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281、私の婚約者は?

 ナセさんて……誰?


 私はもうそれ以上話を聞くことなく部屋に戻った。


部屋に戻って後ろを見たらラファエルがいなかった。


おっぱいタイムを邪魔されて怒っているのか……?


まあ、どうでも良いか……



 結婚相手がアレスじゃない!!


これが一番重要な事だ!!


どうして……?


どうして?


どうしてアレスじゃないの?



 お父様おかしんじゃない!?


 私とアレスの事を知ってて別の人と結婚させる?

そんな馬鹿なことがある?


しかも商人て? 商人てなんだよ! 地味だな! (全世界の商人の方スミマセン)



何かルカレリアにとって有益な人物なのか?

それとも何かスゴいものでも貰った?


アレス以外の人に私をお嫁に出すなんて、あり得んでしょう!?


 それから数日間私の心は曇ったまま、ほぼ誰とも会話をしないで過ごした。


みんなが私に「おめでとうございます」と言ってくるが何がめでたいのか!


 ウエディングドレス選びも嫌で黙っていたらお母様が決めてしまった。


 ドレスの仮縫いも嫌で抜け出したりしたがすぐにシーラとレイラに捕まった。


どうしたらいいのかわからず日にちだけが過ぎていく。



 年が明けて誕生日が来たら結婚? もう1ヶ月を切っている。早すぎだ。


私が一人で脱走してアレスを探すことなんて出来るだろうか?

アレスの方から来てくれないと、と思っていたが無理なら見つけに行かないと……



 ラファエルは私の周りをうろうろしていたがここしばらく知らないふりをして無視していた。



「リリア~なに怒ってるんだ? この間から機嫌悪い……」

ラファエルが堪らずに時々話しかけてきたがずっと聞こえ無いふりをしてきた。


 でもそれも限界だ。


ラファエルは私の仲間だと思っていたのに……


「裏切り者……」


「エエッ!? 俺が何した!?」


「何もしなかったのが駄目じゃん!! あんたは私とアレスが結婚したときの立会人で証人なのよ! だからお父様が別の人と私を結婚させようとしてたら止める立場にあった筈なの! それが何? お父様の言うことばかり聞いて! あんたはもともとアレスに隷属してたでしょう! 義理は無いの?」


「俺……フェンリルの記憶もう無いし……リリア、怒りっぽい……」


 ラファエルが目線をそらしている。最近いつもだ。(犬は敵意がないと目線をそらすからか?)


 私はラファエルの胸ぐらを掴んだ。


「ラファエル、少しでも悪いと思ったら私の逃亡を手伝いなさい!」


「え……パパにも相談して良い?」


「このバカ犬ーーー!!」


「リ、リリアって狂暴……アレスにやめた方がいいって言ってくる……」


ん? アレス……?

しかも……()()()()()!?




 ちょっと考えてみよう。


落ち着け私……



 お父様が本当にアレス以外の人と私を結婚させるものなのか?


お父様は一回目の世界で大好きなマルタと結婚するのに子供を差し出すと言わされるほど大変辛い目にあったんだ。


 だったら娘の私に好きでも無いヤツとの結婚を強要したりするのか?





いや……それは無いな……。




「……ラファエル……言い過ぎてごめんね」


ラファエルの頭を撫でる。


 本当に怒りすぎたかも……

もしかしたらこの子は"秘密"とか言われてとても困っていたかもしれないのに……


 するとさっきまでへこんでいたラファエルの尻尾(架空の)が一気に上を向いた。


「仕方ないヤツだな! 昔からリリアは何するか分からないヤバイ奴だけど許してやるよ! 俺って心が広いから」


「ありがとう、ラファエル。……ところで……アレスの事は"秘密"だったよね?でも私の婚約者に対しては"秘密"じゃ無いよね?」


「……う、うん、そう……だね?」

ラファエルはちょっと考えてから返事をした。


「その人ってもうルカレリアに来てるの?」


「うん、来てる」


「私の婚約者の名前は?」


「名前はアレ……違った……えっと……カズヤ、ナルセだったと思う」



 私は息を飲んだ!




ーーーーーーーーーカズヤ、ナルセーーーーーーーーーーー!!




 成瀬和也!! 和くんだ!





よっしゃーーーーーーーーーーーーーーー!!


そうか、そう来たか!!


そうだったのか!


ナセさん? 

”ル”が抜けてますよ。お母様!

さすがマルタだ。





ありがとうお父様!!


ありがとうラファエル!! 怒ってごめんね。











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