表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
279/295

278、秘密

 あわててお父様に謝ったがちゃんと謝れてない。


「ロイド……?」

 お父様が呼び捨てにされて名前を出されたことを不思議に思ったのか呟いた。


ああ~!! お父様の名を呼び捨てにするなんて、なんて失礼な事を……


私はどうしていいかわからなくなった。


 もういっそガッチリ叱って貰ったほうがいいかもしれない。



 大概のことはラファエルが助けてくれるがお父様に対しての無礼はラファエルは許さないだろう。

ラファエルは目線をそらしたまま黙っている。



「この右目は普通の物は見えないが……不思議なものが見えるんだ」


 お父様がゆっくりと語り出す。


突然何を言っているのか……?



「時々……黒髪の少年の姿が見える。彼はいつも眠っていた……」



ええ!? 黒髪の少年てアレス? 眠る少年てアレスの事?


驚く私を見てお父様が今まで見たことのない黒い笑みを浮かべた。



「ずっと私を避けていたのは、私が嫌いだからかい?」


アレスの話(?)から戻されてしまった。


「お父様のことは大好きです。ただ……」

私は口ごもる。


「ただ……? "ロイド"じゃないから?」

お父様が質問してきた。


 今の今までお父様にロイド要素は無いと思っていたのに、さっきの笑い方はロイドそのものだった。


何だろう? そりゃ本人だけど違和感。


「参ったね。反抗期の娘とはこんなものなのか……ずっと良い父でいたというのに、まさか()()がこんなに私を思ってくれていたとは……」


お父様の表情が変わった。


え? ええーーーーーーーーーーーーー!?


それは見たことのある、かつていつも見ていたふてぶてしい顔のロイドだ。


お父様じゃない!!?


「つまり姫様は優しい父より厳しく育ててくれた執事のロイドがお気に入りだったんですね。そこまで姫様に思われていたのは光栄ですね」


「ま、まさか記憶があるの?」


「記憶が戻ったのが自分達だけだと思いましたか?()()?」


「ロ……ロイド……?」


「ははっ……お父様を呼び捨てはよくないな、リリア」

いつもの口調に戻った。


「いったい……いつから……?」


「いつからもなにも……リリアが生まれた時にはもう……」


「最初から!?」


「リリアは12歳から記憶が戻ったんだったね。ちゃんとラファエルが報告してくれたよ」


ラファエル!!

私はラファエルを見た!


ラファエルは目線をそらしたままだ。


こいつ、グルか。


 ずっと一緒にいた頼れる兄ラファエルは所詮はお父様の犬!!

だってもともと犬だもん!


「酷いよラファエル。どうして教えてくれなかったの?」


「き、聞かれてないから……」


聞かれてないって……お父様にロイド要素があったら聞いていたかもしれないけど、無理だよ。気がつかないよ。


 それほど完璧な化けっプリだったよ!


「お城の中のメンバー見ておかしくなかったかい?」


「まさかみんなにも記憶が……?」


「それは無い。信用出来る人間か分かりやすいから採用していっただけだったんだが、結果エターナルの人材が増えてしまった。今のところ前の世界の記憶があるのはこの三人だけだ」


そっかーーー、お父様が面接してるんだから、お城の人材はそうなるのか……


「ちゃんとリリアにも『リリア』って名前をつけたしね」


「私の名前!? だからリリアなの?」

もっとカッコいい名前をつけてくれて良かったのに!


「あとは前の世界で考えていたルカレリア復興の構想が今のルカレリアの発展に結び付いた。記憶を持っていて正解だ」


そんなこと考えてたの?

「どうして記憶を持ってられたの?」


「どうして? リリアは説明できるかい? 自分の記憶があるのを……私だってチビリルに渡された指輪とラファエルの存在がなければ自分の妄想じゃないかと信じられない位だったが確かに『前の世界』存在していた。この世界が二度目だと認識出来る。

 一度目が終わるとき『姫様の意思の強さ』を感心し、可能ならば自分の記憶を保ちたいと願った。だがそんな事だけではおそらく無理だったろう……」


 まあ、確かに私もどうして思い出せたのかは不思議。

私の場合、柚子→リリア→リリアだから余計に凄いな。

でも私の場合は異世界から来たから?


「私が記憶を保っていられたのは右目のお陰だと思っている」


「右目……?エルシオンの第四形態に使われちゃった目……?」

ちょっとキモい剣の


「アレスがあの剣を使うと光景が見える。魔王を滅ぼしたのも見えていた」


ええーーーーーーーーーーーーー!? 繋がってんの?


「アレスが眠るとき何故かアレスは剣を出したまま眠りについた。だからアレスの無事も確認出来ていた」


アレスは、わざわざ第四形態にしたままの剣を出して眠ったの?

そしてアレスは無事なんだ!! これは嬉しい!!


「アレスは私に覗かれていたのに気がついたのかもしれない……アレスが剣を休眠させなかったお陰で記憶を保てたんじゃないかと思っている」


「アレスは? アレスはまだ眠っている?」


 お父様はにっこり笑って


「秘密」


と意地悪そうに答えた。



あーーーーーーー! やっぱり執事のロイドが良いなんて気のせいだった! 優しいお父様がいいです!!!










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ