280、ご婚約おめでとうございます!
オファニエルをだっこしてほっぺをスリスリしてみる。
しっとりモチモチだ!
かわゆす~!
私だってもう抱っこされる方から抱っこしてあげる方になったのだ。
身長よ、感謝。
成長期万歳!!
ただし胸の寂しさは何故だろう……なぜお母様のようにならない?
隣にラファエルがいないと思ったらお母様に抱きついて胸のあたりにスリスリしていた。
おいっ! チビリルの時からおっぱい好きだな!!
でもあんたもう人間だし大人でしょ?
さすがに14歳の男の子の行為では無い!
このバカ犬!
「ラファエルはいつまでも甘えん坊ね~」
お母様がラファエルの頭を撫でる。
嬉しそうに顔を埋めるラファエル。
それお父様の前で出来るのか? ラファエル……
ドン引きしているとメイドさん達から「かわいい~」と言う声がもれた。
ええーー? これ許されるの!!? ダメだろ?
今、かわいいって言ったヤツ出てこい!
と思ったら、全員微笑ましくにっこりとしてラファエルを見ている。
ん? ……あれ?
私が厳しいのかな?
そっか、私が厳しいだけか!
……
ーーーーーーーーーて、そんなわけ無い!!
オファニエル……あんな風にならないでね。
「お母様、お聞きしたいことがあります」
オファニエルをおろしてバカ犬を退かす。
ラファエルの長めの髪を掴んでどかしたらラファエルがよろけて転んだ。
男が髪を長くするな!!
(偏見? でもルカレリアの男子は髪を長くしてる人多いのよね。なんか嫌)
「何するんだよ! どうしてリリアはそんなに乱暴なんだよ!」
倒れた先にサリーとシーラがいた。
二人が手を貸すとラファエルはサリーに抱きついた。
つまりおっぱいのデカイ方に行ったのだ。
「お前……デカけりゃ誰でも良いのか!?」
思わず姫らしからぬ声が出てしまったがラファエルをサリーから引き剥がす。
「そんなこと無いよ。お母様が一番良いよ」
悪びれずにケロッと言った。
これがまた「かわいい」って声が聞こえた。
みんなどうかしてるよ!!
っ目を覚ませ!
「聞きたいことってなあに?」
お母様が優しく喧嘩(?)を止めてきた。
「私の婚約の話です。相手の方は? どう言った方でしょう?」
これで『勇者だったアレスさんよ』と聞けたら安心満足だからね。
「まあ、お父様から婚約の事を聞いたのね? でもお相手の事を聞かなかったの?」
「はい、どういった方でしょう?」
アレス、アレスこい!
「何でも商人をしてらっしゃる方で、お名前は確か……ナセ……? ナセさん!」
私は固まった。
はあ!? ーーーーーーーーーーーーーーー!!!?
誰だよ?
メイドのみんなから口々に
「姫様、ご婚約おめでとうございます!」
お祝いの言葉が虚しく響く。




