辛そうな顔をした。


「もう誰にも邪魔されたくなかった……早く二人きりになりたかった。限界だ」



「だって年末も新年も会ってくれなかったのアレスだよ!!」



「会ったらもうリリアに触れたいのを我慢できなくなる……もう結構いっぱいいっぱいだった。結婚式の花嫁姿を見るのも辛いくらい……結婚式が終わるまでは少なくとも良い婿でいようと思っていたから……」


えーっと……


 アレスも本当は私に会いたかったって事?

ちょっと嬉しい……いや、だいぶ嬉しい……



 あっという間にエターナル付近まで来た。

馬車だったら数週間かかるとこだっけ? もっと?

1日かからずに到着とは、フェンリルさん速い!



 エターナル手前でフェンリルさんはアレスに対し

「あとは二人きりにしてやる……」と言って何やら、いやらしい笑いを浮かべて森へ帰って行った。


 アレスは装備変更で服装を変えられるのか、気がつくと花婿姿ではなく地味目の服装になった。


 私にも地味目のフード付きコートを被せた。


「そのドレスだと目立っちゃうから少し我慢だ……」


それから私の顔をじっと見た。


「花嫁姿すごく綺麗だったよ。リリア……強引に連れてきてごめん」


 そう言って私のおでこにキスをした。


あれ? おでこ? と思ったら……


次は頬に


次は唇に


次は……


「ちょっと待って! ここじゃダメでしょ!?」

 

 アレスに触れられるのは嬉しいけど私は真っ赤になってパニックだ。


「あ、うん……ごめん」


 アレスは私の手を引きエターナルの街への門に向かった。


重厚感ある分厚い城壁はどこにもない。簡易な木製の壁があるだけだった。


馬や人が行き交い賑やかな感じだ。


門の所でアレスは通行証のようなものを渡して街へ入った。


思えば歩いて街に入るのは初めてだ。



 思わずキョロキョロしてしまう。

人とぶつからないようにアレスがしっかり手を握って誘導してくれる。


賑やかだ。活気がある。


 エターナルは物流貿易の街になったんでしたっけ?

エターナルに似た違う街だ。

 遠目に王宮が見えたが、あの場所はもう王宮では無いのだろう……


 私が住んでいた後宮はあるのだろうか? ここからだと全く見えない……



思えば色々な事があった場所だ。懐かしい……


でも私がいた頃と違う気がする。違う世界だから当然かもしれないが……


 王宮が無かったら、ここは本当にエターナルなのか? と迷うくらいだ。




「こっちだよ」


アレス引っ張られどんどん街の中に入って行く。


途中『勇者広場』を通った。


勇者の像はそのままだ。おじいちゃんが持ち去っていない状態で立派に立っている。

ただ勇者の剣の台座には何も無い。


 勇者の剣は今もアレスの手に在るからだ。


広場ではマルシェがあって果物や食品が売られていた。


子供も遊んだりして平和そのものだ。



 時々、鎧の人たちが歩いているのを見るとドッキリしてしまうが、鎧の人達はエターナル迷宮を攻略に来た人達のようだ。(これがゲームとかである冒険者か?)


 当たり前だけどもう何処にも屍兵の姿は無かった。


胸がじんと熱くなった……


 もうエターナルは魔王城でも屍の国でも無くなったんだ。


屍国はもう何処にも無い……。

安心した。

何か重いものが取り除けたような気分だ。












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