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282、やっぱりロイドだ

 嬉しくて嬉しくて勢いでお父様に会いに行った。


 お父様にはアレスの事を”秘密”にされてから会っていなかった。

お忙しい人だし意地悪されて私が会いたくなかったから……



 お父様は執務中だったがすぐに側近を下げてくれた。


「お父様! ありがとう!! 大好き!!」


 私はお父様に抱きついた。

ひどい現金な娘だ!


お父様は私を撫でながら


「大きくなったねリリア、リリアに抱きつかれるのはいつぶりかな……?小さかったリリアがもう立派なレディだね」

美しい微笑みを見せてくれた。


「お父様! 私の婚約者が成瀬和也だって聞きました。『和くん』だと……ありがとうお父様!!」

 私が感激のあまり泣きながら言うと……


あれ? と言う顔をした。

「大分前にお母様に聞いた筈では? お母様がリリアに伝えたと言っていたぞ……」


お父様……? 私がもう知ってると思ってた?



「まあ、おかしいとは思ってたよ。聞く話ではリリアが機嫌が悪いって事だから、マリッジブルーかと思っていたよ。お母様がちゃんと伝えきれていなかったようだな……かわいいな、お母様は……」



相変わらずお母様のミスには甘い。

「お父様がアレスの事を秘密にするからややこしくなったんです!」


 ちょっと怒り気味で言ってみたがさっき"大好き"と言ったばかりのせいか効果は薄いようだ。


「……ラファエル……おいで」


いつの間にかラファエルが部屋にいた。


「ラファエルが元気がなかったのはそのせいだったか……すまなかったね。ラファエル」

お父様がラファエルを撫でた。


「ラファエルが"秘密"を守って板挟みになります。かわいそうでしょう!」

ラファエルに怒ったり無視してしまった私が言うことでは無いが……


「そうだね、ラファエルは、そろそろ自分で考えて自由で良いんだよ。君は私の息子なんだから……」


「俺、自分で考えたよ。お父様の言うことは絶対だ!」


「……そうか、リリアが結婚したら冒険に出るんだろう? いろいろ見て自分で判断出来るといいな……」


「うん、冒険に出る。お父様みたいに強い男になる。そしていつか元本体(フェンリル)を倒す!」


 お父様は優しく笑ってラファエルを抱き締めた。


 フェンリルさんを倒す!!?

どうしてそう言う発想になるんだラファエル?

まあ、ラファエルの事はとりあえずほうっておく……



「お父様、どうしてアレスは前世の名前なの?」


「アレスの希望だよ。平和になって勇者の事は忘れ去られているが、それでも勇者を知る者は多い。アレス·エル·エターナルと名乗っていたら勇者だとバレる可能性がある。名前を変えるのは勇者を引退して平和に暮らしたいからだそうだ」


ふ、ふーん……

アレスの本名を今知ったのは黙っていよう……



「本当はね。リリア……アレスがこの世界に帰ってきた時に私は使者を出して迎えに行かせたんだ。視えていたからね……」


ええ!? お父様(ロイド)にしては寛大!


「でも会ってみたら彼は勇者を辞めると言う。私は彼を貴族に迎え入れるつもりだったがそれも断ると言う」


何? 私に内緒で会ってるんかい!?


「だからね……そんな収入も無い男に娘はやれないと言ったんだ!」


ごもっともだけど酷い!!


「そうしたら『生活を安定させてから迎えに来ます』って言うんだ。まあ、当たり前だな……」


まあ、結婚後の事もあるから仕方ないのかな……?


「私はリリアに苦労はさせたくなかった」


ん? 苦労?


「その日の暮らしでいっぱいのような生活では駄目だ! 娘はやれない」


心配してくれていたんですね。


「だから持参金500万G持ってくるまではリリアに会わせないと言って、ついでに期限もつけた15歳の誕生日迄だと……」


はあ!?


持参金て女性側が用意するものじゃなくて? 異世界だから風習違うか? 結納金みたいな事?


10Gが確か100円くらい?

じゃあ500万Gって5000万てこと?

普通の庶民が稼げる金額じゃあ無いよ!?


それ『娘はやらん』って言ったのと同じだ!!


「するとアレスは困るだろう? 私だって鬼では無い、だから提案したんだ」


提案?


「エターナルの地下ダンジョンに潜ってアイテムを取ってきたら、ルカレリアの調査団が買い上げてやると……」


ブラック臭しかしない!!


「ルカレリアの調査団にはアレスの存在を口外させないように魔法契約させ徹底的に秘密とさせた。調査団の成果は実はすべてアレスの成果だ。それまで他国も含めてエターナル地下迷宮は最高で20階までしか進めなかったがアレスの参加でルカレリア調査団は一気に50階まで行けたんだ。常に第4形態のバロールの剣を使わせたから私も監視できたし、珍しいアイテムも手に入った。アレスは数回潜っただけで持参金準備が出来、自分の店の用意も出来た。まあ、今後も少しは手伝って貰うつもりだ。婿だから……」


 働かせて……その上、剣を通して見張ってたの?

そして今後も使う気だ!


……お父様って……お父様って……やっぱりロイドだ……。酷い!


 まさか右目を貰った事でこんなことになるとはアレスも思ってなかったろう……



「思ったより早く準備が出来たのでアレスはもうルカレリアに入っている。会いたいか?」


「会いたい!」

なんかいろいろ突っ込みたかったけど余計な事はもう言わない! アレスに会いたい!!



「ラファエル、連れて行ってやってくれ」


「はい、パパ!」

ラファエルが嬉しそうに答えた。


















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