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271、戻ってきた私


 その日は私達の12歳の誕生会だった。


 大勢の貴族や他国の商人が祝いの言葉を述べて珍しい物をプレゼントしてくれた。


 謁見の間とパーティー会場からは人が溢れ出す勢いだった。


お父様が王様になってからこの国の発展は凄かった。


観光だけだったルカレリアは魔術と工業の都市になっていった。


 お父様は外国の魔法使いや学者を招き入れて独自の魔法や魔道具の製作をしてルカレリアを発展させた。

優秀な人なら外国の人でも出世出来るとしてルカレリアには多くの人が集まった。

人が集まると物も集まる。更にそれが人を呼ぶ。

ルカレリアはこの十年で大国となった。


 今日も私達の誕生日にお父様に気に入られようと多くの客が来ていた。


お父様は美しく賢い王様として有名だったので、側室希望の女性も多くやって来る。


 お父様はそういった女性に会うことはなくお引き取りをしてもらっているのにどこかでお父様を見かけたという女性が毎月やって来る。


最近うんざりしたお父様は女性を城へ立ち入り禁止にしようかと本気で考えていたが大臣達に反対されたらしい。


お父様とお母様は15歳で結婚して今でもラブラブだった。

お母様の為にも絶対に側室は入れたくないそうだ。



 私とラファエルが退屈していたのに気がついたお父様が来客対応を打ち切った。


あとは頼む。と大臣に言い渡し私とラファエルを連れて会場の外に出た。



「待たせてしまったね。お誕生日は父様といっぱいお話がしたいと言っていたのにお客様が多すぎたね」


お父様が私を抱き抱える。



 お父様の事は大好きだが最近は私しか抱っこされることはないので少し恥ずかしい。


恥ずかしいからおろして、と言うと決まってお父様は抱き抱えが出来るうちはさせておくれ、と優しく微笑む。

私はチビなのだ。

歳の割には背が小さい。10歳以下に見られることが多い。


そのせいか体の小さな私をお父様もお母様もいつまでも子供扱いして溺愛してくる。


それに対して兄のラファエルはお父様に似ているのか歳の割には背が高い。


 同じ12歳なのにラファエルは15歳位に見られる。ラファエルは一人で街に行っても怒られない。

私はそれが悔しくてならない。


「ラファエルへの誕生日プレゼントだよ」


庭に馬が繋いであった。白く美しい馬だ。


「ありがとうパパ! カッコいい馬だね」

ラファエルが喜ぶ。


私はほっぺをふくらませた。


「またラファエルだけーーーー? 去年はラファエルだけ剣をもらったしーーー!」


するとお父様が私のほっぺをつつきながら


「だってリリアには危ないだろう? 代わりにリリアにはマルガリータお母様の選んだドレスがいっぱいあるよ。」


お父様の綺麗なお顔でにっこりされると許してしまいたくなる。


「毎年私だけドレスなんですけど……」

ちょっとすねてみせた。


「でもせっかくだから見てきます」


 そう言ってお父様のだっこから降りてお母様の部屋へ向かった。


ラファエルはそのまま残りお父様と話をしながら馬に乗っている。

ラファエルの指にはお父様とお揃いの指輪が光っている。


なんかラファエルだけひいき。


 ラファエルなんて今だにお父様とお母様をパパとママって呼ぶくらい赤ちゃんの癖に、人前だと立ち回りがうまかったり大人のような振る舞いをすることがある。私はそんなラファエルが最近苦手になってきた。


「あれ? リリア姫? パーティー終わったの?」


途中で私とラファエルに勉強を教えてくれているバーン先生に会った。


 バーン先生は外国から来た人で、エターナルという国から来たそうだ。

エターナルは何年も前に魔王がいてそれを倒したとされる、おとぎ話のような国だったが、魔王と言うものはもう出てくる心配がなくなりエターナルの王制は無くなって今では物が出入りする物流都市になったそうだ。


 何でもエターナル城の地下に巨大な迷宮が発見され、そこから不思議なアイテムが見つかるらしい。

 今までもあったらしいがエターナル王家の独り占めだったようだ。

最近まで封鎖されていたらしいその迷宮は各国から冒険者を引き寄せた。

ルカレリアからも調査団が送られている。

 ラファエルはその迷宮に挑戦するのが夢だとかバカな事を言っている。


 逆にエターナルからルカレリアに来たものも沢山いる。


優秀な者を雇うと言うお父様の方針のせいだろう。


「お母様のところでドレスを見てきます」


 ドレスの裾をあげ、バーン先生に挨拶をしその場を去った。


お母様は今お腹に赤ちゃんがいて、つわりの為にパーティを欠席したのだ。


本人はどうしても出席すると言っていたがお父様が大事をとって欠席させたのだ。


 お父様はお母様のこととなると、すごく心配性になる。

あ、私に対してもか……




「リリア! 俺も一緒に行くよ」

ラファエルが追いかけてきた。


 ラファエルと行くとお母様をとられそうで嫌だな……なんて頭をよぎった。


私は聞こえないふりをしてそのまま階段を上がって行く。


 しかしバチが当たったのか大きく見せようと履いていたヒールの靴のせいか階段を踏み外した。


私はまっ逆さまに落ちる。


えーーーーーーー? バランス崩しすぎだよ!


ドサッ!!


 下にいたラファエルが受け止めてくれた。


「まったく!! リリアは危ないやつだな! 俺がいなかったら危なかったぞ! 感謝しろよ!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?


 こんな喋りのヤツを私は遠い昔に知っていた……


頭は打っていない!


でも落下と共に甦った記憶があった!!


「チビリル……」

その名前が口から出た。


「お? やっと記憶が戻ったか、12歳だからそろそろだと思ってたよ」

ラファエルが笑った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!


 私リリアだ!!

リリアじゃん!!


 いや今もリリアなんだけど、柚子→リリア→リリアだ!!


記憶が一気に戻ってきた!!



私、エターナル世界に転生できてた!!



アレス!! どこ!?











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