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283、再会!私はリリアだよ

 連れて行かれた場所は兵士の宿舎だった。


しかも城内の……


ええーーーーー!? 近っ!



 宿舎の玄関近くで立ち話をしていた兵士たちが私達に気が付く。


「ラファエル様、遂に姫様を連れて来てくださったんですね!」


「姫様、お待ちしてたんですよ!」


 嬉しそうにラファエルと私の周りに集まる。


なんか歓迎されてる?


「アレス様、部屋かな?」


「訓練所から戻ったばかり、いる筈だ。俺呼んでくる」


一人の若い兵士が宿舎に入っていった。


すると他の兵士がワラワラと集まってくる。


宿舎の中からも外にいた兵士も……


クチコミで増えて言った。


「おい、姫様を囲むなよ! 道開けとけ」


なんだか仕切っているヤツもいた。


 何これ?


 そしてラファエルはよくここに来ているのかみんなと親しそうに話している。

ラファエルが私を連れて来ないのは妹を"嫁に出したくない兄"のような言われ方をしていた。

 ラファエルはここでも板挟みになっていたらしい。

兵士達から散々私を連れて来てアレスに会わせてやってくれと言われていたっぽいのだ。

ごめんよ、ラファエル。


 それにしても兵士たちの前でのラファエルは別人だ。

とてもエロ犬王子に見えない。


化けっプリがお父様と共通している気がする。


ちゃんと良い王子を演じているようだ。

バカ王子と思われて無さそうで良かった。




「アレス様を連れてきたぞ!」


さっきの若い兵士が勢いよく宿舎のドアを開けて出てきた。


周りの兵士達から歓声が挙がった!


いつの間にか兵士の数は増えて100人以上に取り囲まれていた。


ちょっと怖いよ。



 若い兵士の後ろから黒髪の少年が出てきた。


美しい黒髪に黒い瞳。

……懐かしい私のアレスだ。

元気そうだ。


 一度目の世界で大泣きして別れた時からアレスの姿は全く変わらない……

私の大好きなアレスのままだった。


久しぶりに見たアレス!


この世界になってからの初アレスに緊張してしまう。


今すぐ飛び付いて抱き締めたいが足が動かなかった。


「うわ、なんだ? こんなに大勢いる……」

兵士の集まりにアレスがビックリした後、アレスが私を見た。


あ、そうだった。

アレスは全く変わらないイケメンだけど私は変わってしまったんだ。


 前のリリアと違って栗毛に茶色目ではないし……今は金髪に深緑の瞳、何よりも大きくなった。

もう小さなリリアではない……。


 アレスは私をリリアと認識してくれるのか……?


何か目印でもあれば良かったのに……

合言葉とか?


そこで私は思い出した!


アイテムボックスオープン!!


ある? あるかな?


一度目の世界でアレスに貰った指輪を出した。

今の今までこの指輪の事を思い出せていなかったけど入っていて良かった。



アレスに指輪を差し出した。


 ほら、私リリアでしょ? と言わんばかりにアレスに見せたがアレスは固まったまま動かない。



あれ~!? 駄目だった? 何か私リリアじゃないの?


じっと私を見たまま動かないアレスの様子にちょっと涙目になった。


周りの兵士達も静かになり固唾を飲む。


「なんだよアレス、リリアがキレイになりすぎて緊張してるのか?」

ラファエルがアレスの背中をバンと叩いた。


「あ、う、うん……ビックリした……すごく……すごく綺麗だ……」

アレスの頬が赤くなった。


「リリア……ただいま……大きくなったね」

アレスの優しい声だ。

この声が好き。

しゃべり方も好き。

その優しそうな瞳が好き。

仕草も好き。

サラサラの髪も好き。

表情も好き。


もう、全部、全部大好き!!


 私がアレスに抱きつくと周りの兵士達から大歓声があがる。

地響きしそうなくらい。


こんな大勢の前でアレスに抱きついてしまった! と恥ずかしくなる。

でもアレスも私に抱きつき返してくれて離してくれない。


 気が付くとさっきより人数が増えていて「前の奴座れ」とか怒鳴っている人もいる。


 周り中から拍手がおきる。

お城の方から覗いている人もいる。


私達の周りの人全てが大歓声と拍手で祝福してくれた。


なぜこんなに人が!?


アレスの事って迷宮調査団以外に内緒じゃなかったの!?




 私は嬉しさと恥ずかしさでどうして良いかわからず、でもアレスの腕の中で幸せを感じた。



 アレスが無事だった。

そしてもう一度会えた事を感謝した。



嬉しい涙が止まらなくなった。












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