28、新しいメイド
「はじめまして、お姫様。キャロルです。」
ロイドが新しいメイドを連れてきた。今日のロイドは金髪七三執事男に戻っている。
何でもサリーとカーラが辞めてしまったそうだ。
いきなり二人辞めるってどんなブラックな事があったのか。
「彼女は仮採用で、ここには1ヶ月の予定です。1ヶ月後に本採用の者が二人参りますので、それまでの繋ぎとなります。」
うわっ!本人の前で繋ぎとか言っちゃってるよ。相変わらずのキツさ。この前見たロイドは幻だったか。
「姫様に失礼の無いように仕えて下さい。」
ロイドが一番失礼かもね。
「そう言えば姫様、あんなに嫌がっていた屍戦士を部屋に入れたんですね?」
あ、屍戦士嫌がってるって認識はちゃんとあったんだ。そうだよね~分かってて屍兵を屍戦士にしたんだよね~。
「誰かさんのおかげで少し慣れたの~。でも、もうこの屍戦士だけで充分よ~増やさないでね~ホホホ」
不自然に笑ってみた。
「偉いですわ。リリア様!」
後ろに控えていたマルタが声をあげる。
「苦手だったものに挑戦して大丈夫になったんですね。偉いです。努力家です。」
マルタが褒めちぎり始めた。
このやり取りに慣れていない来たばかりのキャロルはキョトンとしていた。
キャロルは暫くマルタに仕事を教えてもらうので一緒に行動するらしい。
「本採用目指して頑張ります!」
と宣言した。
本採用の可能性あるんだ…
キャロルは元気な15歳の女の子だった。
クリーム色の髪の毛でマルタの真似なのか、二つに分けたお団子頭だ。顔は派手ではないがかわいいのではないかと思う。
何でも仕事を探しに王都に来たばかりで、職業紹介所に行ったところ王宮の仕事を見つけたらしい。
本来王宮の仕事は身元のはっきりしたある程度生まれの良いものにしか就く事の出来ない筈なのに今回は急遽面接だけで雇ってもらえた。とってもお給金もよく是非このまま雇って欲しいそうだ。
「いや~屍兵って驚きしたよ~田舎で見たことなかったからびっくりです」
驚くだけ?怖くないの?
「それにロイド様、めっちゃカッコいいですね~。面接で初めてお会いしたとき息止まりましたよ~。あんなカッコいい人、私の田舎は勿論、街の中でもいませんよ~!王子さまかと思いました!」
そりゃ王子様に失礼だよ。いないけど…。
まあ、人の好みは色々だからね。そして恋する少女は盲目?だから屍兵とか気になんないの?スゴいな。
ロイドが誉められているのが嬉しいのかマルタが頬を染めながら頷いている。
あなたの彼氏狙われてますよ。




